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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第153話:星歴の守護者

 そうしてしばらく騒がしいやり取りを眺めていた、その時――ガシャン!とエレベーターの底が重く打ちつけられる音が響き、独特の浮遊感がふっと消え去った。


 グランは小さく咳払いをして空気を切り替える。


「……さあ、第六層のボス部屋に到着だ。みんな、中へ入ろう」


 直後、正面にあった重厚な金属の扉が、地響きのような駆動音を立てて左右へとゆっくりと開いていった。


 グランを先頭にして、一行は開かれた重厚な扉の奥へと足を踏み入れた。




 そこには、広大な空間の中央に、冷たい金属の光沢を放つ超巨大な魔導兵器がただ静かにたたずんでいた。


 圧倒的な質量を誇るその無機質な巨体を仰ぎ見ながら、グランが淡々と告げる。


「この先の歴史の真実を守るために、俺が作った階層ボス。……名前は、星の歴史を守るもの『ロスト・シュライン』だ」


 そのあまりに巨大な無機質の威容を見上げ、マルクやカロンたち男子組は、どこか目を輝かせてワクワクした視線を送っていた。どこの世界であろうと、超巨大な人型兵器というのは男子の永遠の憧れなのである。


 対照的に、ソフィアやルヴィリスたち女性陣は、兵器の内部に圧縮された規格外の魔力と威圧感に終始圧倒され、ただただ言葉を失う。


 さらに後方の帝国生徒たちは、そのあまりのプレッシャーに耐えかねたのか、フロアの物陰に隠れながら、そっと頭だけを出して怯えた様子で伺っていた。


 そんな三者三様の視線を背に、グランは歩みを止めず、ただ一人階層ボスの正面へと進み出る。


 直後、ロスト・シュラインから膨大な魔力反応が立ち昇り、頭部のメインカメラがギョロリと赤く発光して、無機質な警告音がボス部屋全体にけたたましく響き渡った。


【警告。この先は禁足域です。ただちにエレベーターでお戻りください】


 同一の警告メッセージが、フロア内に三度繰り返し鳴り響く。


【対象は警告を無視、敵意ありと判断。――直ちに処分します】


 その無慈悲な宣告と同時、ロスト・シュラインの全身に接続されていた極太のエネルギーケーブルが一斉にパージされ、轟音とともにその巨体が完全に立ち上がった。グランの背丈の優に十倍を超える圧倒的な質量である。


 直後、兵器の胸部装甲が左右に大きく開口し、空間が歪むほどの凄まじい魔力圧とともに、キィィィィン……!と耳を裂くような高音の充電チャージ音が鳴り響いた。


 グランは即座に防御魔法を展開する。


「サンクチュアリー」


 ただちに光の結界が展開されるが、後方にいたソフィアは、グランが注ぎ込んでいるその魔力密度の「異常さ」に瞬時に気がついた。


「嘘……!あれほどの超高密度の結界を張るなんて、一体どんな攻撃が来るの!?」


 ソフィアが戦慄した次の瞬間、ロスト・シュラインの胸部砲口から、世界を白く染め上げるほどの破壊の奔流が射出された。


 メガスマッシャー。


 かつて三百年前、グランがこの星の守護龍である古代龍『ティアリス』を沈める際に放ったオリジナル魔法『ギガスマッシャー』の原点である。


 その威力は完全に災害級であり、通常の探索者であればこの一撃を受けた時点で文字通り消滅してすべてが終わる。


 まばゆい蒼白の破壊光にグランの小さな背中が一瞬で飲み込まれるのを目の当たりにし、後方の仲間たちは絶叫に近い声を上げてその光景を見守るしかなかった。




 世界を白く染め上げたメガスマッシャーの凄まじい光の奔流が、やがてゆっくりと収まっていく。


 後方の仲間たちが固唾を呑んでグランのいた場所を確認すると――そこには、無傷の結界『サンクチュアリー』の中で、先ほどとは比べものにならないほどの超高密度の魔力を両手に圧縮している彼の姿があった。


 あれほどの災害級の一撃を受けてなお、グランの足元のフロアには傷一つついていなかった。


 この階層そのものが、それだけの威力を当然のものとして耐えうるよう作られているのだ。


 グランは両手をロスト・シュラインに向け、後ろにいる弟子へと力強く叫ぶ。


「ベアトリクス!これが波動の可能性だ!しっかり目に焼き付けておけ!」


 叫びと同時、グランの両手から、空間そのものを歪ませるほどの巨大な魔力の塊が、ロスト・シュラインめがけて直線に放たれた。


 対するロスト・シュラインは、自身の巨大な両腕を顔の前に交差させ、瞬時に極厚の防御結界を展開する。


 次の瞬間、グランの放った疑似波動砲の一撃が、魔導兵器の装甲結界へと真正面から激突した。


 凄まじい轟音と衝撃波が、巨大なフロア全体を乱暴に埋め尽くした。


 発生した分厚い白煙が視界を遮り、周囲の状況がまったく見えなくなる。




 やがてゆっくりと煙が晴れると、そこには肘から先の両腕を完全に消し飛ばされたロスト・シュラインの姿があった。


 グランはその隙を見逃さず、一気に巨体の懐へと肉薄する。


 彼の右手には、超高周波で振動する鋭い魔力の刃が展開されていた。


 神速の踏み込みそのままに、グランは魔導兵器の巨大な両膝のわずかな関節部めがけて無慈悲な斬撃を浴びせ切断する。


 脚部の支えを両方同時に失ったロスト・シュラインは大きくバランスを崩し、前のめりにつんのめるようにして崩れ落ちた。


 ズドォォォォンッ!と鼓膜を破るような地響きが鳴り、巨体が床に叩きつけられた衝撃で再びフロアに大量の白煙が舞い上がる。


 グランは巨体の倒壊に巻き込まれないよう瞬時に後方へと跳躍し、静かに土煙の先の様子を伺った。





 白煙が晴れるとロスト・シュラインの巨体は地に伏していたが、即座に内部から新たな駆動音が鳴り響いた。


 直後、倒れた巨体の背面ハッチが吹き飛び、中からグランの二倍ほどの大きさを持つ細身の人型の魔導兵器が姿を現す。


「……来るぞ、ここからが本番だ。出力を上げる」


『了解。マスターのステータス値を最適化します』


 グランの指示でアンサートーカーがステータス値を最適化する。


【対象の危険度を最大値に変更。――これより出力度外視で対象を処分します】


 無機質な音声が響いた直後、人型兵器は超高速でグランへと肉薄し、鋭利な刃と化した右腕を無慈悲に振り抜いた。


 グランはそれを光の盾『イージス』で弾き、すぐさま右腕に高密度の魔力を纏わせて強烈な拳を叩き込む。


 しかし魔導兵器はその一撃を左腕を瞬時に変形させ、グランの右拳をガッチリと掴んで固定した。


 そのまま右腕を高く振り上げ、唐竹割りのようにグランの頭部を真っ二つに両断しようと迫る。


「グラン殿!」


 完全に致命傷が入ったと思い、後方からディアドラが血相を変えて叫んだ。


 しかしグランは瞬時に空いた左腕でイージスを展開し、頭上からの凶刃を防ぎ切る。


 同時に、捕まれている右拳の指を開き、至近距離から魔力弾を放つ。


 被弾した魔導兵器はたまらず腕を離すが、即座にグランの右腕を切り落とす軌道で、左腕を変形させ下から斬り上げるような斬撃を放つ。


 グランは自身の右足に魔力を集中させ、その斬り上げを上から強引に踏み抜いて刃を押さえ込んだ。


 そして相手の左腕を右足で抑えたままし、左足でオリジナル技『魔導翔烈脚』を放つ。


 強烈な蹴りが顔面にクリーンヒットし、魔導兵器の体勢が大きく後ろへと崩れた。


 だが、魔導兵器は瞬時に体勢を立て直し高速で後ろに下がると、不気味な駆動音と共に自身の腹部装甲を大きく開口する。


 肉眼でもはっきり視認できるほどの凄まじい高出力エネルギーが、魔導兵器の腹部へと急速に収束していく。


 グランはそれを見ると、自身も同じように両腕を腹部の前へと構えた。


「プレッシャー・カノン」


 グランがその魔法の名を口にした瞬間、対する魔導兵器の開口した腹部からも、全く同質のオリジナル魔法『プレッシャー・カノン』が放たれた。


 放たれた二つの高密度エネルギー弾が空中で真正面から激突し、これまでとは次元の違う凄まじい衝撃波が発生する。


 その圧倒的な余波によって、グランと魔導兵器の双方がフロアの反対側の壁へと大きく吹き飛ばされた。


 グランが吹き飛ばされるという光景を初めて目の当たりにし、後方で見守る蒼白銀の翼のメンバーたちは一様に驚愕の表情を浮かべる。


 だが、グランは壁に叩きつけられる寸前に背後へ『イージス』を展開し、衝突のダメージを完全に相殺していた。


 対する魔導兵器も空中で瞬時に体勢を立て直し、背中が開放し前世のバーニアのようなものを噴射し、壁際にとどまり激突を免れている。


 両者は土煙越しに互いの健在を確認するや否や、再び超高速でフロアの中央へと踏み込み、グランの魔力の刃と魔導兵器の鋭利な腕を幾度となくぶつけ合った。


 ギィンッ!ギィンッ!と、空間を切り裂くような甲高い剣戟の音が連続して鳴り響く。


「……なんて斬撃なの」


 息を呑むセルフィリアの横で、ディアドラもギリッと奥歯を噛み締めた。


「凄まじい速度と重さだ……。あの領域には、私はまだまだ到達できない」


 エルスメリアも、眼前で繰り広げられる次元の違う死闘を見つめながら力なく声を漏らす。


「最初の、胸からの高出力魔法……今の私の全力を以てしても、防ぎきれるかどうか……いいえ、無理ね」


「ええ。それにあの装甲も、私たちの魔法では傷一つすらつけられないでしょう」


 ソフィアが絶望的な戦力差を淡々と分析した。


 自身が作った魔導兵器を相手に、一歩も引かずに立ち回るグランの規格外の背中。


 その残酷すぎる現実を前に、ルヴィリスがひどく悲しげな瞳でポツリとこぼす。


「グランは『みんなで力を合わせればいずれ踏破できる』って言うけれど……それって、一体いつになるのかしら……」


 しかしそこで、ベアトリクスがあえて底抜けに元気な声を張り上げた。


「みんな!今はしっかりグランの戦いを目に焼き付けよう!グランがこのまま消えるかどうかはまだわからないけど、グランは今まで見せたことのない本気度で戦っているの!次いつ見られるかわからないよ!」


 その言葉にはっとさせられ、沈みかけていたメンバーたちも「今はこの頂点の戦いから学べることを学ぼう」と意識を切り替え、食い入るように戦闘を見守り始める。


 フロアの物陰に隠れていた帝国の生徒たちも、恐る恐るひょっこりと顔を出し、グランの凄まじい立ち回りを必死に目で追っていた。


 やがて、拮抗していた両者の動きに劇的な変化が訪れる。


 グランが魔導兵器の鋭利な刺突を、まるで白刃の下をくぐり抜けるような刹那の見切りで完璧に回避した。


 そして完全に無防備となった敵の胴体へ、『魔導虚空掌』を深々と叩き込む。


 完璧なタイミングで入ったその一撃に、超重量の魔導兵器が大きくのけぞり、たまらず後ろへ二歩、三歩とよろめいた。


【著しい機体損傷を確認。――修復モードに入ります】


 無機質なシステム音声が鳴るや否や、魔導兵器はフロアの床からせり出してきた巨大な装置へと後退して自身の体を合体させる。


 すると装置から無数の精密機械が伸び、魔導兵器の機体内部へと入り込んで凄まじい速度で修復作業を開始した。




 グランは後方の仲間たちへ聞こえるように声を張る。


「この状態になったら、五分以内に倒し切らないとあの魔道兵器が完全修復されてあいつからやり直しになる。だが、今は完全に無防備だ。本来ならここで、パーティー全員が最大の魔法や技を使って一斉に総攻撃を仕掛けるんだ」


 そう解説しながら、グラン自身もこれまで見せたことのない未知の大技の準備へと入る。


「エルシディオン」


 短い詠唱とともに、グランの右手に神々しい光を放つ黄金の剣が顕現した。


「あれは……まさかグランのリンク・ウェポンなの!?」


 ルヴィリスが驚愕の声を上げるが、グランの展開はそこで終わらない。


「レーヴァテイン」


 今度は左手に、どす黒く禍々しいオーラを纏ったもう一本の魔剣が顕現する。


「何なの、あの剣……。私の漆黒の魔剣なんか目じゃないわ……」


 圧倒的な呪力を放つその剣を前に、セルフィリアが唖然として声を漏らした。


 グランは両手に握った金と黒の双剣を、自身の右下段で平行に揃えるように構えて言葉を紡ぐ。


「モード・ワールドオブガーディアン、フルコネクト」


『了解。融合を開始します』


 肩に浮かぶアンサートーカーの体が激しく発光し、構えた双剣にグランの膨大な魔力が注ぎ込まれていく。


 やがて双剣が一つに溶け合い、まるで光輝く一本の巨大な大剣のようなシルエットへと変貌した。


『フルコネクト完了。いつでもいけます』


 相棒の完了報告を聞き、グランは自身のオリジナル技たる奥義の名を口にする。


「魔導斬翔剣!」


 神速の踏み込みから放たれた極大の斬り上げが、空間を鋭く切り裂く轟音とともに眩い光の弧を描きながら、修復装置ごと魔導兵器の巨体へと直撃する。


 これまでの激しい戦闘で傷一つ付かなかったフロアの超硬度な床に、深くえぐれた巨大な斬撃の痕がくっきりと刻み込まれていた。


 修復作業中で完全に無防備となっていた魔導兵器は、グランの放った凄まじい斬撃によって跡形もなく消し飛んだ。


 グランは手元の大剣の融合を解除し、黄金と黒の双剣へと戻ったリンク・ウェポンをそのまま亜空間へと収納する。


 直後、静寂が戻ったボスフロアの中央に、眩い光と共に三つのゲートが姿を現した。



 グランがゆっくりと後方へ振り向くと、蒼白銀の翼のメンバーたちが一斉に彼のもとへと駆け寄ってくる。


 興奮冷めやらぬ仲間たちは、「今のリンク・ウェポンは何だ」「最後の斬撃は威力の桁がおかしい」と口々に凄まじい勢いで質問攻めを開始した。


 グランは慌てて両手を前に突き出し、迫りくる仲間たちの勢いを制止する。


「わかった、わかったから! 質問には後で全部答えるから、今はちょっと落ち着いてくれ」


 そう言って仲間たちをなだめると、グランはフロアの中央に出現した三つのゲートを指さした。


「一番左は、みんなもお馴染みの『凪の里』に戻るゲートだ。右側は、この聖域の外へと直接出られるゲートになっている」


「そして……真ん中にあるのが、俺たちがこれから向かう『第七層』へと繋がるゲートだ」


 その言葉を聞き、仲間たちの間に「ついにこの時が来たのだ」という静かな緊張感が走った。


 グランは真っ直ぐにゲートを見据え、静かに告げる。


「さあ、みんな案内するよ。――俺の始まりの場所、第七層へ」


 そう言うと、グランは迷いなく中央のゲートへと足を踏み入れた。


 蒼白銀の翼のメンバーたち、そして特待クラスの帝国の生徒たちもその背中を追い、次々とゲートの奥へと姿を消していった。

エルシディオン、レーヴァテイン、ワールドオブガーディアンは某ファン〇シース〇ーから来てます。

フルコネクトと「魔導斬翔剣」もそのまんまです。

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