1話
「はぁ?」
本当に何言ってるんだこの人。相棒?結師?本当に何が起こっているかわからない。
「何言ってるかわからないといった様子ですね。解説してあげましょう!」
そう彼女が言うと、いつのまにか僕は会議室の椅子に座っていて、プロジェクターが起動していた。
またもや変わった状況にハテナマークが止まらないが、今は考えないことにしよう。
彼女はホワイトボードの前に立ち、プロジェクターに繋がっているパソコンを触っていた。
そしてすぐにプロジェクターにある文字が映し出された。
「結師について?」
「そうです!今から解説します!!!」
彼女の勢いに気押された僕はとりあえず聞いてみることにした。
彼女がパソコンをカタッと触るとスライドが変わった。
「これ見てください!」
スライドには昔話の一場面のようなものが表示されていた。
「むかーしむかし、あるところに、優しいお爺さんとその孫の女の子がおりました」
スライドがまた変わる。
「彼らは木を切り、それを売りながら生活していました」
「しかしある日、言葉を奪う化け物、無言が彼らを襲いました。そして、お爺さんのみが言葉を奪われました。お爺さんは娘とのコミュニケーションもとれず、最後まで話すこともできずに寿命で亡くなりました。娘はそのことをものすごく怒り、無言への復讐を考えていました。修行を続けていくうちに、ある力に目覚めました。それが結師の始祖様の言の覚醒です。あ、言っていうのは結師の能力のことですね。覚醒した始祖様はお爺さんを襲った無言を見つけ出し、退治したのですが、無言はなんと新たな無言を生み出していました。全てを退治することは不可能だと考えた始祖様は自らの力を見込みのあるものに継ぎ、お亡くなりになりました。そしてその力を継いでいって、今が12代目となります。その12代目投手に選ばれたのがあなた、というわけです。ご清聴ありがとうございました!」
彼女はパソコンを閉じる。
「わかりました?」
「すみません、情報量が多すぎてわかりませんでした」
「デスヨネー」
彼女がハハっと笑う。
「とりあえず解説と行きますか」
ていうかなんで僕はこの人の解説を素直に受けているんだろうか。夢としても、夢としても謎展開すぎる。動画を見るだけだったよな僕、、、?
「無言とは、人の言葉を奪う化け物。無言の始祖は人の言葉を全て奪うことができますが、始祖以外は一部しか奪えません。あいつらは言葉を奪うことで今も生きているのです。私たち結師は奪われた言葉を人に結び直すことで言葉を返してあげることで無言を無力化し、退治するのです。次に、結師の始祖様ですね。始祖様は一番最初に覚醒した結師です。彼女の残した力や情報によって今私たちの結師としての活動が成り立っています。言についても始祖様のおかげで私たちは発見、使用することができるのです。始祖様の力を継いだ当主さまには、言の力を持つものを見抜く力があります。他にもすごい力を持っているのですが、今は省略させていただきます。とりあえずこんな感じですかね。質問どうぞ!」
バッと手をこちらの方に向ける。
「質問も何も、突然すぎてわかりませんよ!」
無言?始祖様?本当によくわからない。つまり僕には何か力があって選ばれた、、、?そんな厨二病みたいなことがあるのか?言、言か。能力か。
「あなたには何か言があるんですか?」
彼女はニコッと笑って話した。
「あなたじゃなくて柳久留花です!私はいろんなものを作ることができます!例えばこの会議室も私の言で作りました。武器とかも作れるのでまあサポート系ですかね」
僕は周りを見渡す。こんなのも能力で作れるのか。ていうかこれ本当に夢なのか?実は本当だったりするのか?今は確かめねば。
「あな、柳さん。僕にも何か能力があるんですか?」
「はい!ありますよ」
少しドキッとする。
「それはどんな?」
「詳細はわからないんですが、言うなればアタッカーだと思います。当主が私と組ませたってことは多分そうです」
少し自信がなさそうに言う。
「あっ」
何かに気付いたように柳さんが声を上げた。
すると、なぜか突然頭に違和感を感じた。
「なん、だこれ」
「時間ですね」
時間?よくわからない。本当になんだこれ。
「えーっと、これで良かったんだっけ?あぁ、あれを忘れていました」
柳さんは突然僕の手を握る。
「夢だと思っていますよね多分?これ!夢じゃないです!とりあえずこれをあげます!」
僕の手に、水色の花が握らされていた。
「起きたら、これを見て思い出してください。これまでのこと。そして、できることなら3日後ここに来てください。私たちはあなたを歓迎します。待っていますからね!」
ニコッと笑う柳さんの顔を最後に、僕は現実に引き戻された。
ポケットに入れていた5cmくらいの水色の花を取り出す。
起きた後、これを見つけると夢での記憶が戻ってきたと同時にある住所が頭の中に流れてきた。
なんで僕はよくもわからないものを信じて向かっているんだろうか。疲れてしまったからだろうか。僕は何を願って向かっているんだろうか。
とにかく、あの後タンスからスーツを引っ張り出して指示通り僕は今向かっているわけだ。
「はぁ〜」
電車から降りて、駅から出るとため息が出てしまった。
嫌なわけじゃないし、ワクワクしている気もする。けれど、やはりトラウマってやつかな。
そんなことを考えているとすぐに住所の場所についた。
その建物は三階建てくらいの小さなビルで、株式会社リーフと書いてある看板が掲げられていた。
入るか?
今更だけど迷ってきた。いや、もうどうにでもなれ!!!
僕は目の前のドアを開き、建物の中に入った。
すると、すごく広い空間、、、ではなくただの受付があった。
ドアからまっすぐの位置に受付があり、その右奥にエレベーターがある。
とりあえず受付の人にメール見せれば伝わるかな
「あのーすみません」
受付に向かい、メールをみせる。
「あぁ、悠凪様ですね。ではエレベーターにお乗りください。」
手で促されたエレベーターに乗り込むと、変なことに気がついた。
ボタンがない?
ただのまっさらな板となっていた、おそらくボタンがあったであろう場所。
そのままエレベーターのドアが閉じてしまう。
これ、閉じ込められた?
慌てていると、突然轟音が鳴り響いた。
驚く間もなく、エレベーターが下降を始めた。
「ちょちょちょちょちょまてまてまて」
そしてすぐチーンという音と共に突然止まった。
「あばっ」
エレベーターの天井に体を打ちつけたと思ったが、天井がクッションとなっていて幸い無傷だった。まあその後床に打ち付けられたから痛いには痛いのだが。
服を直しながら立ち上がるとちょうどドアが開いた。
ドアを通ると見慣れた顔が僕の目に飛び込んできた。
「悠凪さんだ!」
「柳さん?!」
「悠凪さん大丈夫?エレベーターの装置切っとくの忘れてた!」
「そ、装置?」
あぁ、あの急降下エレベーターのことか。まだちょっと心臓がドキドキしてる。
「本当にごめん!うっかりしてた!どこか折れたりしてない!?く、首は!?!?ある?!?!」
「ぷっ。や、柳さん!焦りすぎですよ!くっ、ふふふ」
笑いが止まらない。流石に焦りすぎだ。
「首ってなんですか!ふふふ」
柳さんはハッと気づいた後、顔を真っ赤にして笑う。
「ご、ごめんなさい。ちょっと焦っちゃって。あはは」
「やなぎ!笑ってるとこ悪いけど!ね!」
笑いを収めて声のする方を見ると小さい女の子が柳さんをよんでいた。
その女の子は紫色の髪のツインテールで、くりくりした目に整った鼻、白のTシャツにオーバーオールを着ていた。
「あっごめんかこちゃん。この人が新しい仲間!悠凪翠さん!ほら、自己紹介して!」
「かこです。よろしく」
「よ、よろしく」
かこちゃんが手を掴んできて握手!と言った。
小学生くらいか?かわいいなあ。ちなみに僕はロリコンではない。断じて違う。
「へえ、そうなんだ」
かこちゃんがぼそっと呟く。
なんなんだと思っていると
「かこちゃんの言はね、相手の性格とか?そういうのがわかる言なの」
「やなぎ!こいついいやつ!かこの過去で一番!大丈夫!」
「それ本当!?悠凪さん、あなたすごいね!」
「よ、よかった?」
さらにわからなくなってきた。柳さん説明してくれって!
「悠凪君絶対わかってなさそうだぞ?」
声がした方を見ると、男性が立っていた。
身長は僕より少し高く、四角っぽいメガネを頭にかけていてドラマとかの俳優のようにイケメンである。スーツを着ていて、、、って足長いなこの人。
「こんにちは。話は聞いてるよ、悠凪君。僕は上尾峰。僕が説明しよう。まずエレベーターは僕らの訓練用のものだね。詳細はいつか話すよ。そしてそこにいるかこちゃんはさっきやなさん、柳さんが言ってたように、握手することで相手のいろいろな情報を知ることができる。性格とか、そういうのね。んでさっきかこちゃんは悠凪君の情報を確かめたわけだが」
柳さんの方をチラッと見る。
「大丈夫そうだね。敵ではなさそうだ。あ、そうだ。解除!」
上尾さんはパンっと手を叩く。
よし、これで君は大丈夫だ」
「何かしたんですか?」
「うん、君が例えばスパイとかだったりして、かこちゃんややなさん、この拠点に言を使って危害を加えようとした瞬間四肢が爆散する呪いみたいなやつをかけてたんだ。ちなみに発動条件はエレベーターに入ること、そして俺が意思を持って能力を使うことだよ」
爽やかに笑いながらとんでもないことを言う。
「こ、怖すぎますってそれ」
裏ありそうな人だなあこの人、、、
「とりあえず今から任務行ってきてね、やなさんと」
「え???」




