第68話:王国建国祭
『王国建国祭』
それはかつて、勇者ライキス率いるレジスタンスと周辺国が、その権能を傘に悪政を敷いていた聖王国と聖王に反旗を翻し、これを打ち滅ぼして新たにファリス王国を建国したことを祝う記念祭である。
王都では一週間にわたって盛大な祝祭が行われ、街中は一年で最も華やかな空気に包まれていた。
修了式の日に四聖華とデートの約束をしたグランは、以前のデートと同じ王都の待ち合わせ場所で立っていた。
グランは彼女たちから「四日連続でここで待っていて」とだけ言われており、当日まで誰が来るのか教えられていない。
四聖華的にはサプライズのつもりらしく、グランも「そういう可愛いところがあるならいいか」とそれほど気にしていなかった。
『マスター、よく四日連続のデートなんてする気になりましたね』
(以前、ヴァーミリオン侯爵夫人に「あまり断りすぎると女は自信を無くす」って言われたからな。それに最近はずっと蒼白銀の翼で六人一緒だったし、たまにはそれぞれと二人きりで過ごす時間も必要だと思ったんだよ)
『なるほど。立派なプレイボーイのセリフですね』
(お前、そんなこと言うなよ……)
『しかしマスター。彼女たちは貴族ですから、成人しても婚約者がいないというのは外聞に響きますよ。卒業までに誰か一人を決めるべきでは?』
(……いや、卒業後もしばらくはこのままでいいと思ってるんだが。外聞が響くとか言われると辛いな)
そんな風に意識の海でぼやいていると、「グラン様!」と弾むような声で名前を呼ばれた。
振り返ると、春らしい可憐な私服に身を包み、満面の笑みを浮かべたソフィアが立っていた。
「お待たせいたしました! 今日は私とデートです!」
「ああ、よろしく。ソフィ、その服すごく似合ってるよ。俺は建国祭は初めてだから、案内を頼むな」
「はいっ! ……人がいっぱいで、はぐれては駄目ですからね」
ソフィアは嬉しそうに頬を染めると、ごく自然な動作でグランの腕に自分の腕を絡ませてきた。
二人は出店で串焼きや飲み物を買い、ぶらぶらと歩きながら活気に満ちた王都の雰囲気を楽しんでいた。
すると、向こうから見覚えのある顔が歩いてくるのが見えた。
「おっ、グランじゃないか! ……って、ソフィア様とデートなんてすげえなお前!」
「ソフィア様、グラン君とデートなんてすごいですね。ふふっ」
平民クラスの同級生であるマルクとレキシのカップルだった。
「おいレキシ、どういう意味で言ってるんだそれは」
グランがすかさずツッコミを入れると、ソフィアはさらにグランの腕をギュッと引き寄せた。
「ふふっ、今日は二人で楽しんでいるんです」
はにかみながら答えるソフィアを見て、マルクとレキシは「お熱いねー」とニヤニヤしながら茶化してくる。
「まあ、今日はソフィの日だからな」
「……おい、まさかお前、四聖華全員とデートするつもりなのか!?」
「そうだけど?」
「お前……やっぱ色々な意味ですげーな……」
呆れ果てた様子のマルクたちと別れた後、さらに王都を歩いていると、ソフィアが「行きたいところがある」と提案してきた。
「行きたいところってどこなんだ?」
「よく当たると有名な占い屋があるんです。そこで、私たちの運勢を占ってほしくて」
グラン自身は占いの類はあまり信じていなかったが、ソフィアが行きたいと言うならと付き合うことにした。
薄暗い占いの館に入ると、ソフィアは少し緊張した面持ちで「二人の将来を占ってほしい」と告げる。
怪しげな占い師が水晶に魔力を通して占いを始めると、やがて厳かな声で結果を口にした。
「困難な状況に陥るが、自分の信じる者について行けば、自ずと道は開かれるだろう」
その結果を聞いて、ソフィアは「困難な状況」という言葉に少し不安を覚えたのか、グランの腕に強くしがみついてきた。
「……でも、自分の信じる者について行けと言われましたから。私はグラン様について行きます」
グランはそんな彼女を安心させるように、優しく頭を撫でた。
「ただの占いだから、あんまり気にしない方がいいぞ。……もし俺が間違った道に行きそうになったら、その時はソフィが正してくれればいい」
「グラン様が間違うことなんてありません! もし間違っていたとしても、私はどこまでもついて行きます!」
(……ソフィの愛が重いな)
グランは心の中で苦笑しながらも、真っ直ぐに自分を見つめる彼女の想いを嬉しく思った。
その後も二人は夕方になるまで王都を歩き回り、建国祭を満喫した。
「今日は本当にありがとうございました、グラン様。こうして一緒に歩いているだけで、私は幸せです」
「俺も楽しかったよ。一日案内してくれてありがとう」
夕暮れの街角で、二人は「また学園で」と笑顔で別れ、一日目のデートは穏やかに幕を閉じた。
そして二日目、同じ時間に同じ待ち合わせ場所で待っていると、「グラン殿」と凜とした声が聞こえた。
振り返ると、そこには春らしい装いに身を包んだディアドラの姿があった。
いつもは剣士らしいキリッとした印象の彼女だが、今日はふんわりとした可愛らしい雰囲気を纏っている。
「いつもと違ってすごく可愛いな、よく似合ってるよ」とグランが素直に褒めると、ディアドラは照れくさそうに微笑んだ。
「……今日は私だ。一緒に楽しもう、グラン殿」
彼女からそっと手を繋いできたため、グランも優しく手を握り返すと、ディアドラの顔は花が咲いたように明るくなった。
そのままぶらぶらと食べ物や飲み物を買い歩きしながら建国祭を回っていると、ディアドラが「行きたいところがある」と言い出した。
「どこに行くんだ?」と尋ねると、「すごく当たる占い師がいると聞いて、そこに行きたいのだ」と答える。
(……昨日ソフィと行ったところなんじゃないか?)
グランが嫌な予感を抱きながらついて行くと、案の定、昨日と全く同じ占いの館に到着した。
一応、何を占うのか聞いてみると、「グラン殿との将来を占いたい」と真剣な顔で言われ、グランは無言で天を仰いだ。
中に入ると、占い師は昨日のことを覚えていなかったのか、ごく普通に水晶へ魔力を通して占いを始める。
そして出た結果を、占い師は重々しい口調で読み上げた。
「刃を交わし道を違えるが、相手を信じていれば道は開くであろう」
その言葉に、ディアドラは「刃を交わし道を違える……つまり、グラン殿と敵対するということか?」と顔を青ざめさせる。
「そんなことあるか? 俺たちが敵対するなんて、今のところあり得ないだろ」
グランが笑い飛ばそうとするが、ディアドラは深く不安がった。
「今はあり得ないと思っているが、未来はわからない……私の未来視でも幾何百の可能性があるから、あり得るかもしれない……」
そんな彼女を見て、グランは真剣な表情になり、「もし俺が敵対した時は、迷わず俺を斬れ」と真っ直ぐに告げた。
「そんなこと、できるはずがないだろう!」とディアドラが強く首を振ると、グランは彼女をそっと抱きしめた。
「俺は、君に斬られて死ぬならそれでもいいんだ」
「……っ!」
「ディアは将来、この国の剣になる存在だ。何かの間違いで俺が国に仇なす者となってしまったら、君は俺を斬るべきだ。それが剣の役割だ」
「……」
「だから、信頼している君に斬られるなら本望だ」
グランの覚悟と深い愛情のこもった言葉に、ディアドラは瞳を潤ませながら「その未来が訪れないように、私が頑張る」と強く言い切った。
安心したようにディアドラは再びグランの腕に絡みつき、その後は二人で心からデートを楽しんだ。
そして夕方になり、解散の時間が訪れる。
「私の未来視で無限の可能性を見るなら、絶対にその未来が来ないようにすると誓う」
力強く宣言するディアドラに、グランも「お互いの未来のために頑張ろう」と微笑み返す。
「また学園で会おう」と手を振り合い、二日目のデートも無事に終わりを迎えた。
三日目。同じ時間に同じ場所で待っていると、「グラン君!」と嬉しそうに自分を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると、そこには春の装いであるシンプルなワンピースに身を包んだエルスメリアの姿があった。
しかし、そのシンプルな布地は彼女の豊満な体を強烈に主張しており、ある意味で目の毒だった。
エルスメリアは自分の体を強調するような誘惑するポーズを取り、「どうかな?」と首を傾げる。
「……とても刺激的だ」
グランが正直に感想をこぼすと、エルスメリアはスッと距離を詰め、耳元で甘く囁いた。
「ふふっ。……今なら、何してもいいですよ?」
『……マスター、今日は多分喰われますね』
(……貞操の危機だ)
アンサートーカーの無慈悲な予言に嘆くグランをよそに、気を良くしたエルスメリアは腕を絡ませ、豊かな胸を押し付けながら歩き出した。
(理性が持たん……)と冷や汗を流しながらも、グランはエルスメリアと共に出店で買い物を楽しむ。
すると、「お、グランじゃないか」と声をかけられ、振り返るとそこにはカロンとニーナがいた。
「エルスメリア様とデートなのか! 昨日マルクから四聖華全員とデートするって聞いたけど、お前はやっぱすごい奴だな!」
「エルスメリア様、とってもお似合いですよ。ふふっ、モテるねー」
「うるせえよ」とグランは照れ隠しにツッコミを入れつつ、少しだけ世間話をして二人と別れた。
再びぶらぶらと王都を回っていると、道行く男たちがすれ違いざまにこちらを見ているような気がした。
だが、彼らの視線はグランではなく、どう見てもエルスメリアの胸に集中している。
それに気づいたグランは、ため息をつきながら自分の着ていた上着を脱ぎ、エルスメリアの肩にバサリと被せた。
「えっ……? グラン君、どうしたの?」
「……あんまり君を、他の男に見せたくない」
グランが少し不満げに言うと、エルスメリアはパァッと顔を輝かせた。
「グラン君……っ! ふふ、実は私、以前はこの体が嫌で、男の人の視線に辟易していた時期もあったの。」
「でも、今は自信を持って歩くことができるわ。だって、これでグラン君を堕とそうって思えたから!」
「それにね、お母様からも言われたの。『堂々としていれば何も恥ずかしくないし、イラつくこともない』って。」
「お母様も初めは同じように悩んだらしいけど、逆に『お前たちが一生かかってもこれに触れることはない』と強気に思うことが大事だって言われて。それ以降は、私もそう思って堂々としているの」
侯爵夫人の豪快すぎるアドバイスに、グランは「なるほど……」とエルスメリアのたくましさに驚かされた。
「だからね、これに触れていいのは、世界中でグラン君だけですよ?」
エルスメリアは上着の下から再び腕を絡ませ、さらに密着して誘惑を再開する。
(貞操の危機レベルが上がったぞ……)とグランは戦慄しながらも、デートを再開した。
やがてエルスメリアが「行きたい場所がある」と言い出し、グランは(二度あることは三度ある)と覚悟を決めた。
案の定、到着したのはまたしても「あの占い屋」だった。
占い師は全く覚えていない様子で水晶の前に座っている。
「何を占うんだ?」とグランが聞くと、エルスメリアは目を輝かせて答えた。
「グラン君との将来です! 子供は何人できるかとか、結婚して二人で侯爵領に帰ったときの生活とか!」
(……もう結婚して実家に帰るの確定なのかよ)
占い師が水晶に魔力を通して占った結果は、次のようなものだった。
「遠く離れていても相手を思い、自分の役割を全うすれば、自ずと道は開くであろう」
「遠く離れていても……? グラン君、王国から出てしまうの?」
不安そうに見上げるエルスメリアに、グランは優しく声をかける。
「今のところ、王国から出るといっても聖域の鍛錬くらいだろ。それに、『自分の役割を全うすれば』って言ってるし、要は信念を持って励めばいいってことなんじゃないか?」
「なるほど、そういうことね!」とエルスメリアは明るく頷いた。
占いの館を出て少し路地に入ったところで、突然エルスメリアがグランの手を強く引いた。
「もう……我慢できません!」
人通りがなく、外からは見えない路地裏に強引に連れ込まれる。
見かけによらず力が強いエルスメリアは、興奮した様子でグランを壁際に追い詰めた。
「今から、ここで既成事実を作ります!」
(お、おいアンサートーカー! 助けてくれ!)
『録画の準備はできていますよ、マスター』
(助ける気さらさらないだろお前!!)
ここまでかと思ったグランだったが、ふとある作戦を閃いた。
グランは身を翻してエルスメリアの腕を躱すと、逆に彼女を壁に押し当てて「壁ドン」の体勢を取った。
「えっ……?」
「エル……いけない子だ」
グランはエルスメリアの耳元で甘く囁くと、そのまま彼女の唇を塞ぎ、思いっきりキスをした。
「んっ……ぁ……っ」
しばらく深くキスを交わした後、グランが唇を離すと、エルスメリアは恍惚の表情を浮かべたまま、ぺたんとその場に腰を抜かして座り込んでしまった。
「大丈夫か?」
「……とても幸せな気分で、もう……腰に力が入らなくて、歩けません……」
とろんとした瞳で見つめてくるエルスメリアを、グランは仕方なくお姫様抱っこで抱え上げ、近くのベンチまで連れて行き隣同士で座った。
エルスメリアを自分にもたれ掛からせ、彼女が回復するまでゆっくりと休憩を取る。
そして夕方頃にようやく復活したエルスメリアは、頬を真っ赤に染めながらも満面の笑みを浮かべていた。
「既成事実は作れませんでしたが、キスしてもらったので満足です! これで私が一歩リードですね!」
ルンルンと上機嫌でスキップするように帰っていくエルスメリアを見送る。
『なかなか見事なカウンターでしたね。見直しましたよ、プレイボーイ』
(うるさい! あの時ああしないと、間違いなく俺が喰われてただろ!)
助けてくれなかったアンサートーカーに怒りをぶつけながらも、グランは嵐のように過ぎ去った三日目のデートに深い疲労の息を吐くのだった。
四日目。デートしていないのはルヴィリスだけだ。
グランは昨日までと同じ場所、同じ時間で同じように待っていた。
待ち合わせ時間が少し過ぎた頃に「グラン!」と呼ぶ声が聞こえ、振り返ると走ってきたのか少し息を切らしたルヴィリスがいた。
「ごめん、遅れちゃって……」
申し訳なさそうにしているルヴィリスに、グランは近づいて「大丈夫だ」と声をかけ、少し乱れた彼女の髪を手ぐしで梳かしてやる。
ルヴィリスはびっくりしたように肩を揺らしたが、すぐに気持ちよさそうに目を細めた。
「さあ、行こうか」
グランが手を差し出すと、ルヴィリスは嬉しそうにその腕を絡ませてきた。
「昨日までと同じように、出店で食べ物や飲み物を買うか?」
グランが聞くと、ルヴィリスは「見たい劇があって、そこに行きたいの」と答えた。
いかにもルヴィリスらしいなと思いつつ、二人は劇場へと足を運ぶ。
すると、案内人が「ヴァレンタイン侯爵令嬢様ですね、お待ちしておりました」と最上級のVIP席へと案内してくれた。
「あの俺、平民ですけど、この席でいいのですか?」
グランが案内人に尋ねると、案内人は深々と頭を下げた。
「劇場支配人から絶対に粗相をするなと厳命されております。あなた様を平民だと侮り蔑む者は当劇場にはおりませんので、ご安心ください」
ルヴィリスは自慢げに胸を張り、「ここの出資は我がヴァレンタイン家が筆頭なの」と微笑む。
「逆らったらすべてが終わってしまうと、彼らもわかっているのでしょうね」
(……侯爵家の権力、やっぱりすげえな)
グランは改めて四侯爵家の力を思い知ることになった。
そして肝心の劇の内容だが、高位貴族の令嬢が平民の男に恋をするという物語だった。
色々な困難があった末に、最後に令嬢がすべての地位を捨てて平民として男の家に行くという結末で、最近流行っている身分差の恋の小説を劇にしたものだと後で知った。
ルヴィリスは感動して涙を流しながら観ており、グランも純粋になかなか感動的だったと思った。
「劇も見終わったし、少し腹が空いたな」
グランがそう言うと、ルヴィリスは「その前に、行きたいところがあるの」と言い出した。
(……猛烈に嫌な予感がする)
グランの予感は的中し、案内されたのは案の定、あの占い屋だった。
四日連続で来ているのに、占い師は一向にグランのことを覚えておらず、(この人、本当に大丈夫なのか?)と心の中で疑ってしまう。
ルヴィリスは恥ずかしそうに頬を染めながら、「グランとの未来を占ってもらいたい」と伝えた。
占い師が占った結果は、次のようなものだった。
「信じて導いていけば、自ずと道は開かれるであろう」
店を出た後、ルヴィリスは「信じて導いていけば」という言葉に違立感を覚えていた。
「何か気になるのか?」
「普通は『信じていれば道は開かれる』ならわかるけれど、わざわざ『導いて』と言っていたわ。私がみんなを導くという意味なのかしら?」
「なるほど。ルヴィは俺たちのリーダーだからな。自ずとそういう役割になるんだろう」
グランは頷き、自分の解釈を伝える。
「ルヴィがブレずに俺たちを信じて、しっかり指示を出して導いていけばいい……そういう意味なんじゃないか?」
グランの言葉にルヴィリスも「なるほど、そういうことね」と納得し、その後は王都のレストランでゆっくりと食事を取った。
食後、グランがルヴィリスとぶらぶら歩いていると、偶然ある高位貴族の子息とばったり出くわした。
高位貴族の子息はルヴィリスの隣にいるグランを見て、鼻で笑いながら話しかけてくる。
「なぜ貴女ほどの御方が、そんな平民と逢引きなどしているのですか? 私なら、もっといいエスコートができますよ」
「……私はこの方と建国祭を楽しみたいのであって、エスコートがどうとか身分は関係ありません」
ルヴィリスが冷たくあしらうと、明確な拒絶の言葉に高位貴族の子息は言葉を失った。
そしてルヴィリスは見せつけるようにグランの腕を取り、ギュッと自分の腕を絡ませて密着したままその場を去っていく。
「おい、あれ高位貴族の子息だろ? あんな態度をとって大丈夫なのか?」
「何かあっても、グランが守ってくれるでしょ?」
ルヴィリスが上目遣いで聞いてくるので、グランは迷いなく答えた。
「ああ、何があっても守るよ」
「ふふっ、その言葉が聞けるだけで十分よ」
ルヴィリスは花が咲いたように微笑み、グランの腕にさらに寄り添った。
そして夕方になり、二人は「今日は楽しかったわね」と笑い合う。
「また学園で会おう」と約束を交わし、解散となった。
学生寮の自分の部屋に着いたグランは、ベッドに倒れ込んだ。
(……この四日間、さすがに疲れたけど楽しかったな)
『まあ、デートの立ち回りとしては及第点でしたね』
(お前、エルの時に俺を助けてくれなかったこと、まだ忘れてないからな)
『なんのことですか? 私は二年生からの生活が楽しみですよ、マスター』
どこ吹く風でとぼけながらおちょくってくるアンサートーカーに悪態をつきつつ、グランは新学期への期待を胸に目を閉じるのだった。




