反撃、合流
「でやぁっ!」
「ちぃっ!」
私を抱えながらでも、にーさまとギルバートの剣技は互角だった。
できれば私が降りてにーさまに本気で戦ってもらいたいところだが、この幼い身体では自衛もままならないため狙われる可能性が高い。
であれば、現状抱えてもらいながらのほうが安全だし時間も稼げるだろう。
「ガキが、調子に乗ってるんじゃねぇ!」
「ぐ……!?」
ギルバートの眼が怪しく光り、彼の分身が現れて私たちを取り囲んだ。
彼が持つ魔眼は幻覚を見せる力らしい。
「くっ、どうすれば……」
「だいじょうぶです、にーさま。わたしにまかせて、ください」
幻覚に対抗してこちらも魔眼を発動させる。すると、私の視界から分身がふっと消えた。
本体すらいないということはあれは囮ですね。
なら、あとは少し先の未来が視えさえすれば……
「っ! にーさま、うえです!」
「な、気づかれただと!?」
「はぁぁ!」
「がっ……!」
にーさまの剣を寸でのところでギルバートが防いだものの、吹き飛ばされて木にたたきつけられた。
さすがに骨の1本くらい折れただろうし立つのにも時間かかるかななんて思っていたら、すぐに立ち上がった。あれほんとに人間です?
「初見で俺の幻覚を見破るとは、そんな魔眼聞いたことねぇぞ、くそ……」
「このままたたみかけます……!」
「ちっ、これ以上もたもたしてると当主様どもが来て逃げれなくなるな。あばよ!」
ギルバートが地面に何かをたたきつけた瞬間、黒い煙が辺りに広がった。
「煙幕……!?」
「今日のところは引くが、あんたらの力はいずれいただく。せいぜい怯えて暮らすんだな!」
「逃がしません!」
「にーさま、ふかおいだめ、です」
追いかけようとするにーさまを制止する。あちらから仕掛けてくる未来も視えないので、本当に撤退したのだろう。
「……すみません、ノーラがいるのに熱くなっていました」
「わたしたちだけで、まがんがりをおいはらうことができただけでもじょうでき、だとおもいます」
よくできましたと、にーさまの頭を撫でる。
ほっとしてその場に座り込んでいると、とうさまたちが慌てた様子でやってきた。
「ノエル、ノーラ、無事か!?」
「ノエルくんノーラちゃん、二人とも怪我してない!? 罠だって気づけなくてごめんね……!」
「むぎゅ」
「わっ、父上母上、僕もノーラもこの通り無事ですから……!」
私たちの顔を見るなりぎゅうっと強く二人に抱きしめられた。
……最初に視えた未来にならなくて本当によかった。
「それにしてもこの森の中を逃げながらよく俺たちのいる方向に来られたな」
「父上、そのことなのですが実は……」
これまでのことをにーさまが話そうとしたその時だった。
「あれ……?」
突然意識が朦朧とし、身体がぐらつく。
「ノーラちゃん!?」
いち早く異変に気付いたかあさまに抱きとめられたが、力が入らず身体を起こすことができない。
3人の声が遠のいていくのを感じながら、私の意識は闇に落ちていった――




