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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第193話:輪廻を外れしもの

 数年ぶりに、王国の王太子となったアリウスから会おうと連絡があった。


 その時には俺の研究はすでに順調に進んでおり、父の実験体の内、三体を自身のものにする工作が成功したところだった。


 父の制御装置であるあの首輪を独自に改造し、より完全に制御できる力を手に入れていたのだ。


 買収した研究員を使い、俺の制御装置の首輪をすり替えさせることで、見事父を出し抜くことができた。


 父の研究者たちはそれに全く気付かず、単に個体の力が強すぎて制御できないのだと思い込んでいた。


 その三体は現に俺の制御装置でも時々暴走することはあったが、そこまで大事になることはなかった。


 そんな折、アリウスは公式の訪問ではなく、秘密裏に俺に会いに来た。


 俺は久しぶりの再会を喜び、懐かしい昔の話や最近の動向について語り合った。


 すると、あいつは驚くべきことを口にした。


 自分も星の歴史、つまりアカシックレコードが見られるようになったというのだ。


 それは俺だけの特別な権能だったはずだ。どういうことだ、と俺は内心焦った。


 しかしアリウスは話を続ける。


 彼の場合はただ「見る」ことができるだけで、俺のように特定の誰かの記録を狙って見ることはできないらしい。


 だから、アレクシア様の血を引くそなたの力と比べればちっぽけなものだ、と彼は言った。


 俺はその言葉に内心で安堵を浮かべた。さらにアリウスは言う。


「君はそろそろ、アカシックレコードに手を加えられるようになっているはずだ。試してみたか?」


 俺は驚いた。手を加える、それはつまり事象を思いのままに操作できるということだ。


 さらにアリウスは、王国の禁書にアカシックレコードのことが書かれた書物があり、今日はそれを持ってきたのだという。


 そう言うと、アリウスは収納魔法から年代物の書物を一冊取り出した。


 アリウスの口から、それが聖王アレクシア自身によって書かれたものだと語られた。


 中にはアカシックレコードの制御法などが記されていた。


 だが、俺にはそこに書かれているような操作はできなかった。


 しかし、『隠蔽』という項目に移った時、俺はそれまでとは違う確かな感覚を掴むことができた。


 試しに、目の前にいるアリウスのアカシックレコードを隠蔽してみる。


 すると、アリウスのアカシックレコードがふっと見えなくなった。


 まるで、巨大な本の中からそのページだけが抜き取られたような感覚だった。


 その後も様々な権能が書かれた項目を試したが、結局俺にできるのは『隠蔽』だけのようだった。


 少しがっかりしたが、アリウスは笑ってこう言った。


「これなら、同じ力を持った者が現れても、我々のことは探せないだろう」


 本をすべて読み終える頃には、かなりの時間が経っていた。


 そして最後のページに書かれていた言葉を見て、俺は息を呑んだ。


『尊き血を引く者たちへ、我が無念をいつか晴らしてくれ』


 そう書かれていたのだ。


 それを見た俺は、やはり自分が皇帝となり、この世界を導く運命なのだと確信した。




 アリウスと別れた後、俺は自分自身のアカシックレコードを探し始めた。


 これまで他人のものばかり見ていたが、自分自身の運命を知ることには少し恐怖があり、避けていたのだ。


 だが、この『隠蔽』という権能は役に立つ。


 現にアリウスが少しとはいえ、アカシックレコードを見られるということは、他にも同じ力を持つ者がいる可能性があるということだ。


 あの本に書かれていた『書き換え』という権能……今考えれば、それは世界を意のままにできるということだ。


 そんな力を持つ者は、もはや神に等しい。もしそいつに俺の存在がバレた時、歴史ごと消されるかもしれない。


 現に、俺がその立場なら迷わず消す。


 そう考えた俺は、十数日もの間、寝る間も惜しんで急いで自分のアカシックレコードを探し続けた。


 そしてとうとうそれを見つけ、緊張しながら詳細を読み進めた。


 自身の生い立ちなどが詳細に書かれており、俺は過去を思い出すように懐かしみながら読んでいた。


 しかし、見ていると途中でぱったりと記述が途切れていた。


 そして最後には、衝撃の事実が書かれていた。


『禁忌の研究により、女神の遣いに殺される』


 そう、父の記録と全く同じことが書かれていたのだ。


 それを見た俺は、頭を殴られたような衝撃を受けた。


 馬鹿な、女神の遣いは俺のことではなかったのか? これは一体どういうことなのだ。


 しばらく考えを巡らせた後、俺はある予測を立てた。


 女神の遣いは、実は俺以外にも多数いるのではないか?


 そうか、この権能を持つ他の者が、俺を殺しに来るということか。


 そう悟った俺は、すぐさま権能を発動し、自身のアカシックレコードを完全に『隠蔽』した。


 その瞬間、自身の魂に何かから外れたような錯覚がした。


 だが、それはこの隠蔽が成功したことだと思った。


 これで俺の存在や未来を誰かに知られることはなくなる。


 すべてをやり切った俺は、ここ数日の寝不足もあり、一仕事終えたという深い安堵感に包まれながら、泥のように眠りこけた。





 そこから俺は身を守るためにも、改造兵士の研究に没頭するようになった。


 もちろん俺自身は専門的な知識を持ち合わせているわけではないが、今では手駒となった優秀な研究員がたくさんいる。


 そしてある日、帝国と王国の親善試合が近づいた頃、俺の息のかかった父の研究員が「特待クラスとして改造兵士の実戦データを取る」と報告してきた。


 親善試合などでは相手が死ぬこともないだろうし、実戦データとしてはあまり有用ではないのではないかと言ったが、研究員は自信ありげにこう答えた。


「おそらく、去年の王国の学園選抜と戦わせるつもりです」


 そうか。たしかにあの者たちなら確かに実戦データとして最適だ。


 去年の試合は直接見ていないが、いつも帝国が勝っていた親善試合で無様に全敗を喫し、さらにはあの第二皇女すら敗れたと聞いていた。


 第二皇女セルフィリア……あの者はとてもいい。


 邪魔な皇族は皆殺しにするつもりだったが、あの強さと美貌ならば、俺が皇帝になった際の伴侶として申し分ない。


 それに、俺がアカシックレコードで得た情報を巧みに使えば、簡単になびかせることができるだろう。


 第一皇女も体つきはいいが、あれは根っからの野心家だ。伴侶にすればいつ寝首を掻かれてもおかしくない。


 まあ話が少し脱線したが、この親善試合の結果次第では、俺の進めている研究ももう一段階上の次元へと引き上げられそうだった。


 俺はその実戦データを少し楽しみにしながら、吉報を待っていた。


 だが、その研究員は帰ってこなかった。


 何日経っても戻らないのだ。


 俺は独自に調べを入れさせたが、痕跡すら何も見つからない。


 しかも、不穏なことに第一皇女が親善試合の視察に行っていたという話を耳にした。


 それを聞いた俺の脳裏に、第一皇女が持つ私設隠密部隊の存在がよぎった。


 一度狙われたら最後、確実に仕留められると噂されるあの部隊だ。


 もし奴らが今回の件に関与しているのだとしたら、いずれ俺の存在に気付かれるのも時間の問題かもしれない。


 優秀な研究員を失ったのは惜しいが、何よりも自分の命が一番だ。


 俺は即座に、特待クラスの行方不明の件から完全に手を引くことに決めた。


 そしてすぐさま父の研究施設にいた、すでに自身のものにしている改造兵士三体を密かに手元へと移し、アカシックレコードを隠蔽した。


 特待クラスに送られた者たちがいなくなっても、最初から『実験体は七体だった』ということで誤魔化せるはずだ。


 この俺の独自研究の全貌は、父を含め誰にも知られていないはずだからな。


 関わった研究員たちには厳重な魔法契約を施しており、情報を漏らすことは絶対にできないようになっている。


 ならば、俺の存在が表沙汰になることは万に一つもあり得ないはずだ。


 それから一月ほど経ったが、父は領内に戻ってこなかった。


 そして俺は、父の側近の一人から「父が行方不明になった」という事実を耳にする。


 それを聞いた俺は決意し宣言する。


「今日から俺がヴェルシュタット公爵家当主として執務を行う」


 そう宣言すると、その側近はすでに俺の手駒であったため、あっという間に根回しを済ませてくれた。


 もともと権能のおかげで、屋敷の要人や重要な立場の人間にはすでに俺の息がかかっていたため、当主の座の引き継ぎは驚くほどスムーズに進んだ。


 こうして俺は、実質的な公爵家の当主へと上り詰めたのだ。


 これで邪魔な父の目を気にすることなく、屋敷の地下で研究を進めることができる。


 研究員たちの報告によれば、最近は以前と比べて遥かに早く、安定して改造兵士たちを作り出せるようになったという。


 これだけの戦力が揃えば、あのアカシックレコードに記されていた『俺の死の運命』が訪れる日にも十分備えることができるだろう。


 来るなら来い。俺こそが真の女神の遣いだ。


 誰が殺しに来ようと、この圧倒的な戦力で完膚なきまでに返り討ちにしてやる。


 そう高揚しながら、俺は新たな実験体の中でも最強の護衛である、この見目も麗しい三体を侍らせ、研究施設の最奥の部屋で今後の資料に目を通していた。


 だが、その時だった。


 不意に部屋の扉が開いたかと思うと、突如として抗えないほどの凄まじい眠気に襲われ、そして体の自由が全く利かなくなったのだ。


 一体、何が起きたというのか。


 状況を理解する間もなく、俺の意識はそのまま深い暗闇へと落ちていった。

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