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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第125話:新たなる選抜と、翼の継承

 冬休みも明け、いよいよ三学期の始業式の日を迎えた。


 例年であれば、この始業式で帝国学園との交流試合に向けた『学園選抜』の発表がされる。


 しかし、大方の予想では「どうせSクラスの『蒼白銀の翼』のメンバーから選ばれるだろう」と学園全体が思っており、実際にそういう空気が流れていたため、生徒たちの間に特に盛り上がる様子はなかった。


 だが、始業式で学園長が発した言葉に、皆が驚愕することになる。


 毎年行っていた帝国との交流試合が、今年は王国で開催されること。


 そして今回からは、学園の代表として五名だけを選ぶのではなく、『各学年別に五名ずつ』代表者を選出するというのだ。


 さらに、それとは別に『学園全体の代表』も七名選出すると言い、かなりの大所帯で親善試合が開催されることが発表された。


 それを聞いた学生たちは、一斉に歓声を上げた。


 無理もない。例年通りの学園選抜なら、蒼白銀の翼の面々がいる限り自分たちにはもう関係のない話だと完全に冷めきっていた。


 しかし、これなら自分たちも学園選抜に選ばれる可能性がある。


 さらに、学園全体の代表枠の方に蒼白銀の翼のメンバーが固まるだろうから、学年別の代表枠なら大いに狙えると理解し、学園中が大いに沸き立ったのだ。


 学園長は全校生徒に向けて告げる。


「もちろん、Sクラスの者たちは学園代表として選ばれる可能性の方が高い。だから、これからSクラスを目指すように励めばよい。今回のように様々な恩恵があると思えば、やる気も出るだろう」


 そして、一月末に実力を試す試験を行い、そこで学園選抜を決めるという。


「皆、大いに励むがよい!」


 学園長の熱い檄が飛び、始業式は幕を閉じた。




 その後、Sクラスのホームルーム。


 Sクラスの担任である学園長が、バルトス教官も交えて話し始める。


「ここのメンバーはもう選ばれたも同然だ。枠もちょうど学年と学園の選抜で12枠だ」


 そう言うと、セルフィリアがスッと手を挙げた。


「そういえば、私はどういう扱いになるの? 本国からは何も連絡が来ていないんだけど?」


 学園長が答える。


「セルフィリア殿下に関しては、王国と帝国のどちらの代表を選んでも構わないとのことです。どうなさいますか?」


 するとセルフィリアはあっさりと答えた。


「私は帝国出身だけど、今は王国学園の生徒だし、なによりグランと一緒にいたいから王国代表でいいわ」


 それを聞いた学園長は「帝国の学園長が聞いたら泣くだろうな……」と苦笑いするしかなかった。


 そして、細かなルールの確認が行われる。


 各学年代表の学園選抜は五人ずつなので、計十五人。そして、学園全体の代表は七人とのことだった。


 グランはそれを聞き、「なぜ七人なのです?」と尋ねた。


 学園長曰く、帝国も完全な実力主義だが、どうしても実力が拮抗した時に五人に絞り切るのがかなり大変らしい。今回枠を増やしたのも、平等にチャンスを与えられるという意味で向こうにとっても渡りに船だったそうだ。


「我々としても、それに関しては同じ気持ちだったので了承したのだ」


「それでも、このクラス全員が出ると同年代のクラスの枠はありませんよね」


 グランがそう指摘すると、学園長は真剣な顔で言った。


「グラン、お前は今回の選抜を辞退してくれ」


 それを聞いたセルフィリアが「なぜ!?」と身を乗り出す。


「王国学園と帝国学園で話し合った結果だ。あれに勝てる者は、両校合わせても絶対にいない。変に枠を一つ潰すよりも、他の者にチャンスを与えたいのだ。グラン、分かってくれるか?」


 学園長が尋ねると、グランは「俺はそれでいいですよ」と即答した。




 ホームルームが終わるなり、Sクラスの皆はグランの元へ押し寄せた。


「グラン、決めるの早すぎ!」


 一斉に抗議する皆を、グランは「まあまあ」となだめる。


「今回は、みんなの鍛錬の成果を俺に見せてくれよ」


 するとセルフィリアが、少し呆れたように言った。


「グランはそう言うけど、私は王国に来てSクラスに入って余計に思ったわ。帝国学園の生徒じゃ、今のこのクラスのメンバーには絶対に勝てない。グランの魔力操作の極意を教えて、同じような訓練をしないと永遠に勝てないわよ」


 そして彼女は核心を突く。


「今のままだとこのクラスが卒業してグランたちが抜けたら、トレースやクローディアはあと1年いるけど、その後がないわ。強さを引き継げなければ王国はまた弱くなるわね」


「……そこは、ちょっと考えてるんだ」


 グランの言葉に、皆が注目する。


「まだ形にはできていないが、『蒼白銀の翼』が地に落ちないようにするつもりだ」


 オリヴィア王女が驚いたように尋ねた。


「まさか……魔力操作の極意を、グランなしでも教えられる方法があるの?」


「一応考えてはある」


 グランは頷き、説明を続ける。


「ただ、俺が直接魔力を通して教えるよりかは、効率は何倍も落ちる。それでも、既存の学生の平均から見れば、二倍は強くなるはずだ。……そしてこれは、帝国にも教えるつもりでいる」


 それを聞いたオリヴィアは慌てて声を上げた。


「そんな! それを帝国にも教えてしまったら、両国の軍事力が一気に膨れ上がり、無為な争いなどが生まれる可能性が……!」


「帝国にグランの鍛錬法が渡ったら、みんな一斉にやり出すわよ。野心を持っている人がやれば、それを利用して一気に戦火が広がる可能性があるわ。私もオリヴィアの意見に賛成よ」


 セルフィリアもそれには同意する。


 王国の王女と帝国の皇女という、上に立つ者としての責任を持つ二人が、深刻な顔で反対する。


 ルヴィリスたち四聖華も、自身がその鍛錬の絶大な効果を体感しているからこそ、グランの案には難色を示した。


「それに、グランは当初『信頼している者にしか教えない』と言っていたわよね? それと矛盾するんじゃないかしら」


 皆の懸念はもっともだった。


 しかし、グランの考え方は違った。


「確かに、この鍛錬方法なら今より確実に強くなる。だが、全員がやったら結局は一緒だ。俺はどちらかといえば、全人類の平均値を底上げすると思っている」


 グランは皆を落ち着かせるように言葉を続ける。


「それでも今より二倍は強くなるから、戦いの激しさは増すだろうな。最初は俺も、王国だけにとどめるつもりだった。だが、それをやると今度は『王国が暴走した時』に、誰も止められなくなる」


 だからこそ、帝国にも教えるのだと。


「帝国が暴走したら王国が止める。王国が暴走したら帝国が止める。両国にこの力を与えれば、お互いに牽制し、監視しあえる関係になる。同じくらいの強さを持った者同士が戦えば、どれほどの被害が出るか……上に立つ者たちが、自国の被害を考えられないくらい馬鹿じゃない限り、安易に戦争なんて起こさないだろうさ」


 グランは言葉を続ける。


「ただ、今のところは漠然と鍛錬方法のアイデアが思いついているだけで、実際にまだ鍛錬方法として確立しているわけじゃない。だから今すぐどうこうという話ではなく、卒業するまでには完成させるつもりだ。そんなに焦る必要はないさ」


 そして、グランは再びホームルームの本題へと話を戻す。


「話を今回の学園選抜に戻そう。Sクラスのクラスメイトは十二名だが、俺が辞退して抜けるから十一名になる」


 学園全体の代表枠が七名、二年別の代表枠が五名で、合計十二枠。


「Sクラスの十一名が全員選ばれたとしても、あと一枠は残る。そこに、俺たちの同級生が熾烈な争いを勝ち抜いて選ばれてくるわけだ。だから、俺たちはそいつが萎縮しないようにちゃんと迎え入れてやろうぜ」


 するとルヴィリスがため息をつきながら言った。


「グランが辞退しなければ、その枠はすんなりグランで決まって、誰も萎縮するような事態にはならなかったでしょうに」


「学園長も言っていたが、平等にチャンスを与えることも大事だろ」


 グランが苦笑して返すと、マルクが不思議そうに首を傾げた。


「なあ、いっそSクラスから誰も選ばなければいいんじゃないのか? そうすれば全員にチャンスが回るだろ」


「いや、それだと帝国に勝てないと学園長は思ってるんだろうな。学園長も去年ああいう派手な勝ち方をしてしまった手前、引くに引けないところがあるんだと思うぞ」


 グランの推測に、セルフィリアも深く頷いて同意した。


「確かに、それはそうよね。帝国はあの敗北の後、根本的な訓練やカリキュラムの見直しを徹底的に行っていたわ。おそらくだけど、去年よりも確実に力をつけてきているはずよ。だから、Sクラスを除外するわけにもいかないのね」


 皆が現状のパワーバランスと学園長の苦労を察し、納得したところでその日の話は終わった。



 そして放課後。


 今日は『蒼白銀の翼』の訓練は休みにし、皆で息抜きに王都の街へと繰り出すことになった。


 例年とは違い、今年はよく雪が降っている。街道の脇には、除雪された雪が白く高く積もっていた。


 グランたちは王都にあるお洒落なカフェの一室を貸し切りにし、まったりと会話を楽しんでいた。


 今回の貸し切り費用は、以前の屋台で稼いだ売り上げから出している。


 すっかり手付かずのまま放置していたことにグランが気付き、「どうせなら今日は派手に使おう」と提案して、カフェの個室を貸し切り、飲み放題・食べ放題にしたのだ。


 屋台の売り上げの半分くらいは持っていかれたが、それでも資金にはまだまだ余裕がある。そもそもこのお金の使い道がずっと見つかっていなかったため、皆に還元できてちょうどよかったとグランは思っていた。


 皆はそれぞれショーケースから好きなケーキやお菓子を注文してテーブルに並べていく。


 マルクたち平民のメンバーは、普段は絶対にできないような王都のカフェでの贅沢に感激し、目を輝かせながら高級なお茶の飲み比べなどを楽しんでいた。

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