幕間「転生しても魔法とか必殺技って大体ゲームとアニメからパクらない?」
グランが眠る前の話です。
少しメタ的な内容になのでご注意ください。
女神アリスティアと別れた後、俺は魔王城に戻っていた。
魔王城は古代龍ティアリスとの戦いによって半壊しており、無惨な姿を晒している。
「……これ、魔王に怒られない?」
(全亜人は新惑星に移住しているため大丈夫だと思います。魔王が確認する術もありません)
「それはそうなんだが、気分的に申し訳なさが勝ってしまう」
(変なところで律儀ですね。それなら作り直せばいいのでは?)
「よくある土魔法でか? 俺は建築技術とか何も知らないぞ」
(いえ、聖域化したことで、ここを中心に広範囲がダンジョン化しています。回復のために高濃度の魔素を集めコアを作りましたが、それがダンジョンコアとして機能しています。それを用いて聖域化したフィールドの構造を再定義できるようになっています。それに細かいところは私が補助します)
「その話だと、いわゆるダンジョンマスターになって好き勝手に作れるってことか?」
(その通りです。ちなみにダンジョンコア以外で建造物を建てた場合、時間が経つとダンジョンに吸収されます。)
「なるほどな。箱庭を作るようなものか。眠る前にちょっとやってみるか」
(……精神負担は魔素では回復の手助けにはなりますが、根本的な回復は睡眠です。本来であれば一刻も早く休んでいただきたいのですが。とはいえ、このまま聖域を調整せずに放置するのも、後の管理を考えると得策ではありませんね)
「ああ、悪い。さっさと終わらせるよ」
俺はアンサートーカーと共に、ダンジョンコアの置いてある魔王城地下に転移する。 地下の広場は50人くらいは入れる広さで、その真ん中に黒光りしたコアが宙に浮いていた。
(まずダンジョンコアにマスター登録をしましょう。マスターの魂を登録すれば、これから転生を繰り返してもアクセスできるようになります)
「かなり便利だな、これだけでも凄まじいチート能力だ」
俺はダンジョンコアに右手をかざした。するとコアが淡く蒼い光を放ち、俺の魂の波長を読み取っていく。
(マスター、魂の登録が完了しました。コアのエネルギー残量を確認……吸収した魔素がかなりの高濃度であったため、80%が保持されています。本来、魔素は星の内部から龍脈に乗って散布されますが、ここはかなり太くて深い龍脈の上に位置していたようですね)
「……それなら龍脈自体を調整すれば済んだ話だったのか。……もうちょっとちゃんと調べていたら、新惑星なんて作る必要がなかったかもな」
(結論はそうなりますが、それでは人間と亜人の争いは止まらなかったでしょう。結果的に全て解決したのです、この際忘れましょう)
「……そうだな。まあ、過ぎたことはいい。それよりダンジョンだ。聖域化した範囲はかなり広い。地下に潜るだけじゃなく、外側から中心に向かうほど難易度が上がるような、広大なフィールド型ダンジョンにしようと思う。簡単に中心に来られないよう、幾重もの『壁』を作るイメージだ」
(有効な土地活用ですね。実装可能です)
俺は次々と思いつきで考えたネタをアンサートーカーに説明し、コアの魔力を使い形にしていく。 まず、聖域全体を不可視の結界で覆った。
空からはただの深い森にしか見えず、飛行して侵入しようとしても強制的な転移魔法によって入り口まで戻される仕様だ。
もちろん、内外からの物理攻撃や魔法も一切届かない。
構成は全9層。
第1層:迷いの森(視覚と方向感覚を狂わせる)
第2層:魔獣の森(魔物が群れ単位で襲ってくる)
第3層:凪の里(拠点。俺の家兼セーフティーエリア)
第4層:砂漠(灼熱の砂漠)
第5層:大海(巨大な海の魔物が跋扈する海域)
第6層:火山地帯(希少鉱石などが採取可能)
第7層:魔王城地下・試練の回廊
第8層:虚空(ダンジョン最深部)
最下層:ダンジョンコア安置所(今回は俺が眠るためのプライベートルームに改造)
「よし、設定完了だ。じゃあアンサートーカー、テストプレイといこうか。実際に歩きながら、仕掛けやモンスターの微調整をしたい」
(了解しました。各層のゲートを接続します。……まず第1層から行きますか?)
「ああ、頼む」
ダンジョンコアの安置部屋からゲートをくぐると、そこは見渡す限りの深い森の中だった。
「この聖域は、そこらの人間なら第1層すら突破できない難易度にする。その代わり、ドロップ品は通常のダンジョンでは手に入らないような超レア物に設定する。ただ、それだと聖域外の物価価値が暴落して経済が壊れるからな。階層のクリアごとに、持ち帰れる物の種類と数を厳格に制限するぞ」
(了解しました。では、第1層のモンスターとトラップの調整を開始します。……マスター、ここのモンスターの種類はどうしますか?)
「まあ森だしな、獣や植物系のモンスターを配置しよう。たまに大型のモンスターが出るようにして挑戦者を慣らしていく。ここで出た小中型モンスターは、次の階層で群れをなして襲いかかるようにすれば、難易度が跳ね上がるだろう。トラップはトレント型の擬態くらいでいい。深い森だ、何もしなくても視覚と方向感覚は勝手に狂うからな」
(了解しました。第2層に行く条件はどうします?)
「フィールド型ダンジョンは出口というよりも、最奥の『壁』に到着すればゲートが出て、次層に行けるようにしよう。実力が伴っていなくても、運良く真っ直ぐ突き抜ければ突破できるかもしれない。だが、ただでさえ強いモンスターに追われながら強行突破したところで、次の層でなぶり殺されるだけだ。その辺の慈悲は気にしないでおこう」
俺はその調子で第2層も調整して、第3層に差し掛かった。
(ここはマスターの家兼セーフティーエリアとのことですが、なぜここに作るのです?)
「その質問はごもっとも。仮に女神が今後物語を作って俺を転生させたとして、忠実に守るつもりはないが、拠点は必要になる。ダンジョンコアの安置部屋はすこし不便だから、この辺に作れば外界にもアクセスしやすい。仮にここまで突破した奴に見つかっても、聖域の案内人としてごまかそうと思う」
(なるほどですね、ではここはどんな感じに作ります?)
「まあ酒池肉林とまではいかないが、自生している植物はすべて伝説級、川は最浄化された聖水が流れているし、入ればたちまち全回復する効能の温泉もつける。それと、いずれは挑戦者が寝泊りできるような宿泊施設と野営地を作って聖域限定の販売店も作ろう。俺の家はそこそこの広さで客間もあるし屋上にはさっきの温泉の露天風呂もつける」
(中々贅沢ですね、ダンジョンコアの魔素の量なら簡単にできますがそれでよろしいのですか?)
「ああ、頼む。販売店の物品は俺の錬金術スキルで作ったものを売ろうと思う」
(……まさかエリクサーや蘇生薬を作って売るつもりですか?)
「ここで売るものはダンジョン内でしか使用できないように制限をかけるつもりだ、まあこの先の深い層でドロップアイテムに設定して報酬で持ち出せるようにしてもいいかもな」
(外界のバランスが崩れると思いますが)
「確かに大量に持ち出されたら外界はパニックになるな、だがここまで来れる人がいるのかどうかって感じだが、今のところは大丈夫だろう」
(承知しました。ではそのように作成します)
第3層にいくつかの建造物ができたのを見計らい、俺は次の階層へと足を運んだ。
「さて、ここからが本番だ。第4層から第7層は、純粋に『試練』として機能させる」
灼熱砂漠の第4層、巨大な海獣が支配する第5層、そして希少鉱石が取れる火山地帯の第6層を調整していく。 俺は前世でやり込んだ数々のゲームを思い出しながら、聖域限定のモンスターにアルゴリズムを仕込んでいった。
「第4層の砂漠は、酷暑の中、砂に潜む巨大なワームが感知範囲に入った瞬間に地中から突進を仕掛けるように。第5層は水竜種、第6層は火竜種が雑魚レベルで出てくるような凶悪なモンスターの巣窟だ」
(……マスター。挑戦者にクレームを言われる可能性が高いですが)
「だから報酬も希少なものを用意するんだろ」
各層を調整し、第7層に当たる魔王城前に到着した。
「ここは亜人たちを模したレプリカドールを配置しようと思う」
(全亜人は新惑星に移住しました。未来で亜人たちの存在が気づかれる恐れがありますが)
「ああ、だがここはもともと亜人たちの故郷だ。絶滅したいにしえの種族の残滓が魔素の力で再現されたと屁理屈こねれば大丈夫だろう」
(段々考えるのがめんどくさくなってきましたよね?)
「まあ、そう言うな」
くだらないやり取りをしつつ、さらに下層へ進んでいく。
そして俺たちは、空間の理が歪んだ第8層「虚空」へと足を踏み入れた。
「第8層はダンジョンボス1体だけ置こうと思う。ここまで来れる実力があるんだ、なら万全を期してボスに挑戦してもらいたい。ボス部屋の扉の前に一人一度だけ使える全回復する魔法陣を設置する」
(至れり尽くせりですね)
「よし、じゃあボスの調整をするぞ」
ここは最下層への最終防衛ライン。そこには、俺がイメージした「最強の番人」が待ち構えていた。
(第8層、最終防衛用守護個体――『深淵の騎士』を配置。テストプレイを開始します)
目の前で、空間を切り裂くように漆黒の鎧を纏った巨騎士が現れる。俺は相手に向かって構える。
「すさまじい威圧感だ。だが、……試したい魔法や技がいくつかあるんだ、すぐに倒れるなよ?」
俺は一気に加速して騎士に肉薄すると、「忘却の森」で練習した魔力の刃を騎士に叩き込む。
騎士は動きを完全に見切っているのか最小限の動きで回避し、剣を横なぎに振りぬいてきた。
「ソードブレイク!」
俺は両手に魔力をまとい騎士の剣をつかみ取る、さながら真剣白刃取りだ。
そのままつかみ剣を折ろうとするが、騎士の魔力とオーラに守られた剣は固すぎるので折ることができない。
仕方がないので捻りこむことで騎士のバランスを崩そうとするが、騎士の鋭い蹴りが俺の腹部を襲う。
「ハイパーガード!」
瞬時に剣を離し、騎士の蹴りを腕で塞ぐ。
ハイパーガードは敵の攻撃を跳ね返す技だ。
騎士は思いもよらぬダメージを負ったことで、一旦距離を空けるつもりだったのか後ろに飛びのく。
「俺のステータス値はかなり高いはずなのに、理不尽なチート技を使ってないとはいえ、ほぼ互角とはな。やはり戦闘経験がないから対処されるんだな」
距離を取った騎士は剣を上段に構える。
すると剣がすさまじい量の魔力を帯びだした。
(あれは深淵の騎士の剣技『オーバーエンド』です。今のマスターの状態でまともにくらえば大けがではすみません)
「じゃあこっちも大技の剣技で勝負だ」
俺は今度は両手に魔力を纏い、騎士に突撃する。 騎士は上段構えから俺めがけて一気に振り下ろしてきた。刹那、すんでのところでかわした俺は、騎士の胸に左腕を突き刺した。
「!!!!!」
騎士は言葉を発しないが、明らかにダメージを負い苦しんでいる。
俺はその隙を逃さず、残った右腕を騎士の腹に突き刺した。
「これで終わりだ! 魔導……無双剣!」
技名を叫び、俺は左腕を上へ、右腕を下へと振りぬき、騎士を真っ二つに切り裂いた。
かなりのダメージを与えたつもりだが、騎士はしぶとく生きている。
「すさまじいタフさだな、だがとどめを刺させてもらう!」
俺はバックステップで距離を取り、下腹部に両腕を構え魔力を収束させた。
「プレッシャー・カノン!」
両腕の収束した魔力弾が騎士めがけてすさまじい速度で発射される。
先ほど真っ二つに切り裂いたダメージが大きいのか、動くこともできず直撃する。
直撃した箇所はえぐり取られたように消え去ってしまい、騎士は耐え切れず爆散し跡形もなく消え去った。
(……殲滅完了。マスター、今の魔法は魔力の消費効率が悪すぎます。もう少し『この世界の理』に即した術式を構築してはいかがですか?)
「いいんだよ。魔法なんてのは、結局どれだけ格好良く『俺の考えた最強の技』を具現化できるかだ。名前の響き、予備動作、エフェクト……それが一番大事なんだ」
(理解に苦しみますが、先ほどの戦闘記録を用いてステータスを調整して設定完了しました。全9層、聖域ダンジョンの構築を終了します)
「お疲れさん。……ふあ、流石に眠くなってきた」
(最後の深淵の騎士との戦闘で精神負担の限界は超えています。一刻も早く休んでください。)
俺は第8層のゲートを抜け、最下層の安置所へと向かう。 そこには、俺が一番落ち着く前世の住んでいた「日本風の1Kマンション」を模したプライベートルームが完成していた。
「300年か。……次に起きる時は、もっと平和な世界になっているといいな」
俺は前世の柔らかさを再現したベッドに潜り込み、アンサートーカーにスリープモードの実行を命じた。
作中で出た魔法及び必殺技
イメージをそのまま魔力で無理やり再現しているため原作とはかけ離れている。
魔力の刃:その名の通り魔力を刃上に形成したもの。高振動ブレードで相手を切り裂く
イージス:とあるゲームの絶対的防御力を誇る盾。防御専門の魔法
ギガスマッシャー:幼少期に見たグロテスクなシーンが印象のガ〇バーの必殺技。本来の名前はメガスマッシャー
ソードブレイク:真剣白刃取り。ソードと名打ってるが武器なら何でも通用し折ることができる。
ハイパーガード:元ネタはく〇おくんの時代劇。肉弾戦での攻撃を反射し相手にダメージを与える。
魔導無双剣:元ネタはバン◯レイオスの念動無双剣。武器を持ってないので両腕を使って再現した
プレッシャー・カノン:ギガスマッシャーと一緒でガ〇バーの必殺技。魔力効率は悪いが、属性付与ができ汎用性が高い。
魔法や必殺技はどんどん追加する予定です。
次はキャラクター紹介とその後の展開を書いています。




