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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第188話:皇族の秘密

 皇宮で一晩過ごした後、グランは再び皇族と共に、饗宴の間で朝餐をとることになった。


 皇帝はグランを見ると、何かを知っているような、含みのある笑顔を浮かべていた。


 グランは皇帝の様子を見て(これ、完全にバレてるだろ……)と感じ取り、必死に目を合わせないようにしていた。


 しかし、皇帝はそんなグランの態度を面白がり、しきりに女性関係の話を振ってくる。


 セルフィリアが慌てて皇帝を止めようとするが、皇后は「グラン君はモテるわね」と微笑んでいた。


 皇后は昨夜のセルフィリアとシルヴィアの顛末を知っているからである。




 朝餐が終わると、グランは皇帝から呼び出しを受けた。


 昨夜の出来事について問い詰められるのだと思い、グランは内心絶望する。


『マスター、昨日のことバレたようですね。めでたくお尋ね者ですね』


(いや、その前にお呼び出しをされているから、多分死刑だろう)


『どうするんですか?』


(隙を見て逃げる)


『まあ、それが一番でしょうね』


 メイドに案内され、グランは皇帝の執務室へと足を踏み入れた。


 皇帝はグランの顔を見ると、ソファに座るよう促す。


 メイドがお茶菓子をセットして退室すると、皇帝も対面のソファに腰を下ろし、人払いを命じた。


 二人きりになり、グランは緊張のあまり下を向いていたが、やがて皇帝が口を開く。


「どうだ、うちの娘たちは?」


「と、とても見目麗しくて素敵な女性たちです……ッ」


 声が裏返るグランに、すかさず皇帝が追撃をかける。


「昨晩は楽しんでいたようだな」


 グランは即座に土下座した。


「申し訳ございません! ただ、一緒に寝ただけで、事を致すような真似は決してしておりません!」


 必死の弁明に、皇帝は笑いながら答える。


「お前のことはセルフィリアとシルヴィアから聞いているから、大丈夫だ」


(え? マジで?)


「王国でも大層モテるようだしな。帝国に来ればもっとモテるぞ」


 グランが心の中で驚いていると、皇帝は真剣なトーンに切り替えた。


「親善試合で初めて見た時から思っていた。腹の探り合いはなしだ。単刀直入に言おう。お前は転生者だな?」


 その言葉に、グランは一気に警戒を強める。


「沈黙は肯定と取るぞ。まあ、転生者だからといって取って食おうというわけではない。これは皇族に伝わるおとぎ話だからな」


 皇帝は席を立つと、執務机の鍵を開け、数冊の古いノートを取り出した。


「これは皇族の当主が代々守ってきた書物だ。転生者と言われた、我が祖先の私物だそうだ」


 皇帝からそれを受け取ったグランは、中を開いて目を見張る。


 そこには、前世で慣れ親しんだ日本語が書かれていた。


 最初のページを開く。



『四月九日。ここはどこなんだろう。私が最後に見たのは、病室で両親が悲しむ顔だった。白血病って何? 私が何をしたのって思った。それなのに、私は見知らぬ場所で今生きている』


『四月十日。女神アリスティアという人が現れて、これから第二の人生を送れると言われた。私はそれなら両親に会いたいと言ったけど、「あなたはもう元の世界には戻れない」と言われて、すごく悲しかった。その日はずっと泣いていた』


『四月十一日。女神と別れる時、一つだけ能力を上げると言われた。知り合いもいない、孤独な身を守る術が欲しいと願うと、前世で剣道をしていたからか、剣士としての才能をもらった。そして「私の言う通りに人生を送りなさい」と言われた』




『これは「椎名 輝(しいな ひかり)」の日記のようですね』


(そのようだな)


 アンサートーカーの声に、グランも内心で同意する。


 しかし、グランはそれ以上読む気がしなかった。


 他人の日記を勝手に読むのはプライバシーの侵害であり、気が引けたからだ。


 グランが早々にノートを閉じたことに、皇帝は驚く。


「どうした? 読めないのか? 何代も続いて継承されているが、何が書かれているのか我々には全く見当もつかなくてな」


 どう答えるべきか迷い、グランは正直に話すべきかアンサートーカーに相談する。


『マスター、スキャンさせてください』


 グランはアンサートーカーに数冊のノートをスキャンさせた。


 すると、アンサートーカーから予期せぬ指示が飛ぶ。


『マスター、一番下にあるノートの最後のページだけ声に出さず、マスター自身で読んでください』


 グランは指定されたノートを開き、最後のページに目を落とした。


『六月二日。私ももうかなりのおばあちゃんだ。前世ではすぐに死んじゃったけど、今世はすごく充実した人生だった。時々女神さまの指示もあったけど、ほとんどは自分の選択だわ。こうやって二度目の人生を送れたことは女神さまに感謝ね。


 それと、今これを読んでいる同郷の人へ。私の子孫たちはみんな元気で暮らしているかな? 今は亜人たちとの抗争が激しいけど、子供たちはよくやっていると思うわ。私の強さがちゃんと引き継がれていてよかったわ。これからの未来は大変だろうけど、あなたに託すわ』


 最後に、そう記されていた。


 最後のページを読んだグランは決心し、口を開く。


「皇帝陛下、セルフィリアの父ということであなたを信頼してお話します」


 その言葉に皇帝は眼光を鋭くし、グランの話を真剣に聞く態勢をとった。


「俺は転生者です。そしてこの書物は、俺と同じ世界から召喚された転生者の日記です」


「やはりそうか。それで……これは日記なのか?」


 皇帝の言葉にグランは無言で頷いた。


「そうか。皇族として約三百年、やっと謎が解けた。礼を言うぞ」


「内容は確認されなくてよろしいのですか?」


 皇帝は笑いながら答える。


「他人の日記を読む趣味はない。これは責任を持って処分しよう」


 グランは驚いて聞き返した。


「よろしいのですか? 代々伝わってきたものなのに」


 皇帝はゆっくりと語り始める。


「これを書いた者は、今の帝国を象徴するかのような凄まじい強さを誇り、その意思もとても高潔だったと言われている。その者の伴侶が代々一族におとぎ話として伝えるようにし、その話は決して絶やしてはならないということもセットでだ。余程その者が大切だったのだろう」


 そして皇帝は話を続ける。


「そしてその子孫が帝国を建国し皇族として君臨している。そこから皇族の血は絶えていないが、それでも男子が生まれなかった世代は何世代かある。我の世代もそうだ。都度、その時代に一番適した者を皇配として向かい入れ、血を絶やさないようにしている。そして、今代の直系の血を引く皇后、シーナ・グロリアスは、歴代でも皇族の血を色濃く受け継ぎ、凄まじい力を持つ者だ。だがな……」


 そう言って、皇帝は苦笑いをした。


 グランは何が言いたいのかある程度察していたが、黙って次の言葉を待つ。


「シーナ・グロリアスは切れ者中の切れ者だ。今はああやって道化を演じているが、その内面はまさしく皇族としてふさわしく、知勇兼備であり、自身の役割をしっかりとわかっておるのだ」


 その言葉にグランは驚きを隠せなかった。


「皇后陛下はその……とても純粋な方だと思っていました。しかし、皇帝陛下のそのお言葉はまるで……」


 皇帝は満足げに笑う。


「そうだ。これを知っているのは我とある高位貴族だけだ。シーナはな、幼い頃から自身の生まれ持った凄まじい力をどう使おうかとずっと考えていたらしい。自身が力を振るえばすべて解決してしまう。それではこの帝国のためにならないと、あくまで抑止力として居ようとな」


 そして至った答えが『道化を演じる』だったのだ。


 グランはその言葉を聞き、皇后の計り知れない覚悟を思い知った。


 しかし、グランには色々と疑問が湧いてきた。


「皇帝陛下、皇后陛下のことは大体理解できました。ただ……」


 皇帝は黙ってグランの次の言葉を待つ。


「昨日、王国学園の留学生に会いに来たのはなぜですか?」


 すると、皇帝は苦笑いをしながら答える。


「あれはな。シーナが以前、お前とセルフィリアの親善試合の映像を見てな。自分も戦いたいと言い出していたのだ。そして王国の留学生がもうすぐ帰るという話をしたら『今から行く』と言って、本当に学園へ向かってしまったのだ。今思えば、あの映像を見た時点で、すでにお前が転生者であることも見抜いていたのではないかと思う」


 グランは皇后の懐の深さに感嘆した。


 すべてをわかった上で、あえて道化を演じて実力を測り、自分を信頼してくれたのだと、今になって気がついたのだ。


 そして、皇帝が思い出したように爆弾発言を投下する。


「それに、昨夜は一緒に寝たのだろう? シーナが嬉しそうに話していたぞ」


 グランはすぐさま猛スピードで土下座をした。


「すいません! すいません! もちろんやましいことは何一つありません!」


 皇帝は笑いながら告げる。


「わかっておる。シーナも言っていた。娘たちの風紀が乱れていると思ったから様子を見に行ったら、そこのお前の態度を見て微笑ましくなり、そのまま自分の子供だと思って一緒に寝た、とな」


 グランはそれを聞いて安堵した。


 そして、皇帝が締めくくるように話す。


「今日呼び出した用事はこれで終わりだ。グラン・グラニアス、転生者としてお前の背負っている運命は計り知れないだろう。だがこれだけは覚えておけ。我ら皇族は、転生者によって存在していると言っても過言ではない。だから、何かあればいつでも協力しよう」


「ありがとうございます」


 その力強い言葉に、グランは深く礼を述べた。


「それと、娘はどっちがいいんだ? 親から見てシルヴィアもセルフィリアも、どちらもああ見えて尽くすタイプだぞ。なんなら二人もらっても構わん」


 皇帝はにやけながらそう言った。


「それはまた、改めてご返事を……」


 グランは冷や汗をかきながら言葉を濁した。





 皇帝の執務室から出て、メイドに自室へと案内される。


 本当は一人でも戻れるのだが、皇族でもない他国の人間が皇宮で好き勝手はできない。


 それに、今案内をしているメイドは、どう見ても暗部の人間であるため、余計なことはせず静かに従うほうがいい。


 豪華な廊下を歩いていると、皇后に遭遇した。


 メイドが恭しく礼をし、グランもそれに倣って礼をするが、皇后はグランに抱きついてくる。


「グラン君、探したわよ! ちょっと来て!」


 そう言うと、メイドの制止も聞かず、グランは強引に皇后に引っ張られて連れて行かれた。






 そして、皇宮の裏手にある演習場へと連れ出される。


 グランが皇宮に演習場があるのかと思っていると、その疑問に気づいた皇后が話しかけてきた。


「ここはね、私専用の演習場なの! 特殊な造りをしているから、本気で暴れても壊れないのよ!」


 その言葉に、グランは嫌な予感を覚える。


「あの人から全部聞いた?」


「はい、すべてお聞きしました。皇后陛下の懐の深さに感服いたしました」


 グランがそう答えると、皇后はそれまでの天真爛漫で純粋な雰囲気を一変させた。


 怜悧で凄まじい覇気と殺気である。


「そう、ならこれでいい。改めて、私がグロリアス帝国皇后シーナ・グロリアスだ」


 威厳のある声でグランに名乗る。


 そして、剣を抜いて言い放った。


「あの時は手加減をして、お前の強さを測るつもりだった。ただ、負けたとはいえ、まだ底は見えないな。見せろ。貴様の本気を」


 そう言うや否や、昨日とはまるで比べ物にならない、本気の殺意を持ってグランに攻撃を仕掛けてきた。


 グランはすぐに『イージス』で防ぐが、瞬く間にイージスが破られる。


(なっ、イージスを!)


 グランは後ろへ回避するが、皇后はすぐに距離を詰めてくる。


 グランは再度、先ほどより強化した『イージス』を張り、皇后の攻撃を防いだ。


 すると、皇后がグランの目を射抜くように見て言った。


「本気を出せと言ったはずだ。貴様、私を舐めているのか?」


 グランは心の中でアンサートーカーに告げる。


(これは本気を出さないと終わらないな。アンサートーカー、素のステータスを解放しろ)


『了解。私たちの本気を見せましょう』


 アンサートーカーが冷静に応じた。

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