第75話
俺は生徒達5人を引き連れて北門から外に出た。北門から出ると最寄りにあるのはリンが死にかけたポイズンフロッグの生息する沼地だ。そしてそこを抜けると、レッドウルフなどが生息する、アルカの森が見えてくる。
今回の実習では沼地を出来るだけ早く抜け、アルカの森で狩りをする予定でいる。
「みんないいかい、街から一歩外に出たらそこからは危険が多い。今回は俺がいるから大した危険はないが、もしも君たちが冒険者などになり、一人で外に出るとしたら万全の準備をしてから外に出るんだぞ」
『はい!』
子供達はどこか緊張しながら、だが心が踊っているような印象をうける。
「外に出るのってそんなに楽しいことか?」
俺は前世では圧倒的インドア派だったのでここで楽しいと答えられても返答に困るのだが。
「楽しいですよ!だって色々な新しいことがあるんですよ?わくわくしないわけがないです!.....でもまぁ、やはり魔物は怖いですかね」
ライリーは目をキラキラさせながら熱く語っていたが、頬を人差し指で掻きながら苦笑いをこぼした。
それに同意するようにエリックが言葉を重ねる。
「まぁ、そうだよなぁ。親や友達に限らず近くの人が魔物に殺されたって言う話はよく聞くからな」
「そう.....か、そうだよな」
充は充自身がつよいので大して驚異には感じてこなかったが魔物と言うのは一般人には歯が立たないものなのである。
と、こんなしんみりした会話をしているうちに目的のアルカの森の入口まできた。
「よし!みんなここからは真剣にな。今から俺が言うことをしっかり聞いてくれ」
俺がそう言うと、みんな一気に顔を引き締め、真面目モードになる。
「みんなには一人で行動してもらう」
五人の顔には驚きが少なからず表れていた。
と、そこでモルトがおずおずと手を上げる。
「えっと、冒険者の方々は安全マージンをしっかりとるために大人数で行動すると思ってたんですけど.....」
その問いに俺は間髪入れずに答える。
「あぁ、冒険者ならそうだな」
「じゃあなんで?」
「いったろ、今日は俺がいるって」
モルトだけではなくみんながポカンとした顔をする。
「.....説明した方が安心してくれそうだな。まず俺はみんなの魔力の波を記憶している」
「そんなことが.....充先生なら出来てもおかしくないですね.....」
「んで、俺には索敵に向いたアイテムを持っている。これでどこに誰がいるか、何があるのかが完璧に把握出来る」
「.....すごいですね.....私も闇属性以外の適性があればやりたいくらいだわ」
レーシャが俺の言葉を聞き、そう呟く。
「レーシャ、なら影に波を起こすイメージで周囲に波紋を広げられないか?それを極めれば位置把握魔法の完成だ」
「確かに.....ほかの魔法とも相性いいかも」
「で、話を戻すがこれでみんなに異常が起きたら一瞬で飛んでいく。だから一人で自分に合った練習をするんだ」
「まぁ、ミツル先生が言うならおれは一人で行動するぜ!じゃあ、また後で会おうな!」
「僕も先生は信用していますので」
「わたしも!」
恐らく思考放棄をしたのであろうエリックに釣られみんなが次々と一人で森に散らばっていく。
そして、最後の一人のフォンを見送った後で、俺はローブに付与されている自動精密探知を起動する。すると五人の他にもうひとつの反応がある。
「.....何だこの反応.....人でもないし魔物でもない.....」
俺は少し考えた後、危険の芽になりうるかもしれないと判断し、五人とも順調に探索を続けていることを確認し、その反応の元へ急行した。




