茶番のような断罪劇に巻き込まれる・3
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私の問いにジョシュアは答えようとしたが、すぐに口を閉じた。
『罰の法』が自動的にジョシュアの身体を包むのが見える。
どうやら偽りを告げようとしたようだ。
「どうした?」
「……」
「ああ、心配しなくてもいいよ。相手はきみの資質を見ようとしただけだろうから」
「……」
「きみは素直に真実を話してくれればいい」
私の言葉に、ようやくジョシュアは自分が『聖魔法』の支配下にあることを知ったようだ。目を見開いた後、先程までの笑みから一転、悔しげな視線を向ける。
こいつらを側近候補に推したのは誰だよ?
私は主なんだけど。
敬う気持ちどころか、何とかしてマウント取りたくて余計なことをしでかす。
こんな奴らが側近になったら法王になったところで、足を引っ張られて法王家の傀儡コース一直線。
くそ。
それが狙いか?
そう言えばアレスティラ様の側仕えも気の利かない連中が多かった。
アレスティラ様を敬愛する職務に忠実な連中だから、頭がガチガチに固くて杓子定規にしか動かない。
それでも主を敬い奉仕する気持ちがあるだけ大分マシだけど。
……何だか法王になるのも面倒になってきたな。
こいつらを候補から外したところで、法王家の人間が決めた都合のいい奴らを宛がわれるだけだ。
それなら、この一件を利用して法王家から出てしまうのも有りだよな?
幸い『聖魔法』の遣い手なら私の他にも従妹のヴィリジアンがいる。
彼女はまだ7歳。
女の子だし、私よりはずっと御しやすい。
しかも女の子だから馬鹿なことをしでかす連中なんて、絶対に近寄らせるわけにはいかないから側仕えを慎重に選び出すだろう。
あれ?
そう考えると私の立場って、連中には邪魔……だよね。
余計なことに気付いちゃったなぁ。
だいたい1つの時代に『聖魔法』の遣い手が何人もいるから、馬鹿なことを考える連中が出てくる。
どの遣い手をどう配置したら一番都合がいいのか、なんてことをね。
こんなことをしていたのは何百年も前のこと。
時代が進むにつれて遣い手の出現率は下がり、200年前の先代法王を決める時は僅か2人で後継を争ったらしいからね。
そして、たった2人しかいない遣い手だったのに、ハニトラでライバルの後継者から『聖魔法』を失わせた。
例の馬鹿げた方法。
私がいなくなればヴィリジアンにそんなことはしない。
サラは異世界人だし、『聖魔法』の能力は微々たるものだ。
ジョシュアたちと結婚するも良し、遣い手として努力するも良し、勝手にしてくれ。
すでにサラには3年間で国庫から白金貨で600枚…日本円に換算したら600億円相当を支出している。その内の何割かは後見と教育を請け負ったオーリー侯爵家が手にしているだろうけれど、今夜のサラのドレスやアクセサリーがエリザベスの物よりずっと高価なのは見れば分かる。
はい、決定!
この茶番劇を利用して、さっさと国を出てやる!
そうと決まれば……。
「ずっと黙っているね?」
心配そうな顔をしてジョシュアに声をかける。
「大丈夫。きみもアーサーもルイスも、その人に試されたんだよ」
「……」
「その人の作り話をきみたちは信じてしまい、結果的にこんな騒動を起こしてしまったのは、とても残念だけど……」
「……」
「きみたちは私の側近候補だ。仮とはいえ、私はきみたちの主」
ジョシュアだけでなく、アーサーとルイスも不思議な顔をしている。
私が何を言っているのか。
何を言い出そうとしているのか。
分からないようだ。
「3年前の無許可での聖女召喚の儀式に続いて、この騒ぎ。私には配下を掌握する力が足りないようだ」
私の言動を注視していた保護者たちが制止しようとして、『罰の法』で声と魔法を封じられる。
遅い、遅い。
邪魔はさせないよ。
「私はきみたちだけの責任じゃない、と言っている。
そもそも3年前の聖女召喚の儀式。正式な法王家の人間でも配下でもないきみたちに、儀式の方法を教えた人物がいる。その人物に罰を与えなかったのが問題だったんだ。
私はきみたちに罰を与えるよりも、召喚されたサラ·ウチダ嬢の持つ『聖魔法』の才能を伸ばしたほうが法王国の為になる。そしてそれに協力することが、きみたちの贖罪にもなる。そう信じてきみのオーリー侯爵家に彼女を預けたわけだが、どうやら責務を果たしてもらっていないようだ。
これもまた、私の見通しの甘さから来るものだろう」
そう言って周囲を見渡し、万人が見惚れるほどの微笑みをみせる。
私の容姿は自分で言うのもなんだが、美麗だからね!
ここで苦笑してみせるのは二流。
一流は笑ってみせないと。
「私は見聞を広め深めるために、一人で世界を見て回ろうと思う」
そう言い切ると、何食わぬ顔で『聖魔法』を解除する。
とたんに大広間は阿鼻叫喚の渦に巻き込まれた。
主人公の性格とチート能力は書いていて難しいです。
でも楽しかったりもします。




