第十五話
一年D組廊下にて。
まずは、くるみん……は、無理そう。囲まれすぎじゃね? まあいっか。
先にこちらにしょう。
「こ、此処夏さん、少し良いでしょうか」
「え? キミ、誰? ──あ、確か、隣のクラスの……月見、いぶき君?」
「そ、そうです」
ギャルだぁ。見た目がギャル過ぎるからもう死にたくなってきた。
「えっと、ちょっと、良いですか」
「んー。何一? ウチとなんか接点あったっけ?」
「いや、特にはないですけど……」
「だよねー? んじゃあ何の用? あ、もしかしてアリス繋がり?」
「ありす……朝陽さんのこと?」
「そそ。たしか、メイクの練習台にさせられたんだって? ごめんねー!」
さすがギャル。情報通。
「あ、ははは……えっと、再来週の日曜日に、朝陽さんと遊ぶ約束してるんだけど、一緒に行かない……?」
やばい、この人と二人きりは気まずすぎると思ったせいでハードルを下げてしまった!
デートの定義があぁぁ…………。
まいっか。誘えただけ私天才! 話しかけれただけで私天才!
「えっ。……なんか、弱みでも握られてる…………?」
「へっ!? いや、そうじゃないですけど……」
訝しげに見つめ、本気で心配そうに言われる。
「けど?」
「いや、その……此処夏さんと二人で出掛けるのは気まずいかな、と…………」
「え!? そ、それって……ウチと、で、デートしたい……って、こと……?」
「あ~。えっと、その…………」
「再来週アリスと遊ぶのに?」
「ぅ」
痛いところを。本当は私だってこんなことしたいわけじゃないんですよ!
くるみんとだけおでかけしたいんです!!!!
「ん~まあいいよ。楽しそうだし? いぶき君、面白そうだし。友達は多い方が楽しいからね!」
「そ、ですか? ありがと、ございます。……え、と、それじゃあ連絡先だけ、交換しましょうか」
「そだね~。ウチが出すから読み込んで〜」
「う、うん」
QRコードを読み込み、連絡先を交換する。
「それじゃあ、えっと……」
「ん〜いつにする?」
「え、っと、いつなら空いてる?」
「ん~そうだな~。でも7月1日から8月27日まで夏休みだからな〜」
「……え!?」
「え、って……ちゃんと話は聞いといた方がいいよ? ウチでも聞いてるんだし」
長くね? 夏休み。二ヶ月あるやん。
じゃあいつなら空いてるかな……。
夏休みの宿題は一瞬で終わるとして……。
そしたらまあ大体は大丈夫かな。
「それ、なら……7月20日って空いてますか?」
「へっ? ん、ん〜……その日はちょっと……」
無理か。じゃあ前日か後日かな。
「じゃあ、19日は? 21日でも」
「え、っと……じゃあ、19日かな」
「分かりました。じゃあその日で宜しく、此処夏さん」
「……うん……。あ、あと、ウチのことは“ココ”って呼んでよ」
「え、ココ、さん?」
「も~。“さん”はいらないよ」
「いや、なんというか、呼び慣れてないので……」
「ま、いっか。敬語もやめてよね!」
「……分かりました」
「もー、やめてって言ったじゃ〜ん──」
ドッと疲れた……。教室前の廊下を離れ、E組の方へと向かう。




