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第八話「絵が完成した」
絵が完成した。
ハルヴィオが、ミーナを呼んだ。
店の裏の部屋に、絵があった。
ミーナは、絵を見た。
自分だった。
しかし、自分ではないようでもあった。
窓の傍に座っていた。
窓の外に、広場が見えた。
目が、広場の方を向いていた。
その目の中に、光があった。
「これが、私ですか」とミーナは言った。
「そうです」とハルヴィオは言った。
「私は、こんな顔をしていたんですか」
「していました」とハルヴィオは言った。「私には、こう見えました」
ミーナは、絵の中の自分の目を見た。
光があった。
広場の光が、目の中にあった。
毎日見てきた、石畳の光が。
「美しいですね」とミーナは言った。「私の絵ではなく、この光が」
「あなたが、この光を持っています」とハルヴィオは言った。
「光は、広場のものです」
「広場の光を、目の中に持っているのは、あなたです」とハルヴィオは言った。「それが、私が描きたかったものです」
ミーナは、ハルヴィオを見た。
「本当に描きたかったもの、とは」と言った。
「光です」とハルヴィオは言った。「光を持っている人間です。何年も旅して、探していたのは、それでした」
「見つかりましたか」
「見つかりました」とハルヴィオは言った。「あなたの中に」
(第八話 了)




