幕間:BHM
【注意】
この話には性的な描写や、しょうもない下ネタがあります。
苦手な方はご注意を。
グランは限界だった。
何が限界なのかと言えば、主に性欲的な意味での限界である。
前世と違い、学園生活での美少女たちの包み隠さず向けられる好意、そして度重なる誘惑や過激なスキンシップ、普通の男でもこの状況なら、開き直って無茶苦茶にしてもおかしくない状況だ。
しかし、グランの中身はアラフォーの真面目なサラリーマンである。
それに少し古風な貞操観念を持ち合わせているため、そういうことは真剣に考えてしまうのだ。
ただ、精神がそうだとしても、肉体の方はそうはいかない。
前世の一般的な高校生ならそっち方面の知識に興味津々の時期であり、早い者ならすでに経験も済ませているような年頃だ。
グランも男だ、理性だけではもう抑えることができなかった。
前世ならいわゆる『自家発電』で発散するところだが、この世界に来てからはそれが限りなく困難だった。
理由は簡単である。
『マスター、今年も全然ダメでしたね。ガンガンやりまくって、ハーレムを築きましょう』
『そうよグラン! 私の物語「学園ハーレム」に花を添えて、美少女たちとイチャコラしなさいよ!』
そう、この二人の存在である。
常に脳内にいる相棒のアンサートーカーと、神界から常に自分の行動を見ている女神アリスティアだ。
自家発電なんかしようものなら散々おちょくられ、最悪の場合は録画までされる。
特に、最近すっかり遠慮がなくなってきた相棒に関してはその危険性が極めて高い。
それに、何をおかずにしたのかなど、どう考えてもみんなにチクられる恐れがあった。
しかし、このまま自家発電すらできなければ、いずれ精神的にも肉体的にも限界が来る。
食欲、睡眠欲、性欲という人間の三大欲求の一つを完全に抑えつけられれば、いくらアラフォーの精神力を持つ無敵の男でも限界があるのだ。
さらに、王国建国祭でのソフィア、エルスメリア、そしてオリヴィアに、なんとシルヴィアのせいで完全に我慢の限界が来てしまった。
というか、もうすでに限界を超えるのは、秒読みだった。
グランは決心し、アンサートーカーとアリスティアに語りかけた。
「お前ら、しばらく俺とのリンクを切ってくれ」
その言葉に、二人は訝しげに尋ねてくる。
『マスター、急にどうしたんですか?』
『グラン? 急にどうしたの?』
「一時間、いや三十分だけでもいい。俺を一人にしてくれ」
そうグランが懇願するも、二人は納得せずに反論した。
『マスター、せめて事情を言ってもらわないと。それに私がいないと魔法の制御が甘くなって、マスターが魔法を使って失敗した場合、最悪この一帯が更地になりますよ』
『そうよ! 何の事情もなしにしばらく一人にしてくれだなんて、あなた一人にしたら暴走しちゃうじゃない!』
全く言うことを聞いてくれない二人の態度に、グランは腹を括った。
(もうこうなったら正直に言おう。それで馬鹿にされたら諦める)
そう決心したグランは、すべてを包み隠さず正直に告白した。
「もう性欲が我慢できないんだよ。自家発電でもしないと、このままじゃ俺は精神を病む」
それを聞いた二人は、ピタリと黙り込んだ。
(ああ、今から罵詈雑言を浴びせられて一生おちょくられるんだな)
グランは内心でそう思い覚悟する。
しかし、しばらくの沈黙の後、アリスティアが少し遠慮がちに口を開いた。
『グ、グラン……ご、ごめんね。確かに男の子はそうよね。本当に気付かなかったわ。……わかった、私は一時間モニターを消すし録画もしないわ』
アンサートーカーもそれに続いて、申し訳なさそうに言う。
『マスター、相棒としてマスターの性欲を度外視していました。これは相棒として失格です。私も一時間マスターとリンクを切り、神界へ行ってアリスティア様と時間を潰します』
二人のまさかの理解ある対応に、グランは心底驚いた。
「お前ら……いいのか? 俺は散々おちょくられると思ったのだが……」
『文面だけ見たら面白いけど、さすがに生理現象を馬鹿にするのはちょっと違うと思うわ』
『このまま我慢し続けていざという時、マスターのマスターが機能しなくなると、ハーレムどころではないですからね。医学的にも適度な自家発電は必要とされています。さすがにこれをおちょくるのはちょっと無理です』
(……言ってみるもんだな)
グランは心の中で深く安堵した。
「じゃあそういうことだから、合図したらリンクを切ってくれ」
『わかりました』
『わかったわ』
二人とも素直に承諾し、グランからの合図を待つ態勢に入った。
グランはこれから訪れる至福の一人の時間に向けて、少しウキウキしていた。
しかし、アンサートーカーから余計な一言を言われた。
『マスター、おかずは何にするつもりなんです?』
「そんなの恥ずかしくて言えないだろ!」
グランが赤面して叫ぶと、アンサートーカーは努めて真面目に告げてきた。
『例えばですが、先日のシルヴィア様のとても美しいお体をヴィジョンで見ようとしても、過去の事象の映像をヴィジョンで見る場合、私がアカシックレコードとリンクして行うため、私なしで使うのはほぼ無理ですよ』
ヴィジョンをあてにしていたグランは、その絶望的な事実に直面する。
「まじで?」
アンサートーカーはさらに恐ろしいことを提案してきた。
『この際、本番まではともかく、誰か一人に連絡して、おかずを提供してもらえばいいんじゃないですか?』
「バカ! そんなことしたら既成事実を作ったことになって、余計大変なことになるだろ!」
アリスティアも横から口を挟んでくる。
『娼館にでも行く?』
「未成年は入れないだろ」
グランは即座に却下し、二人に念を押した。
「そこはとりあえず何とかするから、あと五分後にリンクを切ってくれ」
『『じゃあ切る前に声をかけるね(掛けますね)』』
そしてきっかり五分後に声を掛けられ、二人は宣言通りリンクを切った。
グランは完全にリンクが切れた感触を確認し、飛び上がりながら喜んだ。
「平和が来たぞ!これで自由だ!」
そして、これからどうするかを色々と考える。
そこでグランは、あるとんでもない名案(?)を閃いた。
(せっかく魔法が使えるんだ。どうせなら異世界らしく、魔法でやろう)
そう思い立ったグランは両手を前に構え、なんと小さなブラックホールを作り始めたのだ。
アンサートーカーのサポートがないせいか、グランは魔法の制御に悪戦苦闘する。
しかし、度重なる鍛錬や死線を潜り抜けた経験により、少し時間が経つと魔法は安定し始めた。
そして、無事にその極小のブラックホールを宙に滞留させ、周りを結界で覆い囲むことに成功する。
グランはいそいそと服を脱ぎ始め、ごくりと唾を飲み込んだ。
グランは謎の高揚感を感じていた。
(人類史上、ブラックホールで自家発電をするなんて俺が初めてだ!)
ブラックホールを最初に発見した科学者たちへの冒涜である。
「今は素のステータスだしな。耐えられるだろう。いくぞ!」
グランはそんな安易な考えで、真っ黒なその穴に向かって自身のソレを勢いよく突っ込んだ。
バチュンッ!
次の瞬間、グランのグランは無残にも粉微塵に吹き飛んだ。
グランは目の前の絶望的な事実に、しばらく呆然としていた。
なんせ、自身のそれが跡形もなく消え去ってしまったからである。
ショックのあまり、グランの脳裏に走馬灯がよぎった。
ルヴィリスのやらしくも品のあるスキンシップ。
エルスメリアの爆弾ボディによる圧倒的な誘惑。
ディアドラの直情的な想いによるスキンシップ。
ソフィアのヤンデレ気味の過激な誘惑。
オリヴィアの普段とは違うギャップのある情熱的なスキンシップ。
セルフィリアの姉御肌で女友達の感覚のような誘惑。
シルヴィアが急に脱ぎだしたあの光景。
そして最後に、ヴァレンシア侯爵夫人のお風呂突撃。
グランはその場で倒れこみ、口から泡を吹いて崩れ落ちた。
グランが馬鹿をやって泡を吹いて倒れる少し前、ルヴィリスは王都の屋敷にいた。
そして、日課である魔力操作の鍛錬と魔眼の鍛錬を行っていたのである。
「魔眼の鍛錬は限界まで使い込むのがいい」
グランが以前そう言っていたからだ。
一年生の時の魔導大会で、ディアドラの未来視が暴走したのも、その鍛錬不足が原因だということで、四聖華たちは魔力操作のほかに、魔眼の鍛錬も毎日欠かさず行っていた。
ルヴィリスはその鍛錬をしていた際、偶然、本当に偶然にも、王都の屋敷の自分の部屋から、グランのいる学生寮の部屋が、魔眼により丸見えだということに、気づいてしまったのである。
これは自分だけのアドバンテージだと思い、彼女は『グランを堕とす会』のメンバーにもその事実を報告していなかった。
一度、ソフィアからルヴィリスにこんなことを言われたことがあった。
「ルヴィの遠視と透視の魔眼で、グラン様の部屋を覗けないかしら?」
「やってみるわ。……うーん、結界を張っているのか、見えないわね」
しかしルヴィリスは、しれっと嘘をついたのだ。
それからというものの、暇さえあれば学生寮だろうが王都の屋敷だろうが、グランの部屋を覗き込むという、淑女にあるまじき行為をほぼ毎日繰り返していたのである。
ただ、グランは真面目に魔力操作の鍛錬をした後、すぐに眠ってしまうため、今まで自家発電をしていなかったことが彼女にとって、彼にとっても幸いだった。
そして春休みの今日、いつものようにグランの部屋を覗こうとした時、グランが両手に高密度の魔法を生成していることに気づく。
ルヴィリスは、春休みでも鍛錬を怠らないグランの姿に感心し、自身も頑張ろうと心を新たにしていたところであった。
それでも覗き行為自体はやめないのがルヴィリスだった。
一度やってしまえば人間の欲は止まらない、彼女は完全なむっつりに出来上がってしまった。
そしてそのままグランを見守っていると、グランが急に服を脱ぎだし一糸まとわぬ姿になった。
ルヴィリスは顔を赤らめて悲鳴を上げた。
「きゃっ!」
悲鳴を上げつつも、両手で顔を覆った指の隙間からその姿をガン見していた。
そして、露わになったグランのグランを見て、今までなかったこの状況にひどく興奮していた。
(あれがグランの……)
しかし次の瞬間、グランが謎の黒い球体にそれを入れた途端、あれが弾け飛んだところを見てしまう。
さらには、グランが口から泡を吹いて倒れる姿まで、一部始終をそのまま目撃してしまった。
普通なら間違いなくトラウマものである。
ルヴィリスはその衝撃的な光景を見て激しく慌てた。
このまま男子寮でグランが一糸まとわぬ姿で、しかも『あれ』が吹き飛んでいる状態で発見されれば、明らかに事件として扱われてしまう。
そして最悪の場合、グランは大恥をかいて学園を去ってしまうかもしれない。
たとえ自分がこっそり助けに行ったとしても、今度は自分がグランの部屋を日常的に覗き込んでいたことがバレてしまう。
でも、このままだとグランが死ぬかもしれない、一体どうすればいいかと彼女は激しく悩んだ。
しかし、そこである名案を思いつく。
(そうだわ。私がそのまま助けて、お互いに秘密の共有をすればいいのよ。)
そして内なる欲望が彼女にとんでもないことを思いつかせる。
(あわよくば、この恥ずかしい秘密をネタにして、彼との既成事実を作ることも可能ね)
ルヴィリスはとてつもなくしたたかであった。
彼女は早速王都の屋敷から飛び出し、男子寮に向かおうとする。
しかしそこで偶然にも、ソフィアに見つかってしまった。
「ルヴィ、こんなところで奇遇ね。どこに行くの?」
「……学園よ」
ルヴィリスが簡潔に答えるも、ソフィアはその行動を怪しむ。
「どうして学園に行くの? まさかグラン様に会いに行くの?」
(今ここでその発想は一番いらないわ!)
ルヴィリスは内心で焦りつつも、平然と嘘をついた。
「違うわよ。教室に忘れ物をしたから取りに行くだけだわ」
ソフィアはその言葉を怪しむも、自身もこれから別の用事があるためそれ以上は追及せず、二人はその場で別れるのであった。
ルヴィリスは学園前に着き、学生寮に忍び込もうとするが、入り口前の守衛が全く動かない。
そこを通らないとグランの部屋にはたどり着けなかった。
侯爵家の権力を使えば通れるかもしれないが、侯爵令嬢が男に会うために守衛を権力で退かせたとあっては外聞どころの騒ぎではない、何だったらその騒ぎでグランのことがバレる可能性がある。
ルヴィリスはいったん落ち着いて冷静に考える。
すると、後ろから声を掛けられた。
トレースだった。
「これはルヴィリス様、このようなところでどうなされましたか?」
ルヴィリスは考えた。
(トレースは蒼白銀の翼のメンバーだし、平民だけど商人ね。彼は自分から私たちとは人脈を作ろうとはしないけど、ここでヴァレンタイン侯爵家の貸しを作らせてやれば協力するはずだわ)
そう企んだルヴィリスは、グランのことは伏せて「男子寮に用がある」とだけ伝える。
しかし、トレースもバカではなく、何だったら学年でもトップクラスの秀才である。
彼はすぐに、それがグラン関係の用事だと見抜いた。
今まで修練会では、自分から高位貴族たちと人脈を作ろうとすることは、入会させてくれたグランやマルク、そしてみんなを裏切ってしまうことになり、最悪退会させられると思っていた。
それに、そんなことをするより、この恵まれた環境で自分を鍛えたほうがいいと常々思っていた。
しかし、この降ってわいたチャンス、しかもルヴィリスから暗に提案を受けている。
ここで恩を売っておけば、後々自分が貴族関係でピンチになった時に助けてくれるかもしれないと、打算を働かせる。
お互いの利害が一致したことにより、トレースはルヴィリスに提案した。
「ルヴィリス様、事情は大体わかりました。このトレース、商家の人間ですが信用信頼が第一と思っております。ここは事情は何も聞かずにご協力いたしましょう」
「話の早い商人は重宝するわよ」
ルヴィリスもまた、暗に『困った時があったら私に言いなさい』という意味を込めて微笑む。
「では、行ってまいります」
トレースはそう言うと、巧みな話術で守衛の者をその場から連れ出した。
ルヴィリスは春休みで生徒がほとんどいないことを確認し、速やかにグランの部屋の前に着く。
扉にはしっかりと鍵がかかっていた。
自家発電するなら当然閉めるからだ。
しかしルヴィリスは自身の炎魔法を巧みな魔力操作を駆使し、なんと扉の鍵の部分を溶かしてこじ開け、部屋の中へと侵入した。
まるで押し入り強盗である。
ルヴィリスはグランの部屋に足を踏み入れた。
そこには先ほど覗き見ていた通り、泡を吹いて痙攣して倒れているグランの姿があった。
それを確認すると、ルヴィリスはすぐに彼をベッドに寝かせ、以前グランが自分たちのために持たせてくれたエリクサーをグランの口に突っ込む。
そして、弾け飛んだ下半身の箇所にも容赦なくぶっかけた。
しばらくすると再生が始まり、弾け飛んだ場所は見事に修復されていく。
ルヴィリスは間近でそれをガン見し、長さや太さなどを手で測ったりした。
(これは貴重な情報だわ)
彼女はむっつりが爆発して、とても興奮していた。
すると、「うう……」と苦しげなうめき声が聞こえてくる。
グランが目覚め、部屋にいるルヴィリスの姿を捉えた。
そして、自分が全裸だということに気がつく。
すぐさまグランは掛布団をかぶり、慌てて叫んだ。
「な、なんで部屋にいるんだ!」
ルヴィリスはベッドに両肘をつき、重ねた両手の上に顎を乗せてニヤつきながら、平気な顔で答える。
「私がいなかったら、あなた大変なことになっていたでしょ」
グランはどもりながらも、必死に言い訳を並べ立てる。
「い、いや……これはちょっと新しい魔法を試してて……」
「全裸で突っ込む必要あったの?」
ルヴィリスの容赦ないツッコミが間髪入れずに飛んでくる。
グランはなぜ一部始終がバレているのかと焦ったが、先ほどモノを粉微塵にされたことでいわゆる『賢者タイム』に突入しており、思考は恐ろしく冷静だった。
そして、一つの答えを導き出す。
「ルヴィ……お前、魔眼で俺の部屋を覗いていたな?」
しかしルヴィリスは悪びれる様子もなく、堂々と言い返す。
「私が見ていなかったら、あなたは助からなかったでしょ?」
グランもその点に関しては、命拾いした自覚があるため素直にお礼を言うが、やはり釘は刺しておきたかった。
「いくらなんでもプライベートを覗くのはやめてくれ」
「じゃあ、あなたが自家発電しようとして間抜けなことになった事件、『グランを堕とす会』で共有するわよ」
ルヴィリスはニコリと笑って恐ろしい脅しをかけてきた。
それは一番まずいと思ったグランは、慌てて妥協案を提示する。
「わ、わかった! じゃあ覗いてたことはもうこの際不問にするから、それだけは勘弁してくれ」
しかし、ルヴィリスはここぞとばかりに畳みかける。
「それだけじゃ足りないわね」
グランは侯爵家の令嬢という、その圧倒的で恐ろしい交渉力と圧の強さに戦慄した。
このままではまずいと思ったグランが「じゃあ何がいいんだ」と尋ねると、ルヴィリスは急に自身の服に手をかけ、下着姿になる。
「おい! まさか既成事実か! それは絶対ダメだと何度も言っているだろう!」
グランが焦って止めるのも聞かず、ルヴィリスはそのままベッドに入り込み、グランに密着した。
「溜まっているのでしょう? 男の人は定期的にそうなるって授業で習ったわ。大丈夫、私に任せて」
そう言って、ルヴィリスは急に体を擦り寄せてくる。
「それだけはダメだ!」
グランは必死に叫びながら、ルヴィリスに抵抗する。
しかし、ルヴィリスは下着に手をかけ、それを脱ぎ捨てる。
「大丈夫。みんなには内緒にするし、最後まではしないと約束する。それに既成事実を作ったとは思わないわ」
ルヴィリスはグランの耳元に顔を近づけ言葉を続ける。
「それに、あなたは性欲を発散できるし、私は愛する男とこうやって楽しめる。誰も損をしないし、私たち二人は得でしょ?」
ルヴィリスは急に甘い声で囁き、首筋にキスをし始める。
その言葉にいくら賢者タイムに突入していたとしても、肝心の性欲は全く発散されていないため、限界が来ていたグランはついに抵抗するのをやめた。
グランが抵抗をするのをやめたことにルヴィリスは喜び、起き上がりグランに体を見せる。
「どうかしら?」
ルヴィリスはグランに自身の体の感想を聞く。
「とても綺麗だ……」
ルヴィリスは心の底から感激し、彼に密着して迫った。
そしてすべてが終わった後、ルヴィリスはグランに抱き着き妖艶に微笑んだ。
「これでもう、あなたは私なしでは生きられなくなったわね」
グランは、いくら本番はやってないとしても、ほとんどやってしまったようなものだ。
自身の倫理観を喪失するような感覚と、先ほどのルヴィリスとの情事で、頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。
その錯乱した状態がグランの思考を停止させ、とんでもないことを口走らせてしまう。
「……すごくよかった」
それを聞いたルヴィリスは、グランにギュッと抱き着いた。
「私たちだけの秘密ね!」
そのまましばらくベッドで雑談をしていると、不意に脳内で絶叫が響いた。
『ああぁぁぁぁ!』
ちょうどリンクを切ってから一時間が経過し、あの二人が戻ってきたのだ。
『マ、マスター! まさかルヴィリス様と!』
『グラン! あんた自家発電するんじゃなかったの! 女の子連れ込むなんて聞いてないわよ!』
アリスティアがぷんぷんと怒っているのが伝わってくる。
しかしグランは、脳内で冷静に返答した。
(いろいろあったんだ。だが、まだ最後までしていない)
するとアンサートーカーは、勝手にルヴィリスの体をスキャンし始める。
『……本当ですね。どうやってもらったのですか?』
アンサートーカーが一切のデリカシーもなく聞いてくる。
(それは内緒だ)
グランが誤魔化すと、アンサートーカーは呆れたように返した。
『まあ、これ以上は聞かないでおきましょう。これから自家発電する時は、ルヴィリス様にお願いする感じですね』
(極力頼まないようにする……)
『この勢いで最後までするのよ!』
アリスティアまで調子に乗って煽ってくる。
グランは、二度と魔法で自家発電なんてしないと固く心に誓った。
そして、ルヴィリスは幸せそうにグランに密着して微笑むのだった。
アンサートーカー『マスター、もう卒業まで秒読みですね』
グラン「そこは絶対死守するぞ!」
アリスティア『いい加減、あきらめなさい!』
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