黒の蝶——再び
八尾比丘尼の少女は時の門を開けることができると言われている
永遠の命を手に入れた少女、でもどこにも行くことができない少女それはキューブの最初の選ばれしものだった——彼女が口にしたのは人魚の肉だったのかそれとも……。
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目を開けると、何もない白い世界が続いていた——
「沙月~どうしよう」と毎度のことごくかわいい声が響く
「ねぇねぇ、一どう思う?」と一を見て言う藤かわいい……とってもかわいいと意識を変えようとするが
現実世界の自分の姿を見てしまったのがよぎってしまう
竜巻に落とされたここは、どこだかわからないが、どうやら現実世界の私は大変なことになっている
胸から、バラの花が咲いてるなんて不気味だし、聞いたこともなかった
沙月は樹の顔を覗き込む
「沙月には、見られたくなかったな……必ず、何とかする」と力なく言う樹は、
私より傷ついた顔をしている。それだけで、なんだか大事にされているのを感じる
私の周りには、友達が一人もいなかったがこんな悲しんでくれる人がいることに……驚きを感じている
「それにしても、ここはどこなんでしょう?また飛ばされて現在位置がわかりません」といつも通りの
ルリの様子に安心する
「酔った、なんでみんな平気なんだよ」と力のない声で言う樹は顔色が悪そうだ
「ふじは、大丈夫!!元気、楽しかった~」
「声が大きいよ、僕の耳がキーンとしたよ」と不満を言っている一に
「えへへ、これでいい?」と少し小さな声になる藤に頷く一だった
「蝶……が飛んでる」と私は目の前に現れた私にしか見えない黒い蝶だった。
案内するかのように私を待っているかのようだった
「出口はわからないけれど……鴉のところに案内してくれるみたい」と私が言ってると
「ここにいても変わりません。何かを伝えたいかもしれません。沙月についてきます」と力強さを感じる樹も静かに頷きながら、頭をポンポンしてくる
「藤も行く~ねぇ、一も一緒だよ」といいながら笑う。いまいち、よくわかってなさそうな藤の顔がまぶしく見えた
——黒い蝶をみんなで追うと、樹たちと出会う前のような心細さはもう無くなってきている
黒い蝶の先には、鴉がいる。もし鴉を助ければ私も元の世界に戻れるかもしれない
不思議とあんなショックなものを見たのに動じてない自分に驚いている
どこにいっても、みんなと入れれば、それだけで一人じゃない輝きを放つ
黒い蝶を見てるとひどく懐かしさを覚える、ついていくと嬉しそうに舞う蝶を追っかける




