第十四話
一年C組教室にて。
ここのターゲットは三人。春原桜、朝陽有栖、星空修羅だ。
まず一人目。
くっそ、コミュ障だぞ、こちとら! 声かけるのだけでHPが100削られるんだよ!
……よし。
「さ、桜。ちょっといい?」
「っ! ……ん。何、勇吹輝?」
「えっと、今週の日曜って空いてる?」
「んー、ちょっと待ってね……。……うん、空いてるよ」
「えっと、その日さ、一緒に、何処か出掛けない?」
「……えっ。……えぇっ!? あ、あたしとデートしたいってこと!?」
「えっ。まあ、そういうこと? になる、のかな……」
「い、いいい、行く! 行こ!」
「無理しなくても良いよ?」
「いや、大丈夫だから! 今週の日曜日──明々後日ね、分かった」
「どこ行くかは連絡とかして決めよう」
「う、うん」
よし、春原桜はデートに誘えた。まあ幼馴染だし、一番最初にデートするには一番良いだろう。
次は……あの人か…………。
「あ、あの……朝陽さん」
「──てか今日どこ行く?」
「──んーそうだなー。久しぶりにカラオケでも行っちゃう?」
「──良いね良いね、行こ行こ!」
「あっ、あのっ! 朝陽有栖さん、ちょっと、ちょっとだけ、良いですか?」
全身が震えているけど、これは違う、そう、武者震いだ! そうに決まってる!
そして今話しかけたのは時間の有効活用のため! やばい! まだ二人目なのに死にそう!
「んー? あ月見クン?」
「あ、ハイ」
「何の用?」
「少し話が……。……あ、ですので一度席を外していただけると……」
「んー。ま、いーけど」
そのまま隣の多目的室に行く。
「──それで? あーしに何の用なわけ?」
「えっと、その……」
「あ、もしかして、またあーしに付き合ってくれる気になった?」
「へ?」
また、とは。
「だーかーらー。またあーしのメイクの練習台になってくれる気になったのかって聴いてるんだけど。月見クンの顔整ってるから余計なことせずに出来るんだよねー。これと言った特徴もないし」
「あ、あぁ……」
なるほど、そんな事があったのか。知らなかった。下僕扱いやん。おいおい、転生前の月見勇吹輝、何をしてくれている。てか悪口言われてね?
「いや、そうじゃなくて……」
「んー? んじゃ何なのさ?」
「えっと、その……来週の日曜日、空いてますか?」
「来週の日曜日? んー…………。ちょっと待って……。あーごめんその日お兄の結婚式だわ」
「じゃ、じゃあ、その次の日曜日は……」
「ん、それなら空いてるー。なんで急に?」
「い、や、その……一緒に、出掛けたいな、と……」
「ふうん? んじゃ、あーしにデートして欲しいわけだ?」
「あっ、ん、まあ、そういうこと、ですね、はい」
「まーいーよ。月見クンのデート相手になったげる」
よっし、朝陽有栖も誘えた! 思ったより話せた。下僕扱いだったのはちょっとうん、って感じ。
なんか思ったよりデートと解釈される瞬間が早いな。ギャルゲーだからかな。
……あとこのクラスは最後の一人か。
「あの、星空さん。星空さん。お忙しいところすみません」
「…………何でしょう」
手にしていた文庫本に美しい星空の栞を挟み、顔を上げる。題名は、『星空の如く、修羅の如く』。
……読んだことねぇ〜。つーか見たこともねぇ〜。
異世界だし。そりゃそうか。
「あ、えっと、来週の日曜日、空いてますか?」
「…………わたくしは空いておりますが」
「一緒にプラネタリウムに行きませんか?」
「何故、わたくしと?」
「……星空さんは、天文部だから。星が好きかな、と」
「…………へえ。それは、わたくしと逢い引きがしたい、ということでしょうか」
「えっ。あ、えっ。まあ、そういうことです」
「分かりました。来週の日曜日ですね? 詳細は後日で宜しいでしょうか。わたくし、これから予定がありますの」
そう言うと、持っていた本を閉じ、カバンに入れて、その場を去っていった。
……よし、それじゃあ次行くか。




