第76話
充はとてつもない速さで森を駆け抜け、その現場へと向かった。
そこで充が目にしたのはとてつもない大きさをした熊のような魔物とそれに襲われるおじいさんだった。
俺は次の瞬、おじいさんが魔物に切りつけられる姿を幻視した。
だが、実際はおじいさんが何も持たない手で熊の魔物の腹を殴り、遠くへ吹っ飛ばしていた。
そしてその戦闘は終わりを告げた。この戦闘が終わると同時におじいさんに声をかける。
「一応、確認だけ、お怪我はないですか?」
「ん?ああ、全然問題ないぞい」
そのおじいさんは手を払いながらこちらに振り返った。
その顔は今まで何度か見た事のある顔だった。
「.....あんたは串焼肉屋のオッサンじゃないか」
「そういうお前は.....この間ホーンラビットの肉を美味そうに食ってた.....」
互いに覚えているので、記憶の一致が早かった。だが充にとってはその事などどうでもよかった。それはおっさんの容姿を見て疑問を抱いてしまった。
「おっさん、さっきから付いてるそのツノってなんだ?」
「あっ、いや、これはだな.....魔物の真似?みたいな.....」
あまりの苦し紛れの回答に、おっさんをジト目で見た後、鑑定を発動する。
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バロン・オルトロス (269)
種族・・・魔人
ジョブ・・・武闘家(20)
レベル ・・・131
HP ・・・60,300/60,300
物攻・・・96,000
魔攻・・・18,200
魔力・・・18,200/18,200
防御力・・・68,000
俊敏・・・65,000
属性値
火・・・0
水・・・0
風・・・0
土・・・72,000
光・・・0
闇・・・999,999
スキル
闘気法 上級土属性魔法 上級闇属性魔法 縮地
固有スキル
魔人化
加護
魔神の加護+14
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「.....なるほどね、魔人か」
俺がそう呟いた瞬間、おっさん.....バロンの表情が一気に曇る。
「魔人はきらいか」
「ん?いんや、別に?」
特に魔人にこれといった思い入れはないはずだ。
バロンは一瞬ポカーンとしてすぐに口を大きく開けて笑い始めた。
「ガッハッハッ、お前は面白いやつだな!魔人を見れば悪と決め付けるのが当たり前のこの世の中でお前みたいなやつは珍しいぞ!」
ふむ、魔人=悪が成り立つというのが世間一般の常識なのか。
「まぁ、少なくともあんたのことは嫌いじゃないさ」
おれはもう少しバロンから話を聞く事にした。




