第二章最終話:案の定
「よくやった」
戦闘が終わった後のライドさんの第一声はそれだった。単純な労いとは別の意味があるような気がして、僕は眉をひそめた。
「どういう意味です?」
「最後の戦闘、手を出さないでいたことだ。普通の奴ならあそこで過剰な自信を持って割り込んでくる所だ」
「いやいやいやいや……どうやって自信を持てと」
言わなくても分かるでしょう、と言うと、ライドさんは笑った。
「ハッハッハッ! それもそうだな。だが……本当に良くやった。これはお前の働きに対して、だ」
そう笑ったライドさんの後ろには、僕の仲間が居た。それぞれが苦笑していたり、微笑んでいたりした。
やっぱり、この人達は僕にとって最高の仲間だ。
「……でも、ライドさん」
「なんだ」
それでも僕は、言わずには居られなかった。
……あの時、皆が戦っている時。
どうしても「無力感」というものを感じずには居られなかった。
ずっと聞きたかった。あの日、皆と旅を始めた時から。
「僕は……邪魔じゃ、無いですか」
「はぁ?」
「だから……いざという時も、見てることしか出来ない、こんなお荷物を背負って……本当に、大丈夫ですか」
「……」
「冒険は、常に命の危険が伴います。僕なんかが居たら……」
「馬鹿野郎!!」
バギィッ!! っという音ーーえ?
パァァァンッ! という破裂音じゃなく、鈍い、とても鈍い音。それを気にすることもなくライドさんは言う。
「お前が居なけりゃパーティにならねえんだよ! お前が居て、初めてパーティだろうが! ふざけたこと抜かしてんじゃねえ!」
その声を聞くと同時にーー
「ちょ、ライドさん! ライドさん!?」
「はぁ? ……あっ」
僕は気絶し、地に伏した。脳震盪と、あとは陥没骨折。……やっぱり、案の定だった。
サーティさん、いつも僕を気にかけてくれてありがとうございます。




