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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第142話:炎と風の円舞曲

いつも本作をお読みいただき、ありがとうございます。

皆様の応援のおかげで、本作の累計PVが【10,000PV】を突破いたしました。

心よりお礼申し上げます。

それでは、本編をお楽しみください。

 第一試合の熱狂冷めやらぬまま続く第二試合――『次鋒戦』は、前世でいうダブルス形式、すなわち二対二のチーム戦として執り行われることとなった。


 王国側の次鋒ペアとして舞台に上がったのは、ルヴィリスとエルスメリアである。


 この二人の相性は抜群であり、遠距離から確実に敵を射抜くルヴィリスの弓撃と、鉄壁の防御力を誇り遠近両用をこなすエルスメリアの布陣は、シンプルながらも王道にして最強の連携といえた。


 舞台の向かい側に現れた帝国の生徒たちは、先鋒の少女を羽交い締めで止めた大柄な女と、その隣に立つ小柄で可愛らしい少女のペアであった。


 どちらも首輪のようなものを装着しており、その瞳には光がなく、意志の存在を感じさせない虚ろな影が宿っている。


 ルヴィリスが視線で合図を送ると、エルスメリアは静かに首を振った。


「……ダメです。もう一度鑑定を試してみましたが、やはり結果はわかりませんでした」


「そう。なら、目の前の試合に集中しましょう」


 二人は息を合わせてリンク・ウェポンをフル装備し、堂々と構えを取った。


 試合開始の合図と同時に、エルスメリアはルヴィリスの前に立ち、シールドバインダーを前方に二つ、左右に一つずつ配置する。


 そのまま、大柄な女が片手で振り回す大斧の強烈な一撃を完璧にいなしてみせた。


 一方、ルヴィリスは弓でもう一人の小柄な少女を狙い撃つが、まるで矢の軌道が見えているかのように軽々と避けられてしまう。


 逆に相手から牽制の魔力弾を放たれ、ルヴィリスはそれを展開したビットで防いだ。


 一つの舞台の上で、まるで二つの試合が別々に繰り広げられているかのように、各々が相手を選んで戦っている状況だった。


 観客席からその様子を見ていたグランは、アンサートーカーに念話を送る。


(今のままだと、ルヴィリスとエルスメリアの勝ちだな)


『ええ、ステータス値が全然違います。いくら改造されているといってもこちらのほうが強いでしょう。ただ、先ほどの首輪の魔道具から魔力があふれ出たときは注意が必要です』


(やっぱりあれが原因か)


 グランは先ほどのベアトリクスの試合で、魔力が急にあふれ出し凄まじく強化された元凶があの魔道具なのだと納得する。


『……マスター、私はマスターがいつキレるかひやひやしていますよ』


(よほど俺が怒るようなことが行われているんだな)


 グランはそう吐き捨て、控え席に残っている帝国の生徒たちを静かに見やった。


 そして、試合が大きく動き出す。


 エルスメリアが帝国の生徒たちを巧みに誘導し、ルヴィリスの射線上に二人を重ねてやる。


 その瞬間を待っていたルヴィリスは、弓とビットに膨大な魔力を込め、渾身の矢を放った。


「フレアドライバーシュート!」


 放たれた矢の周囲を四つのビットが凄まじい回転で旋回しながら、帝国の生徒たちを真っ直ぐに撃ち抜く。


 凄まじい衝撃音とともに、辺り一面に白い噴煙が立ち上った。


 ルヴィリスとエルスメリアは構えを解かず、白煙が晴れるまで油断なく警戒を続ける。


 すると、煙の奥で帝国の二人の首輪が発光しており、凄まじい強度の障壁魔法によって攻撃を完全に防ぎきっていた。


 驚くルヴィリスの横で、エルスメリアが「あれを防ぐなんてね……」と呟き、さらに警戒を強めたその時。


 大柄な女が突如として叫び声を上げた。


「ぐあああああ!」


 咆哮とともに、女は一目散にエルスメリアへと突撃する。


 そのスピードは先ほどとは比べ物にならないほど速く、エルスメリアは一瞬反応が遅れたものの、間一髪で防御を間に合わせた。


 しかし、大柄な女の大斧が、鉄壁のはずのシールドバインダーを半分まで切り裂いてしまう。


(あれは聖域の素材で作ったものだぞ。侯爵様たちの本気の攻撃ならともかく、帝国の生徒程度じゃ傷一つつかないはずだ)


 アンサートーカーも、そのあり得ない物理干渉を肯定する。


 同時刻、もう一人の小柄な少女も、先ほどを遥かに凌ぐ凄まじいスピードでルヴィリスに肉薄していた。


 ルヴィリスは即座に弓から剣へと持ち替えて応戦するが、敵の攻撃は想定を上回る速さと鋭さを誇っている。


 ビットを駆使して巧みに攻防を繰り広げるものの、それでも圧倒的な手数の前に、ルヴィリスは完全に防戦一方へと押し込まれていった。


 エルスメリアは、鉄壁であるはずのシールドバインダーが半分ほど切り裂かれた事実に、内心で大きな衝撃を受けていた。


 確かに『蒼白銀の翼』との苛烈な鍛錬において盾を破られる経験はあったが、ここまであっさりと両断されかけるとは完全に想定外だったのだ。


 反応こそ一瞬遅れたものの、魔力を纏わせて防御力を底上げしていたため、こうも容易く刃が通るとは微塵も思っていなかった。


 目の前の大柄な女は、先ほどの静けさから一転し、獣のような荒々しさで見境のない猛攻を仕掛け、こちらに反撃の隙を一切与えてくれない。


 だが、エルスメリアの思考は極めて冷静かつ合理的であり、相手の力任せな連撃をパリィで弾き返す確かなタイミングをじっと伺っていた。


 一方、ルヴィリスは突如として跳ね上がった小柄な少女の速度に、持ち前の優れた適応力で徐々に目を慣らし始めていた。


 相手の不自然な強化の源が『あの首輪』であると瞬時に見抜いた彼女は、あれさえ破壊すればこの暴走状態も終わるだろうと狙いを定める。


 しかし相手の連撃は一向に途切れる気配がなく、それはまるで己の命そのものを燃料として燃やし尽くそうとするかのような、異様な必死さを孕んでいた。


 持ち前の高い観察眼と精神力で決定的な隙を待つルヴィリスだったが、防戦の最中に四つのビットのうち二つを完全に破壊されてしまう。


 残された二つのビットと剣撃を極限まで精密に操作し、彼女は嵐のような連撃を必死に耐え凌ぐしかなかった。


 このままでは埒が明かないと判断したルヴィリスは、戦況を一度完全に仕切り直すべく、広範囲殲滅魔法の構築を密かに開始する。


 背後から立ち昇る凄まじい魔力の高まりを察知したエルスメリアは、パートナーの意図を瞬時に理解し、大柄な女の意識を己だけに極限まで引きつけた。


 そして、臨界点に達した魔力をルヴィリスが高らかに解放する。


「ファイアトルネード!」


 闘技場の舞台そのものを呑み込むほどの、巨大で灼熱の炎の竜巻が巻き起こった。


 その大魔術が顕現するほんの数ミリ秒前、エルスメリアは渾身の『シールドバッシュ』を叩き込み、大柄な女を大きく弾き飛ばして体勢を崩させていた。


 そのまま爆風を利用して瞬時にルヴィリスの元へと跳び退いたエルスメリアは、強固な防御結界を展開し、荒れ狂う炎の渦から二人を守り抜く。


 炎の竜巻が晴れ渡った舞台の上には、強固な防御結界を展開したルヴィリスとエルスメリア、そしてその中央で直撃を受けたはずの帝国の二人が静かに佇んでいた。


 彼女たちのライフゲージはすでに残りわずかを示していたが、それでも二人は表情を変えることなく、再び猛然とルヴィリスたちへ襲いかかった。


 先ほどと同じように、恐ろしいほどの速度で各々が打撃と防御を繰り返す。


 ルヴィリスとエルスメリアの息にはわずかな乱れが生じ始めていたが、対する帝国の生徒たちは、先ほどと全く遜色のない重さと速さで猛攻を仕掛けてくる。


 それはまるで、肉体の疲労という概念そのものが完全に抜け落ちているかのような、あまりにも異様な光景だった。


 観客席でその戦いを見つめていたグランは、ふと何かに気づいたように深く考え込んだ。


『マスター、どうかされましたか?』


(……いや。どうもこの戦い方、どこかで見たことがあるような気がしてな)


 その呟きを聞いたアンサートーカーは、グランが彼女らの『真実』に辿り着くのは時間の問題だと察し、内部で警戒レベルを密かに引き上げる。


 だが、グランの思考はまだ完全な確信には至っていなかった。


 そうこうしているうちに、一瞬の隙を突かれたルヴィリスが小柄な少女の鋭い一撃を受けてしまう。


 ルヴィリスは即座に体勢を立て直して反撃の刃を振るうが、相手はそれを見越していたかのように、大きく後方へと跳び退いて距離を開けた。


 同時刻、エルスメリアも大柄な女の重い連撃を完璧にパリィし、隙だらけとなった胴体へメイスによる渾身の一撃を叩き込む。


 大斧の柄で辛うじてそれを防いだ大柄な女もまた、小柄な少女と歩調を合わせるようにして、するりと後方へ退避した。


 一時的に距離が空いた隙に、ルヴィリスとエルスメリアは素早く合流して短い作戦会議を開く。


「相手のライフゲージはもう少ないけれど、決定打に欠けるわね。あの首輪の魔道具が彼女たちを異常強化しているのは分かったけれど、この親善試合で薬物によるドーピングは禁止されていても、魔道具の使用は許可されている……でも、果たしてあれが本当に普通の『魔道具』なのかどうか、怪しいところね」


「あの大柄な女性は攻守ともに高い水準にあるため、なかなか攻撃が通りません。しかし、勝てない相手ではないようです。……となると、私の鑑定が一切通じない理由も、あの魔道具による強固な隠蔽魔法のせいということなのかしら」


「おそらくね」


 ルヴィリスはエルスメリアの耳元へ顔を寄せ、相手に決して悟られないよう、極めて小さな声で次なる一手を囁いた。


「……なるほど。それは、やってみる価値が十分にありそうですね」


 作戦を共有したエルスメリアが力強く頷き、二人は再び武器を正して前を見据えた。


 対する帝国の二人は、その短い対峙の間に、損耗した身体強化の魔法を高速で編み直していた。


 充填が完了したと同時、二人はこれまでで最も速い、文字通り不可視の速度で一直線に突撃してくる。


 エルスメリアは一歩前に踏み出してその猛進を正面から受け止め、その後方からルヴィリスが、二人を包み込むような炎の矢の雨を無数に降らせた。


 帝国の二人がそれを強固な魔法障壁で弾き返そうとした瞬間、エルスメリアはシールドバインダーの拳大のビットを八つ、相手の周囲へと一斉に展開する。


 八つのビットが風魔法で凄まじい勢いで旋回し、激戦で砕けた石造りの舞台から、極めて微小な粒子の『粉塵』を削り出し、高密度に圧縮された暴風の檻の中へと充満させた。


 そこへ狙い違わず、ルヴィリスが限界まで魔力を込めた一本の『炎の矢』を打ち込む。


 可燃性の粉塵が極限まで満たされた密閉空間に、極熱の種火が着弾した瞬間――凄まじい連鎖発火を伴う『粉塵爆発』が闘技場を激しく揺るがした。


 鼓膜を破るほどの轟音とともに石の舞台が完全に崩壊し、爆心地にいた帝国の二人がついにその場へ倒れ伏す。


 ライフゲージの魔道具が完全にゼロを示し、試合終了を告げるブザーとともに、ルヴィリスとエルスメリアの勝利が高らかにアナウンスされた。


 激闘を制した安堵が闘技場を包みかけたその時、倒れていたはずの帝国の二人が、まるで何事もなかったかのように無表情のままふらりと立ち上がる。


 しかし今度は襲いかかってくることはなく、敗北という結果だけを機械的に悟ったかのように、二人は一言も発さず踵を返して舞台裏へと去っていった。


 大興奮に包まれた観客たちが割れんばかりの歓声を送る中、勝利したはずのルヴィリスとエルスメリアの胸には、ただ底知れぬ悍ましい恐怖だけが静かに張り付いていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

前書きでも触れさせていただきましたが、皆様のおかげで累計10,000PVという大きな節目を迎えることができました。

毎日更新を追ってくださっている方々、最近一気読みで追いついてくださった方々、本当にありがとうございます。

ここから物語もさらに大きな展開を迎えますので、引き続きお付き合いいただけますと幸いです。


※もし本作を「面白い」「続きが読みたい」と思っていただけましたら、下部の星(評価)やブックマークで応援していただけますと、日々の執筆の大きな励みになります。よろしくお願いいたします。

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