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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第75話:鉄拳制裁

 試合開始を告げる銅鑼の音が、演習場に鳴り響いた。


 しかし、マルクはその場から一歩も動かず、自然体のまま静かに構えていた。


 対するルークも、先ほどの傲慢な威勢はすっかり鳴りを潜め、剣を構えたままマルクを強く警戒している。


(さすがに1年の覇者まで勝ち上がっただけはあるな。怒りに任せた無謀な突撃はしてこないか)


 マルクは、予想外の冷静さを保つ相手に少しだけ感心していた。


 一方のルークは、冷や汗を流しながら目の前の平民を観察していた。


(さっきはあんな大口を叩いたが……なんだこの平民は。全く隙がないぞ……!)


 睨み合いが続く中、マルクはニヤリと笑って口を開いた。


「おいおい、ビビってんのか? 俺程度にビビってるようじゃ、グランには近づくことすらできねえぞ」


「っ……! なら、これでもくらえっ!」


 露骨な挑発にルークが顔をしかめ、火炎魔法『ファイアボール』を放った。


 凄まじい熱量を持った炎の塊が、一直線にマルクへと襲い掛かる。


 しかしマルクは避けることもせず、ただ無造作に腕を振り抜き、そのファイアボールを素手で弾き飛ばした。


「なっ……!? 一体、何の魔道具を使ったんだ!」


 あっけにとられたルークが叫ぶと、マルクは呆れたようにため息をついた。


「そういう言葉がすぐに出る時点で、お前は自分の目で実力差を測れてないって証拠だ。……まさか、これで終わりか?」


「ふざけるな……っ!」


 マルクのさらなる挑発に、ルークは額に青筋を浮かべ、より強力な魔法『ファイアトルネード』の詠唱を始めた。


「遅えよ」


 だが、マルクの声は詠唱中のルークのすぐ目の前で響いた。


「え……?」


 ルークがその異常なスピードに反応する間もなく、マルクの重い拳がルークの腹部を深々と殴りつけた。


「がはっ……!?」


 詠唱をキャンセルされ、腹を押さえて崩れ落ちそうになるルーク。


「まだ終わりじゃねえぞ」


 マルクは容赦なく追撃の蹴りを放つ。


 ルークはすんでのところで剣の腹を盾にして防御したが、その強烈な威力に耐えきれず、後方へと大きく吹き飛ばされた。


 地面を転がり、荒い息を吐きながら立ち上がるルーク。 彼はここでようやく、目の前の平民との間にある『絶対的な実力差』を思い知らされ、完全に萎縮していた。


「どうした、怖気づいたか? なら、降参するか?」


 マルクが静かに問いかける。


 しかし、侯爵家の次期当主としてのプライドが、ルークにその言葉を言わせなかった。


「ふざけるなああああっ!」


 ルークは自身の剣に炎の魔法を纏わせ、決死の覚悟でマルクへと斬りかかった。


 炎を引いて迫る凶刃。 だが、マルクは手に高密度の魔力を纏わせると、その刃を『片手』でガシィッと掴み止めた。


「なっ……!?」


 ルークは驚愕に目を見開き、必死に剣に力を込めるが、マルクの手は岩のようにびくともしない。


「甘えな」


 マルクは剣を掴んだまま、空いているもう片方の拳で、ルークの顔面を思い切り殴り飛ばした。


「あぐっ……!」


 顔面を殴られたルークは、そのままの勢いで場外まで吹き飛んでいき、白目を剥いて気絶した。


 審判が駆け寄り、ルークの意識がないことを確認してカウントを取る。


「勝負あり! 勝者、マルク!」


 審判の宣言が響き渡ると、静まり返っていた観客席から、割れんばかりの歓声と拍手が沸き起こった。


 マルクは観客の声援に対し、力強く腕を突き上げて応えた。


 その後、マルクがSクラスの専用観覧席へと戻ってくる。


「どうだ、グラン!」


「腕を上げたな。特に、最後に剣を掴んだのは、俺の『ソードブレイク』を参考にしたのか?」


 グランが感心したように尋ねると、マルクは照れくさそうに頭を掻いた。


「へへっ、あの技、ちょっと憧れててさ。こっそり練習してたんだよ」


「素直にすごいと思うぞ。もっと魔力操作の精度を上げて練習すれば、そこらの剣なら、指二本で掴んで折ることもできるようになる」


「マジか! いつか絶対にできるようになってやるぜ!」


 グランの言葉に、マルクは目を輝かせてさらなるやる気を燃やした。 そして、マルクはルヴィリスの方へと向き直り、深く頭を下げた。


「ルヴィリス様。弟さんを思い切りぶん殴っちまって、すんません……」


「顔を上げなさい、マルク。よくやりましたわ。あなたのおかげで、あの子も少しは目が覚めたでしょう。もちろん、今回のことは不問とします」


 ルヴィリスが優しく微笑んで労うと、マルクはホッとしたように息を吐いた。


 気絶したルークが係員によって医務室へと運ばれていった。



 そして、2年生、3年生の決勝戦が終わり、学園長がマイクを手にして舞台の中央に立った。


 いよいよSクラスのエキシビジョントーナメントが始まる。


『皆の者、待たせたな! それではこれより、Sクラスによるエキシビジョントーナメントを開始する!』


 学園長の宣言に、場内のボルテージは最高潮に達した。


「さあ、第一試合だ。行ってくる」


「私の一撃、耐え切ってみせなさいよ!」


 第一試合の対戦者であるカロンとベアトリクスが、互いに闘志を燃やしながら舞台へと降り立つ。


 そして二人は、凄まじい歓声の中でそれぞれの武器を構え、向かい合った。

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