幽霊 1
すいません、間違えて投稿してました!!
ごめんなさいぃ!!
頭を押さえた全体的に色の失われた白い女性が足元でうずくまっていた。
僕は慌てて壁際、エリシアさんの右隣まで後退する。
夜で灯りがないというのに、この部屋が多少物見える程に明るいのは、淡く発光しているからである。この幽霊みたいな女が。
「いったいなぁっ!!」
こっち見て叫んだ!!
「そ、そそっちが脅かくさするのがっ!!」
滅茶苦茶噛みました。
「脅かしますよ! 私幽霊ですから!!」
………幽霊。
「「………」」
無言ダッシュ。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
ドアに先にたどり着いたのはエリシアさん。彼女は焦りからかドアノブが回せていない。
エリシアさんがドアから退く。
僕は交代かと思い、ドアノブをひっつかむ。しかし、回りはするが、ドアはびくともしない。
「アサギくん退いて!」
何だ!? と思いエリシアさんの右側を通り抜けるようにダッシュ。
通り抜けて反転すると、丁度エリシアさんが抜刀してドアに逆袈裟に斬りかかっていた。
「うきゃっ!?」
でも、刀は見えないほどの一太刀であったにも関わらず、ドア手前の空間が刀の勢いを削ぎ、エリシアさんごと弾き飛ばした。
後頭部を打っていた。
頭を抱えごろごろと転がる。
そこでようやく、幽霊の女がエリシアさんの頭上、つまり僕の近くまで歩いてきた。
「開く訳ないし壊せる訳ないじゃん、だって私は幽霊で、ここは幽霊屋敷よ?」
うずくまるエリシアさんは顔を上げる。その目は赤くなっていた。
「ははっ、幽霊か。……色んな娘を斬ってきたがな」
幽霊を睨みつけ勢いよく立ち上がりながら刀を振り上げる。
「幽霊は初めてじゃ!!」
「全く。言ったでしょうに。街中で会うならともかく」
余裕綽々の幽霊はつまらない顔で腕の所々がぼんやりと輪郭を失っている右手を突き出した。
「私は幽霊で、ここは幽霊屋敷だ。と!!」
振り下ろされた刀は寸前で止まり、玄関のドアが開く。
次の瞬間。エリシアさんは見えない何かに引っ張られるかのように玄関へ、その先の外に飛んでいった。
そしてドアが閉まる。
「さて、無粋な邪魔者は消えた」
そして僕を見る。
「さて? 愚者よ」
………?
「お前のことだ。少し頼みがあるのだ」
「僕は愚者じゃない」
「そんなはずはない。私は死んでから観察眼を鍛えたのだ。大体人がどういったステイタスをしているか、分かる。お前は愚者だ、間違いない」
僕が愚者?
「まさか自覚がない? 文句を言いたそうにしているがまあ良い。最悪愚者でなかったとしてもだ」
「僕は愚者じゃ」
「う・る・さ・い・ぞ? その話はどうでも良いとしているだろう? どうせ誰であろうと他人だ。愚者であれば多少使い潰すことに心が痛まぬ位で大差ない」
…………僕は愚者ではない。そんな事はあるべきではない。この世界の異物たる愚者ではない。
あれ? 何でそうかんがえた。
理由は? 根拠は?
「ほれ、無視するな。私が頼みがあると言ったのだ。心して聞け」
「考えるほど否定出来ない……? でもそれは」
「───聞け!!」
「……っ」
幽霊の一喝で、思考から戻ってきた。
考えてはいけない。これは、気付いてはいけない。
そんな嫌な予感も、思考を逸らすことを手伝った。
「私を憑依させて街へ繰り出すがよい」
「で、頼みというのは?」
「私を憑依させて街へ繰り出すがよい」
「で、頼みってのは何さ?」
「だから! 私を街へ連れてってください!!」
「え? そんなのが?」
「言っただろう? 私は幽霊だと。しかも地縛霊ではないが、幽霊屋敷と化した此処を離れることは出来ないのだ」
「何でさ?」
「私は幽霊だと言ったな?」
「何度も言わないでも分かるから、ぼやけていたりポルターガイストじみた事してれば気付くし理解するよ」
「そう言うことだ」
「分かるか!!」
はぁ、と溜め息を吐く幽霊。
「理解すると言ったのはお前だろう? 愚者」
「愚者言うな」
「では名前は?」
「アサギ」
「そうか、愚者。説明してやろう愚者よ」
「アサギだって言ってる」
「では愚者よ、幽霊が出来る条件は何か知っているか?」
「知るか。と言うか愚者って言うな」
「……強い感情」
「感情?」
「そう。死ぬときに強い感情を放つ事。弱くても成れるけれど、弱いと感情が偏ったり、希薄な自我しか持たないの。私みたいなのは相当強いのよ」
「はぁ、だから?」
「反抗的だな、愚者。自我が強い幽霊は力も強いの。消耗は変わんないからタイムリミットは長くなるわ、力を使わなければ」
「使ってたな」
「ええ使ってたわ。でもここは幽霊屋敷」
「さっきから幽霊屋敷幽霊屋敷言ってるが、幽霊屋敷って特別なの?」
「ええ、珍しく勘がいいわ。褒めてあげるわ、愚者。そう幽霊屋敷って言っているけどここは立地的に魔力が大量に湧いているの。ほら、私幽霊だから」
「だから意味わかんないから。と言うか愚者って言うな」
「幽霊は生き続けるのにMPを消耗するの。消費は大したこと無いけれど、生産はできない。外から回収するの。人や空気から。でも、その回収能力も幽霊は大したことがないの」
「へぇ……」
「肉体が無いのって大変よねぇ?」
「知るか」
「と言うわけでここを離れるといずれ消滅してしまう。それは私にとって避けている事態なの、でも私の目的は……」
たまに幽霊は表情が読み取れないくらい揺らぐ。
今も、顔が消えるほどに揺らいだ。
しかしすぐに戻る。
「……愚者に言う必要ないわね、で、頼みは聞いてくれる?」
「憑依ってどんなのか聞いてからにする」
事情くらい聞かないと。それに………。
「……立場、分かってるんですね」
抵抗しても、力量的に無理であろう。それははっきり分かる。
「それは観察眼?」
でも、一応聞いた。
「いいえ、断る素振り見せたら想像通りのことしてたから。ここは幽霊屋敷で、私は幽霊だから」
「ああ、呪い殺してくるつもりだったのね」
「酷い、そんなことするつもりない! 愚者がどういうつもりなのか分かったわ」
「ちょっ、右手めっちゃ光って!?」
「私は幽霊だからぁ!! 悪霊ではないからぁぁ!!」
ガツンと、僕の頭は思い切り殴られた。
「憑依と言うのは、憑依対象者のMPを吸いながらくっついて動く事よ」
「つつ……乗っ取りとか出来ないの?」
「もちろん出来るけど……そんな事したら完全に悪霊じゃない。私幽霊だから。それも善良な幽霊だから、ね?」
どうやら悪霊ではないと言うところは重要らしい。まあ、良く分かんないね。さっきはそれでブン殴られたけど、そもそも悪霊じゃない霊にこだわっているのは分かったけど何が悪霊判定なのか分かんないよ。
「さっき思い切りブン殴ってくれたよね、正直昨日の狩りが無ければ、死んでたようなダメージ食らったんだからね?」
恨み言言わせて貰う。正直本当に食らったダメージを見て目を丸くしたんだからな。
「う……ごめんなさい」
「取り敢えず、憑依? しても良いよ」
「え!? 良いの? そんなにあっさり。乗っ取るかもしれないのに」
「自分で一回否定しておいて、何言ってるんだよ……」
「だって今まで来た人達は外に出るなり除霊専門者に頼んで私を引き剥がしたし……そう言う人達は即答したりしなかったよ」
「除霊専門者?」
居るんだなそう言う人。
「そう、私が勝手にそう呼んでいるだけなんだけど何回も同じ人に剥がされてて凄くムカついてるの。あの人には……それにあの感覚は何度も体験したくない」
ぶつぶつと恨み言を言う。
「取り敢えず憑依一回してみてよ」
「良いの? MPの量によっては気分悪くなるよ?」
「さっきから何回も……今までどうしていたの? そんなに聞く?」
「……だって愚者だし」
「愚者じゃねえって…」
「大体怯えて会話できないから強攻策取ってるだけよ」
「それは酷いな」
「で、良いの?」
「良いって言って───」
「じゃあ、憑依するから」
ゾクリ、と寒気がする。
そして少しだけMPが減った───様な気がした。
『あ、あれ? 何でこんなにケロッとしてるの?』
「MP多いからじゃない?」
『嘘よ、誰でもMPを吸収されたら気持ち悪くなるから』
おいさっきMP量によっては、っていってなかったか?
『とにかく、ステータス見せなさい!』
勝手に右腕が動き、四角を描く。
そしてステータスを見た。
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【アサギ ユウ】
【Lv】37
身体能力値 ・ 身体能力素質
【HP】 82 (D)【MP】 11686 (SSS)
【力】 80 (D)【魔力】25 (E)
【体力】78 (D)【技量】89 (D)
【敏捷】136 (C)【運】 162 (B)
【癒力】26 (E)
使用可能属性 ・ 魔法適性ランク
【火】(E-)【水】(E-)【風】(E-)【土】(E-)
【妨害】(E-)【支援】(E-)【浄化】(E-)
【技能】
《女装》女性服が似合う男性に修得が可能。演技にボーナスがかかる。
《演技》演技系技能で人を魅了すると入手可能。高い演技ボーナスが入る。
《憤怒》怒り任せの一撃。1日に一度力の基礎能力値を五倍にする事が出来る(メリット:三分、一回) 、代わりに使用後力の八割が減少する。(デメリット:三十分)
《MPバースト》能力値の十倍のMPを支払い、能力値を二倍にする。効果時間三分
《三倍撃》MPを30消費して一撃の攻撃のダメージを三倍にする。(デメリット:三十秒間力5減衰)
《魔力操作》己の魔力を操作する者が入手できる技能。操作性が向上する。
《鬼剣》術者の魔力を圧縮し対外へと出し、剣に纏わせることで剣の性能を向上させる。
《魔力海》 空気中に魔力を展開する。自分以外全ての者の動きを放出したMPの密度に比例して阻害する。
【状態】
《----の祈り》 …… 届かぬ誰かの思いやる気持ち。本来は術を受ける者の魔力を吸い取り髪を整える魔法だったが、今ではMPを吸い取り、髪の長さを一定に保ちながら髪の色を変えるものになっている。解除不可能。
《憑依対象者》 …… MPが常に減り続ける。憑依者の技能発動時などに代わりにMPを消費する。
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『ば、化け物……』
「幽霊が言うな、幽霊が」
『何このMPは!? 桁が違っ素質トリプルエス!?』
「……やっぱり驚くほどのものなんだ」
MPに関してだけ、勝手にあがって言ってるからね、レベルに関係なく。
『とんでもない奴……ええい絶対に手放すものか!!』
「僕の体は僕のものだよ……」
本当に乗っ取ってこないよね………?
「と言うか街に出るだけで良いの?」
『出来れば可愛い衣服を着てくれば最高』
「僕男」
『私は女で、外見だけで言えば愚者も女のようなものだ』
「あれ、男だって気付いてた?」
『観察眼』
そうか、仲良くなれそうにないな。
僕が男だと分かった上で女性の格好させようだなんて言う奴とは。




