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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第10話:長期休暇の終わり

ルビの設定をミスったのか学園が修羅場になってました。

とんでもない間違いをしていました、大変申し訳ございません。

スマホで設定するのは良くないと思いました。

 後に『四聖華』と呼ばれる少女たちを助け、彼女たちの運命の歯車を文字通り「粉砕」したあの日から、さらに5年の月日が流れた。


 グランは15歳になっていた。中身はアラフォー、外見は少年から青年への端境期へと差し掛かり、凛々しく変貌を遂げていた。

 しかし、その本質は「聖域」に引きこもり、ひたすら自己研鑽に明け暮れる求道者。

 いや、もはや修行を通り越して、一日たりとも休まない修羅のような生活を送っていた。

 さらには片手間で習得した錬金術を駆使し、前世の知識を具現化するモノづくりにもいそしんでいる。


 朝起きて家事をこなし、午前から昼過ぎまでは仕事感覚で聖域の魔獣を虐殺して実戦勘を養う。

 帰宅後は晩御飯の仕込みをしつつ、便利グッズという名の「神級魔道具」を作っては壊し、夜、ベッドに入ればいつものルーティーンである魔力操作の鍛錬を、気絶するまで行って眠りにつく。

 せっかく異世界に転生し、第2の人生を謳歌する権利を得たというのに、その実態は社畜時代以上にストイックに、自らを追い込む日々に没頭していたのだ。



 そんな「充実した修羅道」が、唐突に破られた。



「――いい加減にしろぉぉぉぉ! このニートおじさぁぁぁん!!」


 鼓膜を直接揺らすような絶叫と共に、視界が真っ白に染まる。

 気づいた時には、グランは住み慣れた聖域第3層の自宅のリビングから、見覚えのある「神界」の神殿へと強制転移させられていた。

 目の前には、空になったスナック菓子の袋を握りしめ、眉間に激しい青筋を立てた女神アリスティアが、今にも殴りかかってきそうな勢いで仁王立ちしていた。


「……おい。勝手に人のプライバシーを侵害して誘拐するな。今は新しいオリジナル魔法の想像力を膨らませていた、非常にデリケートな時間だったんだぞ」


「あんたの作る魔法はこの世界の理を逸脱したものばかりで、どれもこれも無敵で必殺の域に達してるでしょ! 人間には一生必要ないものばっかり増やしてどうすんのよ! 5年よ! 5年! あんたがあの森で少女たちを助けてから、もう5年も経ってるの! 彼女たちはもう15歳、いよいよ物語の華である『学園高等部編』が始まるっていうのに、主人公候補のあんたが引きこもっててどうすんのよ!」


 グランは鼻で笑い、神殿の磨き抜かれた床にどかっとあぐらをかいた。


「断る。俺の人生設計に『学園』の文字はない。そもそも俺の中身はアラフォーだぞ? 周りを見渡せば15歳の毛の生え始めたガキ共だらけだ。そんな中に混じって学生生活を送るなんてやってられるか。俺は聖域で自分を追い込み、限界を超える方が性に合ってるんだよ。それに、最近アンサートーカーの奴……お前に影響されたのか、俺のことをマスター扱いせずにからかってきたりするんだぜ。俺の平穏は聖域にしかないんだ」


「あんたねぇ……! 私が用意した『女神の物語』を無視して、自分の趣味に走るのもいい加減にしなさいよ!」


 アリスティアは地団駄を踏み、ヒステリックに叫ぶ。

 だが、グランは動じない。

 そんな彼を見て、女神は邪悪な笑みを浮かべ、とっておきのカードを切った。


「いいの? あの『四聖華』たちのこと、放っておいて。本来、あの子たちは私が何も介入しなければ、あの日魔獣に食い殺される運命だった。それをあんたが余計な正義感で助けて、あまつさえ『魔力操作の極意』なんて授けたせいで、今や彼女たちは歴代最高峰の世代と言われる、国を揺るがすほどの天才児になっちゃったじゃない!」


「……それがどうした。強くなったんなら結構なことだろ。俺の教えが正しかったって証拠だ」


「結構じゃないわよ! 運命の修正力が働いて、彼女たちは今、望まぬ政略結婚や王家のドロドロした権力争いに巻き込まれようとしているの。あんたが彼女たちの運命を無自覚に捻じ曲げたんだから、責任を取りなさい! これはあんたが始めた物語でもあるのよ。はい論破!」


「ぐっ……。それは、その、なんだ。……人道的配慮というやつだ。見捨てられるわけないだろ、あんな絶望的な状況で」


 論破されたことに内心で毒づくグラン。女神はここぞとばかりに畳み掛ける。


「いい? 大人なら自分のやったことには責任を負うものよ。前世でもそうだったでしょ。王国立魔導学園に入学して、彼女たちを……そしてこの世界を正しく導きなさい。どうしても行かないって言うなら、あんたの聖域のネット環境(前世知識の検索機能)を永久遮断するわ。前世のレシピも、漫画の続きも、全部お預けよ!」


「待て! それは卑怯だろ! ネットを奪うのは現代人に対する人権侵害だ!」


 聖域のネット環境は、前世の地球の神様に無理やり転生をさせた落とし前をつけさせるために付けさせたものだ。

 その前世の膨大なデータベースへのアクセス権を失うのは、グランにとって最大の損失だ。

 彼は渋々と、だが頭を高速回転させて一つの「妥協点」を提示した。


「……わかったよ。学園には行く。だが、条件がある。もし俺が学園を『退学』処分になったら、その時点で俺の役目は終わりだ。二度と外界に降りろとは言うな。この体の寿命が尽きるまで、聖域でのんびり暮らすことを保証しろ。いいな?」


「いいわよ! あんたみたいなチート能力者が退学になるわけないもの。せいぜい優等生として学園のスターになりなさい!」


 契約は成立した。グランは心の中で、全力で舌を出した。

(……馬鹿め。誰が優等生なんてやるか。どうせ行くなら、学園の常識を完膚なきまでにぶち壊して、最短最速で『退学』を勝ち取ってやる)


(マスター。素晴らしい判断です。品行方正を捨て、学園の風紀と伝統を蹂躙し、全教師から見放されるための『戦略的悪ふざけ』のシミュレーションを開始します。退学までの推奨期間は3ヶ月以内、早ければ1ヶ月での『自主退学勧告』を目指しましょう)


(頼むぞアンサートーカー。俺たちの愛すべき修羅道を取り戻すために、学園をめちゃくちゃにしてやろうぜ)


 神界から聖域に戻ったグランは、すぐに準備に取り掛かった。

 15歳になり、成長した姿になった自分を鏡で見る。

 その顔は、驚くほど前世と瓜二つだった。

 始めアリスティアが用意した体は、この世界でもトップレベルの美形だったが、他人の肉体に乗り移っているようでひどく居心地が悪かったのだ。

 そのため、アリスティアにこれからも「前世の自分の姿そのままで成長させること」を約束させた。

 使い古されたアラフォーの顔も、15歳の若さで再現されれば、どこか憂い(社畜の闇)を含んだ不思議な魅力を持つ少年へと昇華されていた。

 この顔で悪ふざけをするのは少し気が引けるが、自由のためなら背に腹は代えられない。


「アンサートーカー、聖域の全機能を『自動管理モード』に移行。ダンジョンコアの出力を適度に保ち、俺が不在の間も周囲の魔素を収集し龍脈の安定を続けろ。結界の強度は念には念を入れ2倍にしろ」


(了解しました。自動管理システム起動。……マスター、外界へ降りるための空間ゲートを接続します。目的地は王都近郊の街道。準備はよろしいですか?)


「ああ。……あのアホ女神に、アラフォーを舐めたらどうなるか教えてやるよ。いざ、学園(修羅場)へ」


 グランは最低限の着替えと女神から無理やりぶんどった生活費を鞄に詰め込み、5年ぶりに聖域の外へと足を踏み出した。

 目指すは「王立魔導学園」。

 最強の修羅による、前代未聞の「退学スピードラン」の幕が、いま静かに、そして騒がしく上がろうとしていた。

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