第174話:忘れていた心、これからの姉妹
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グランは少しの仮眠から目を覚ました。
そしてベッドの脇を見ると、セルフィリアの姉であるシルヴィアがベッド脇で眠り込んでいた。
グランはシルヴィアの肩を叩いて起こす。
シルヴィアは目を開けてグランの姿を見るや否や、慌てて床に頭をこすりつけて土下座をした。
「主様、申し訳ございません!」
グランはめんどくさそうに見下ろす。
「別に謝らないといけないようなことはしていない。今からセルフィリアのところに行くから、一切隠さずすべて話せ」
「かしこまりました、主様」
シルヴィアが恭しく答えると、グランは脳内でアンサートーカーに確認する。
(セルフィリアは部屋に戻ったか?)
『戻っていますが、ただ……』
アンサートーカーが珍しく言葉を濁した。
(何かあったのか?)
『オリヴィア様も一緒です』
(王国と帝国の政治的なことを考えると、オリヴィアがいるのはまずいな)
しかし、アンサートーカーは一つの提案をする。
『いえ、オリヴィア様は信頼できます。それに彼女は、シルヴィア様を止めていました。なら、知らせてあげたほうが安心すると思います』
(お前がそう言うなら、そうしよう)
グランは相棒の意見を採用し、シルヴィアへと声をかける。
「向こうにはセルフィリアとオリヴィアがいる。行くぞ」
シルヴィアは極度に緊張した面持ちで頷き、グランと共に展開されたゲートをくぐった。
その頃、王城では晩餐も終わり、セルフィリアが自室でオリヴィアと共に食後のお茶を楽しんでいた。
そこでセルフィリアは、グランが夜中に訪ねてきた時の話をする。
グランがわざわざ来て、お姉ちゃんがグランを監視しているという報告をしていったことをオリヴィアに打ち明けたのだ。
するとオリヴィアは、あからさまに頭を抱えて嘆く。
「あれほど忠告したというのに……帝国が更地になるかもしれないわね」
「そうなったら、私はグランが一生面倒見てくれるから別にいいんだけどね」
「あなたって人は……」
セルフィリアのあまりにも能天気な返答にオリヴィアが呆れていると、突如として部屋の中にゲートが現れた。
オリヴィアはすぐさま警戒して身構えるが、セルフィリアは笑顔でオリヴィアを制止する。
「大丈夫よ。おそらくグランだから」
そして光に包まれたゲートから姿を現したのは、グランと、帝国の第一皇女シルヴィアだった。
二人の無事な姿を見て、セルフィリアは自身でも無意識のうちに緊張していたのか、涙がぽろぽろと流れてきた。
「あれっ?なんで涙が……」
オリヴィアはセルフィリアに近づき、優しく声をかける。
「やっぱり、あなたも心配だったのでしょう?」
その言葉を聞き、セルフィリアは自分が無意識に無理をしていたのだと気づいた。
そして姉に向かって一直線に走り出し、その体を強く抱きしめる。
「お姉ちゃん!無事でよかった!」
セルフィリアのその温かい抱擁を受け、シルヴィアは帝国の過酷な実力主義の中で今まで忘れていた家族愛を思い出した。
そして、自分をまだ家族だと思ってくれている妹を、将来殺そうとしていたのだと自覚し、自分のしてきたことを心底後悔し始める。
その様子を見守りながら、グランはオリヴィアに声をかけた。
「オリヴィア、第一皇女に忠告してくれたんだったな。ありがとう」
「もちろんグランのためもありますが、帝国が更地になるわけにはまいりませんからね。それに、グランがセルフィリアの肉親を殺してしまうようなことがあれば、たとえセルフィリアが許したとしても、あなたは一生後悔することになるでしょう」
「オリヴィアは、何でもわかっているんだな」
「ええ、もっと褒めてください」
オリヴィアは得意げに胸を張ってみせた。
そして、先ほどまでお茶を飲んでいたテーブル席に四人は座り直す。
ただ、セルフィリアはともかく、オリヴィアは久しぶりに会ったグランに甘えたいのか、グランに席をぴったりとくっつけて腕にしなだれかかっていた。
そしてセルフィリアも負けじと、反対側の隣の席でぴったりとくっつく。
グランの対面に座っていたシルヴィアは、その光景を微笑ましく思うどころか、二人を命知らずの恐ろしい女たちだと心底恐怖していた。
今のシルヴィアにとって、グランという存在は完全に『恐怖の魔王』扱いになっていたからだ。
そして、グランが口を開く。
「シルヴィア、じゃあ全部話してくれ」
グランがそう促すと、シルヴィアは突然の無茶振りに戸惑いを見せた。
そこでアンサートーカーが脳内でグランにツッコミを入れる。
『おそらく、どう話していいか混乱していますね。まずマスターがセルフィリア様と別れた後の話をして、バトンを繋げるほうがいいかと思います』
(確かにそうだな。分かった)
グランは相棒の提案に納得し、シルヴィアへと指示を出す。
「じゃあ、俺がまず話すから、その後にあったことをすべて包み隠さず話すんだ」
「かしこまりました、主様」
『主様』と答えたシルヴィアを見て、オリヴィアとセルフィリアは揃ってグランをジト目で睨んだ。
そして、セルフィリアがグランに詰め寄る。
「ちょっと、グラン!お姉ちゃんを殺さずにいてくれたのは嬉しいけど、まさか奴隷にしたの!?」
オリヴィアもとんでもないことを言い出す。
「グラン、いくら何でも帝国の第一皇女を奴隷にするのはまずいわよ。奴隷が欲しければ、私がなったのに」
「奴隷にはしていない!魔法契約を結んだだけだ!」
グランは慌てて否定する。
しかしシルヴィアは、(もうほとんど奴隷契約みたいなものですが……)と内心でツッコミを入れていた。
『十対ゼロで契約している時点で、奴隷以下の契約ですよ』
アンサートーカーまで同じように指摘してくる。
(うるさい!)
グランは脳内で二人(?)のツッコミを一蹴し、セルフィリアと別れた後の話を始めた。
「俺はあの後、監視者をおびき寄せるために王都郊外にあるダンジョンへ一人で行ったんだ。そしたら監視者も遅れて入ってきて、ボス部屋前で声をかけられた」
グランは当時の状況を淡々と語る。
「そしてそこで一緒にボスを倒した直後に、麻痺と眠りが調合された薬品を塗り込まれた布を顔に被せられたから、効いたふりをして倒れた。そのまま帝国のシルヴィアの隠れ家に、転移魔道具で連れて行かれたんだ」
そこでグランは、わざと冷たい声を混ぜて言葉を続ける。
「もし拉致じゃなくて暗殺命令なら、その場で返り討ちにして、本拠地に乗り込んで皆殺しにしていたけどな」
グランがそう付け足すと、シルヴィアは命令を拉致にしておいて本当に良かったと心底安堵した。
一方でそれを聞いたセルフィリアとオリヴィアは、シルヴィアの隠密部隊の恐ろしさに身震いする。
「隠れ家の部屋の中で殴る蹴るの暴行を受けて、痛がるふりをして成り行きを待っていたら、その三人に乱暴に扱われてシルヴィアの前に連れ出されたんだ」
グランの言葉の節々に含まれる棘のある響きが、シルヴィアの心にグサグサと突き刺さる。
シルヴィアには、グランのちょっとした精神攻撃がかなり効いていたのだ。
それもそのはず、彼女はさっきまでいつ殺されてもおかしくないプレッシャーに晒されていたため、グランの一挙手一投足に対して常に緊張していないと、どの拍子で頭と体が分かれてしまうか、油断できない恐怖を抱えていたからだ。
それに、あの魔法契約の罰は、もう二度と味わいたくないほどの凄まじい激痛だった。
「じゃあ、ここからはシルヴィアが説明してくれ」
グランに促され、シルヴィアは重い口を開いて説明を始めた。
「私は、帝国の特待クラスがヴェルシュタット公爵の主導で新設されたことは知っていたわ。だから親善試合を見て、危険性があったらお父様――皇帝陛下に進言して、元々皇位簒奪の意思があった野心家のヴェルシュタット公爵を失脚させようとしていたの」
それを聞いて、セルフィリアは「あくまでお姉ちゃんは帝国のためを思って動いていたんだ」と少し安心する。
しかし、シルヴィアはそのまま言葉を続けた。
「でも、親善試合での特待クラスの戦闘力を見て思ったの。あれを、私のものにできないかって」
それを聞いたセルフィリアは、さっきの考えをすぐに取り消し、やはりこの姉は危険な政治家だと認識を改めた。
「そして親善試合が終わった後、私の私設隠密部隊『幻零』を使って特待クラスを調べようとしたの。しかし、特待クラスは一足先に帝国へ帰ったと聞いて、慌てて追いかけさせたわ。そして着いた場所には、研究員だった者たちは全滅し、特待クラスの生徒は行方不明。ただ、ヴェルシュタット公爵だけが四肢を切断され、虫の息で発見されて一命を取り留めたの」
オリヴィアとセルフィリアは、その時の状況を以前グランから直接聞いていたため、姉の言っていることが真実だと信じた。
シルヴィアはさらに語る。
「ヴェルシュタット公爵は一命を取り留めたけれど、ひどく錯乱してまともに話せる状態じゃなかったわ。しばらく日を空けて様子を見たけれど、一向に正気に戻らない。だから部隊の人間に薬物投与を指示して、無理やり精神を安定させ、すべての情報を引き出したの」
シルヴィアはそこで一度言葉を切り、グランを恐る恐る見やりながら続ける。
「いわく、特待クラスは長年秘密裏に研究していた、魔物と人間を融合させた新人種の改造兵士計画だということを知ったわ。そして、自分をこんな目に遭わせたのは主様だと言ったの。その時、私はにわかには信じられなかったけれど、念には念を入れて裏付けをしようと、主様に監視を送った。それが、つい最近のことよ」
グランはそれを聞き、一つの疑問を口にする。
「じゃあ、俺が別に何もしていなかったら、監視を引き上げていたのか?」
「いえ、私は完全に主様ではないと証拠が揃うまでは、監視は解かなかったと思います。それに、ヴェルシュタット公爵の言ったことが、嘘だと思えませんでしたので」
シルヴィアは遠い目をして、先ほどまでの惨劇を思い出すように語り続けた。
「主様と対面した私は、研究資料と魔道具と装置を出すように言ったわ。主様は初めはとぼけたけれど、私が命令して暴行を加えた結果、主様は資料と魔道具と装置を収納魔法から取り出したの。そして確信したわ、主様がやったということを」
彼女は自嘲気味に息を吐く。
「ただ、王国や四侯爵、そしてセルフィリアが懇意にしている者をここまでしたと王国側に漏れたら、外交問題どころでは済まない。だから私は、主様にはここで消えてもらおうと思ったの」
セルフィリアはそれを聞いて頭を抱えた。
「お姉ちゃん……それで、よく無事でいたわね」
オリヴィアも大きくため息をつく。
「比喩でもなんでもなく、本当に帝国が更地になるところだったわね」
「おいおい、二人とも俺を何だと思っているんだ?」
グランが不満げに聞くと、オリヴィアとセルフィリアは即答する。
「歩く広範囲殲滅魔法よ」
「人の形をした暴龍ね」
散々な言いようにグランが顔をしかめる中、シルヴィアは内心で突っ込んでいた。
(そんな、生易しいものではないわ……)
そしてシルヴィアは、意を決したようにセルフィリアを見て、一息ついてから最も触れにくい部分を話す。
「そこで私が、『セルフィリアも男を見る目がない。妹には私の息がかかった者を婚約者にして、邪魔になったら消してしまおう』と言ったの」
それを聞いたセルフィリアは、悲しそうな顔をした。
シルヴィアはそのまま事実を淡々と続ける。
「それを聞いた主様は無言で起き上がり、先ほどまで痛がっていたのに平気な顔をして拘束魔道具を破壊し、私の隠密部隊の三人を一撃でのしたわ。そしてそこからは、もう語るまでもなく主様の圧倒的な力に屈服し、すべての『幻零』と私は、魔法契約により主様のものになったというわけよ」
「その魔法契約の内容は?」
セルフィリアが恐る恐る聞く。
そしてシルヴィアは淡々と答えた。
「まず、主様に逆らう意思があると粉微塵になるように罰が下るわ」
それを聞いた途端、セルフィリアはまた頭を抱えてグランに言う。
「グラン!やっぱりそれ、もう奴隷じゃないの!」
「奴隷なら、その……なんというか、ほら、性的な意味も含まれるじゃん」
グランが苦しい言い訳をすると、オリヴィアがまたとんでもないことを言い出す。
「なんてうらやましいの」
それを聞いたセルフィリアも真顔で頷く。
「たしかに、それなら少しうらやましいわね」
シルヴィアはそれを聞いて、(この二人は本当に主様に対してはどうかしているわね)と呆れ果てていた。
そしてシルヴィアは、契約内容の続きを説明する。
「あとは帝国の情報を逐一報告すること。隠密部隊『幻零』は主様が私に指示を出し、主様のためだけに使うこと。そして謀略や誅殺など、私の私欲で動くことを禁じられたわ。政治面でやばくなっても、主様から指示があるまで何もしないこと。そして幻零たちにはさらに、主様から直接命令をした場合、何があっても最優先で遂行しなければならないという条件を追加されたの。私越しの命令よりも優先される事態があれば、すべてを投げ打ってでも主様の任務を遂行するようにと」
それを聞いて、オリヴィアはグランに尋ねた。
「それでは、帝国最強の隠密部隊が実質グランのものになったということですの?」
「そうだな」
「帝国に隠密部隊なんか持ってどうするの?」
セルフィリアが疑問を口にすると、グランは理由を語る。
「どうしても手が足りない時に、有能な奴がいたほうがいいと思ったからさ。これからのことを考えても、殺すより生かすほうがいいと思った。そして今は、あの研究の関係者と研究資料、魔道具に装置をすべて回収させるように命令している」
その言葉を聞いて、セルフィリアとオリヴィアは心底安堵した表情を見せた。
なんだかんだ言っても、グランは優しいのだと二人は思ったのだ。
「……これがすべてよ」
シルヴィアがそう締めくくろうとすると、グランが横から口を挟む。
「かなり端折っているから、俺が後は説明する。まず、ヴェルシュタット公爵はシルヴィアから情報を聞いてとどめを刺した。そして『ヴィジョン』で記憶を読み、関係者をできる限り抹殺した。その時に研究資料も魔道具も装置も回収している。あとは幻零が、残った関係者をすべて始末して研究資料などを回収しているところだ。そして、シルヴィアと幻零を屈服させた方法だが――」
グランがそこまで言おうとした瞬間、シルヴィアが慌てて彼を止めた。
「主様、少し離れてお話をしたいと存じます」
グランはシルヴィアが何をするつもりなのか気になったため、その提案を受け入れた。
「ちょっと話をしてくる」
グランはぴったりとくっついている二人にそう言って引き剥がし、部屋の隅へと移動する。
するとシルヴィアは、グランに向かって深く頭を下げた。
「出過ぎた真似をお許しください。ただ、あの子たちは王族であってもまだ未成年です。闇を知るのはまだ早いと思います。それに、主様をお慕いしている分ショックが大きいと思いますので、ここは私にお任せください」
グランは別に教えてもよかったが、シルヴィアがここまで必死に懇願するのは珍しいと思い問いかける。
「どうしてそんなことをする?」
「ここに来た時、セルフィリアは私をまだ『お姉ちゃん』と呼び、無事を喜んで抱擁してくれました。だから……あの子には、まだ純粋であってほしいのです」
グランはシルヴィアのその言葉を聞き、脳内で相棒に語りかけた。
(人って、急にここまで変わるものなのか?)
『やっぱり、きっかけが大事なのですね』
アンサートーカーも感心するように答え、グランはシルヴィアへと視線を戻す。
「じゃあ、お前に任せる」
「……ありがとうございます」
シルヴィアはここに来て初めて、安堵したような柔らかい笑顔で返事をした。
そして二人は元の席に戻り、シルヴィアが再び話し始める。
「私は主様に危険を感じ、精鋭である『幻零』を全員ぶつけたわ。でもそれを、主様は手加減して全員倒してしまったの」
シルヴィアは残酷な真実を隠し、淡々と嘘を交えて語り始めた。
「私は殺されると思い命乞いをしたのだけれど、主様は最初は許してはくれなかったわ」
そしてセルフィリアを見て言葉を続ける。
「でも、そこでセルフィリアの名前を出したら主様も考えてくれて、『幻零』たちも主様には敵わないと悟り、私を生かしてくれると約束してくれたから、皆ですんなり魔法契約を受け入れたの。」
シルヴィアは視線を戻し、グランを見つめながら話す。
「そして私は主様にヴェルシュタット公爵の居場所を話し、これからあの研究に関する情報をすべて知らせ、万が一広まったらすぐに手を打つことを約束したことで生かされたわ」
オリヴィアもセルフィリアも、その言葉を疑うことなく納得した。
そしてセルフィリアはグランに抱きつき、嬉しそうに言う。
「グラン!やっぱり、私のためにお姉ちゃんを殺さないでくれたのね!」
それを見たシルヴィアは静かに立ち上がり、セルフィリアに向けて深く頭を下げた。
「あなたのおかげで、私はまだ生きている。だからありがとう。……そして、ごめんね、こんなお姉ちゃんで。あなたは私を許さなくてもいいのよ」
セルフィリアはその言葉を聞き、静かに首を振る。
「お姉ちゃんはずっと実力主義の帝国で苦しんでいたから、気持ちはわかっているつもりだった。だから、お姉ちゃんが私のことを嫌っていることも知ってた」
「そうね。あなたのその強さに対する才能は、本当に羨ましくて……妬ましかったわ」
セルフィリアもそれはわかっていたから、無言のまま次の言葉を待つ。
そしてシルヴィアは、自嘲するように言葉を続けた。
「だから私は政治家として帝国でのし上がっていき、誰も文句を言わせないように努力したわ。……そのせいで、一番大事なものを見失っていたようね」
彼女はさらに言葉を紡ぐ。
「もう、あなたに対して恨みも妬みもないわ。だってあなたのおかげで私は生かされたのだもの。感謝しているわ」
「お姉ちゃん……っ」
セルフィリアはそう言って、ぽろぽろと涙を流して泣き出した。
オリヴィアとグランは優しくセルフィリアに近づき、その体を抱きしめる。
(私はどこから間違っていたのだろうか)
シルヴィアはその温かい光景を見て、静かに過去を悔やんだ。
少し時間が経ち、これからの対応についての話し合いが行われ、とりあえずこの問題はシルヴィアが引き継いで、すべて責任を持って処理すると約束した。
(魔法契約があるから反抗することはないと思うが、今のシルヴィアなら任せても大丈夫だろう)
『そうですね。私たちの魔法契約は嘘も演技もすべて看破します。罰が発動していないので、本当に心の底から逆らう気は、もうもっていないですね』
グランはアンサートーカーと脳内でそう会話を交わし、安心する。
そして話がまとまると、グランはゲートを開き、先にシルヴィアを隠れ家へと戻すことにした。
シルヴィアはゲートをくぐる際、セルフィリアへと振り返る。
「落ち着いたら、今度は一緒にお茶会でもしましょう」
「絶対よ!約束だからね!」
「ええ」
シルヴィアは姉らしく優しく微笑みながら、ゲートをくぐって帰っていった。




