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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第167話:紅氷の凜華、そして忍び寄る影

活動報告にて今後の更新についてお知らせがございます。

本日20:00の投稿をもって、更新スケジュールを変更させていただきます。

 レインからも明確な好意を向けられ、グランは当初の想定から大きく外れてしまった現状に、最初は四人のはずだったのになと思い返していた。


 改めて、自分に好意を向けてくれている女性たちを確認してみる。


 ルヴィリス、エルスメリア、ディアドラ、ソフィア、オリヴィア、セルフィリア、ベアトリクス、そしてレイン。


 気がつけば、すでに八人になっていた。


 そして王国建国祭の最終日である今日は、クローディアとのデートだ。


 レインと違い、クローディアは普段から好意的な気持ちを素直に見せてきたりするため、彼女もそうなるのは時間の問題だと思った。


 決してうぬぼれではないが、大体流れ的にそんな感じになっているのだ。


 前世と違って、自分自身がこれほどモテるとは思ってもいなかった。


 それに今の自分の見た目について、みんなは気を使って「かっこいい」と言ってくれているが、そこはちゃんと客観的に評価できる。


 本当に、ごく普通の容姿なのだ。


 それも、あくまで「前世の基準では」という前置きを入れた状態でのことである。


 この世界、惑星リスティアの住民は、前世の基準で言えば皆が美男美女ばかりだ。


 それこそ一般的なモブと言われるような人たちですら、前世基準だと見た目がいい判定になってしまう。


 そんな中に、前世の普通の容姿の者が紛れ込んでいたら違和感があるに決まっている。


 しかも、この世界では珍しい黒髪なのだから、目立って仕方がないのだ。


 現に去年の二学期から黒髪に戻した際には、道行く人がみんな振り向くくらい目立っていた。


 今は周囲も慣れてきたのかそこまで目立たなくなったものの、誰が見ても一発で分かるくらいの知名度にはなってしまった。


 ただ、グランはそれでも、女神が用意したハイスペックなイケメンの容姿にはなりたくなかった。


 こればかりは、自分自身の意地なのだ。


『マスターは逆にみんなと違う容姿だから、かっこいい判定になっているんではないですか? 前世でも見た目の流行り廃りはありますし』


 そう言ってアンサートーカーは珍しく慰めてくるが、グランは脳内でツッコミを入れる。


(お前、絶対心にも思ってないだろ)


『せっかく慰めたのにひどいですね。そんなに気になるんなら、今日来られるクローディア様に聞けばいいのでは?』


 その提案に、グランは即答した。


(バカ。そんなもん、気を使って「かっこいいです」としか言わないだろ)


『当たって砕けろですよ』


 アンサートーカーのいい加減な言葉に、グランは心の中で毒づく。


(この野郎、適当に言いやがって……)


 そして待ち合わせの場所に行くと、すでにクローディアが来ていた。


 彼女は長いウェーブのかかった金髪を完全に下ろし、少し洗練された私服を着てグランを待っていた。


 グランはクローディアへと声をかける。


「グラン先輩! おはようございます」


 クローディアは振り返ると、満面の笑みを浮かべて挨拶をした。


「悪い、少し遅れたか?」


 グランがそう尋ねると、クローディアは首を横に振る。


「いえ、約束の時間より早いです」


「いつから待っていたんだ? ……ちょっと早くないか?」


 グランが苦笑いしながら尋ねると、クローディアは嬉しそうに答えた。


「三十分前からです! 先輩、今日は本当に楽しみだったのです。今日は一日、先輩を独り占めできますね!」


 グランは結局こうなるのかと思いつつも、健気な後輩に恥をかかせてはいけないとすっと腕を差し出す。


 するとクローディアは嬉しそうに腕を通し、絡みつくようにしてグランと一緒に歩き出した。


「クローディア、今日は積極的だな」


 グランが言うと、クローディアは自身の意気込みを語る。


「いつもは先輩たちがグラン先輩を堪能していますからね。あの枠に混ざる勇気はまだ持てません。だから今日は、思いっきり堪能しようと思います!」


(あれ? こんな積極的な子だっけ? むしろ恩人の意味合いが強いって言ってたような気がするんだが……)


 グランが心の中で疑問に思っていると、それを知ってか知らずかクローディアは微笑みかけてきた。


「グラン先輩、以前は恩人としてと言いましたが、やっぱり異性として見てしまいました。これからは私もよろしくお願いします!」


 一体何をよろしくするんだと突っ込みそうになったが、グランは無難に言葉を返すことにした。


「お手柔らかに」


 二人はそう言って、王都の露店を散策し始めた。




 しばらく露店で食べ物や飲み物を買って、二人はぶらぶらと祭りの雰囲気を楽しんでいた。


 前世のお祭り最終日だと露店の数が減っていたり、人の数も減っていたりするものだが、この王国建国祭はずっと賑やかだった。


 まるで、祭りがまだまだ続くような勢いだった。


 隣のクローディアを見ると、少し足を気にしているのかチラチラと視線を下に向けるものの、すぐに前を向いて楽しそうに振る舞っていた。


(クローディア、足を怪我してないか?)


 グランが脳内で話しかけると、アンサートーカーはすぐにスキャンを開始した。


『恐らく今日のために新しい靴を履いてきたようです。まだ履き慣れていないのか、靴擦れを起こしているようですね』


 それを聞いたグランは辺りを見回し、少し離れたところにベンチを見つけた。


 そして、歩くクローディアへと声をかける。


「クローディア、足、痛めてるだろ」


 それを聞いたクローディアはびっくりして、グランの顔を見上げた。


「グラン先輩……どうして分かったのですか?」


「足を気にしながら歩いていたからな。あそこで休もう」


 グランはそう言うと、クローディアをひょいっと抱きかかえ、そのままベンチに向かって歩き出す。


 突然抱きかかえられたことに、クローディアはびっくりして身を縮めた。


 そして顔を上げるとグランと目が合い、恥ずかしがってすぐに視線をそらしてしまう。


 グランはそのままベンチまでクローディアを運んで座らせると、優しく言葉をかけた。


「足を見せてみろ」


 殿方に素足を見せるなんて、とクローディアは恥ずかしさで頭が沸騰しそうになったが、グランが真面目に心配してくれていることが分かったため、少し照れながら靴と靴下を脱ぎ、素足になった。


 グランはクローディアの足をそっとつかんでアンサートーカーにスキャンさせ、すぐさま回復魔法をかける。


 するとしばらくして、クローディアの足の痛みは消え、元のきれいな状態へと戻った。


「これで大丈夫だろう。ただ、このまま履いたらまた痛くなるだけだから、少し魔法をかけよう」


 グランはそう言って、彼女の靴に特殊な魔法をかけた。


「これで今日一日は、靴擦れも起きないはずだ」


 クローディアが靴を履き直してみると、驚くほど足にぴったりと馴染む感触に目を丸くする。


「グラン先輩、どんな魔法をかけたのですか?」


「履くとその形を記憶して、履き心地をよくするように魔法をかけたんだ」


「そんな高度な魔法、聞いたことがないですよ」


 驚くクローディアに、グランは自身の授業について説明した。


「実はSクラスにある学園長直々の授業で、魔導の応用ってやつがあるんだ。あれをヒントにしたんだよ」


「Sクラスでは、本当にいろいろなことを学ぶのですね」


「そうだぞ。二年になったらクローディアとトレースはSクラスだな。一緒の授業とかなったりするのかな?」


「そうなったら、とても楽しみですね! グラン先輩、本当にありがとうございます」


 クローディアは心からのお礼を言って立ち上がった。


「さあ、王国建国祭を楽しみましょう!」


 彼女はそう言ってグランの腕を取り、先ほどよりもさらに体を密着させて嬉しそうに笑う。




 しばらく歩いていると、二人はエルマン商会の前を通りかかった。


 するとトレースがこちらの姿に気づいたのか、「先輩!」と叫んで大きく手を振ってくる。


 そしてクローディアと一緒にトレースの目の前まで行くと、彼はクローディアの姿を見て語りかけた。


「ついにやりましたね」


「そうですね。今までいろいろ相談に乗ってくれてありがとう」


 クローディアも嬉しそうにお礼を言い、グランはそれを聞いて尋ねる。


「トレースに何か相談でもしていたのか?」


「グラン先輩、この状況でこの会話の内容なら、ある程度は予想できると思いますよ」


 トレースが少し呆れたように言うと、グランも意味を理解して「そういうことか」と納得した。


「トレースには、グラン先輩のことをいろいろ教えてもらっていたのですよ」


 どうやらトレースは、グランがたまにエルマン商会へ買い物に来た際、何を買ったのかを記録して彼の嗜好などを伝えていたらしい。


「おいおい、それって個人情報保護法違反だぞ」


「教えたのは事実ですが、大して役に立っていないので大丈夫ですよ」


 ツッコミを入れるグランに、トレースは涼しい顔で答えた。


「まあいいや。祭りの間は、ずっと店に入っていたのか?」


「この時期が一番の稼ぎ時ですからね。春休みですし、学業には支障はありませんよ。でも、先輩に教えてもらった魔力操作の鍛錬だけは毎日休まずに続けています」


「それはいい心がけだな」


 グランはそう言ってトレースを褒めたが、隣にいるクローディアも彼と同様に、今この瞬間すら常に魔力操作の鍛錬を続けていることをよく分かっていた。


 そのためグランは感心しながら、努力を怠らない二人を一緒になって褒める。


「さっきクローディアにも言ったんだが、二年生になったらお前たち二人は恐らくSクラスだろう。Sクラスは生徒数も少ないから、もしかしたら一緒に授業を受けることになるかもしれないな。その時はよろしく頼むよ」


「それは楽しみですね。その時はぜひお願いします!」


 トレースが嬉しそうに頷くと、彼は「祭り用の福袋です」と言って、二人へ品物をタダで渡そうとした。


「じゃあ、俺からクローディアへのプレゼントにしよう」


 グランはそう言って、ちゃんとトレースに代金を支払った。


「ご購入、ありがとうございました! では、お二人ともお祭りを楽しんでください!」


 トレースはそう言って丁寧に頭を下げると、エルマン商会の店の中へと戻っていった。


 トレースと別れて二人で歩いていると、不意にクローディアが立ち止まり、グランへと話しかけた。


「行きたいところがあるのですが、よろしいですか?」


「いいよ」


 グランが即答すると、クローディアは嬉しそうに「こっちです」と言って歩き出し、グランは彼女に連れられてついていく。


 そして王都から少し外れた見晴らしの良い丘に着くと、クローディアは真剣な表情で語り始めた。


「グラン先輩、改めて私を『蒼白銀の翼』に入れていただき、本当にありがとうございました。もしグラン先輩に出会わなければ、私はアシュクロフト家のために、貴族の女として望まぬ結婚で嫁に出されていたでしょう。魔法の使えない伯爵令嬢なんて、きっとひどい目にしか遭わなかったはずです。だから、グラン先輩に魔法行使を治していただいたことは、命を救ってもらったのと同じなのです」


 彼女はそこで一呼吸置き、真っ直ぐにグランの目を見つめる。


「私は最初、恩人として先輩を見ていましたが、先輩の秘密もすべて知り、ますます好きになりました。四聖華様や王女様、皇女様、それにベアトリクス先輩やレインさんもいてライバルは多いですが、私もその輪に入ってもいいですか?」


 その真剣な声色でストレートに気持ちをぶつけられ、グランは断るという選択など到底できなかった。


「ああ。お手柔らかに頼むよ」


 グランがそう答えると、クローディアは満面の笑顔になり、そのままグランへと抱きつく。


「先輩、好きです……! これからもよろしくお願いします!」


 そう言って腕を回してくる彼女の頭を、グランは優しく撫でてやった。


 そしてしばらく抱きつかれていたが、やがてクローディアは不意に体を離し、改めてお礼を口にする。


「先輩、今日は本当にありがとうございました」


「クローディアは、この春休みは実家に帰っているのか?」


 グランが尋ねると、彼女は頷いて今後の予定を答えた。


「はい。冬休みは帰りませんでしたが、春は領地に帰ってみんなと顔を合わせたいと思います。王都の屋敷の人たちは私の魔法が治ったことを知っていますが、領地の人たちにはまだ元気な姿を見せていませんから。立派になった私を、ぜひ見てもらいたいのです」


「そうか。がんばれよ」


「はい! 先輩、ありがとうございます」


 その後も引き続き二人で祭りを楽しみ、やがて朝に待ち合わせをした噴水広場へと戻ってきた。


「次は学園でだな。また会おう」


「はい! またお会いしましょう!」


 クローディアは最高の笑顔でそう返事をすると、元気に手を振って帰っていった。





 グランは、長かった王国建国祭の出来事を静かに振り返る。


 ルヴィリスとは、まさかの歴史的発見をすることになった。


 ソフィアには下着を盗まれてしまったため、あれはあとでちゃんと返してもらわないといけない。


 ディアドラとは彼女の兄の剣を探し出し、なぜか神聖鍛冶師が弟子入りすることになったが、完全に存在を忘れていたため後で見に行かなければならない。


 エルスメリアには下着姿で欲情され危うく食われそうになったが、彼女が精神的に成長してくれたおかげで貞操の危機はひとまず収まった。


 そしてベアトリクス、レイン、クローディアの三人からは、明確な好意を伝えられることとなった。


 本当に、なかなか濃い一週間だったとグランは心の中で振り返った。


『女神アリスティア様も、たくさんのイチャイチャが見られて満足していそうですね』


 脳内で、アンサートーカーが冗談めかして言う。


「あとは始業式までゆっくり休むか」


 グランがそうつぶやきながら帰り道を歩いていると、不意にアンサートーカーから脳内で警告が出された。


(どうした?)


 グランが脳内で尋ねると、相棒が即座に答える。


『つけられています』


(いつからだ?)


『恐らく、クローディア様と別れた後からです』


(誰だか分かるか?)


『パターン照合中……これは、帝国第一皇女の私設隠密部隊のようです』


(せっかくの祭りの余韻が台無しだな……)


 グランは小さく溜息をつき、どう動くべきかをアンサートーカーと相談する。


 相手の狙いや動きが分からない以上、今は下手に動かず学園寮に戻るだけにしようという結論に至り、グランはそのまま歩みを止めずに学園まで戻った。


 すると隠密たちは、学園寮に無事到着したグランを見計らったかのように、その場から静かに離れていった。


 アンサートーカーからその報告を受けたグランは、次の策を口にする。


「明日もう一度外に出て、連中を釣り出そう」


 そう決めたグランは、その日は大人しく寮内でゆっくりと体を休めるのだった。

いつも当作品をお読みいただきありがとうございます。

前書きにも記載した通り、活動報告にて今後の更新についてのお知らせがございます。

そして本日7/31の20:00の投稿後、8/1以降の投稿は1日1話20:00に投稿となります。


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