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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第117話:修練会対抗戦決着

 グランたちの拠点では、『蒼白銀の翼』同士の激戦が繰り広げられていた。


 マルクはエルスメリアと、レキシはソフィアと、カロンはルヴィリスと、ニーナはオリヴィアと、そしてトレースはクローディアと対峙していた。


 そこにベアトリクスが拠点の最終防衛線に立ち、新たに覚えた波動で遠距離から攻撃を仕掛け、的確に相手の邪魔をする。


 お互いに夏合宿で強くなっているが、やはり平民と貴族の素質によるアドバンテージの差は完全には埋まらず、徐々にベアトリクスたちが押され始める。


 その均衡を破ったのは、トレース対クローディアの戦いだった。


 同じ新入生だが、ここでも平民と貴族の差が顕著に出る。


 トレースも奮戦したがクローディアのステータス値には抗えず、最後は炎魔法の『フレイムランス』と氷魔法の『アイスランス』の混合魔法により障壁が破られた。


 トレースのライフゲージの魔道具が発動し、彼は撃破され待機所へ転送される。


 ルヴィリスはこれを勝機と見て、一気に勝負を仕掛ける。


 自身の残った魔力を全て解放し、広範囲魔法である『ファイアトルネード』を放った。


 ルヴィリスと対峙していたカロンは魔法の直撃を受けてしまう。


 カロンはライフゲージが空になり、撃破され転送された。


 一方でクローディアもこの広範囲魔法に巻き込まれるが、最後の抵抗として同じように炎魔法の『フレイムランス』と氷魔法の『アイスランス』の混合魔法をベアトリクスに向けて放つ。


 その一瞬の遅れがベアトリクスの防御を破り、彼女にダメージを与えた。


 クローディアはそれを見て満足げな笑みを浮かべ、ライフゲージがゼロになって撃破され転送される。


 他のメンバーであるエルスメリア、ソフィア、オリヴィアは防御結界が間に合い、ルヴィリスの魔法の余波を防ぎ切った。


 そしてルヴィリスの近くで包囲していた修練会同盟軍にも大きな被害が出る。


 だがその後、同盟軍からルヴィリスに向かって一斉に魔法が放たれた。


 ルヴィリスは魔力が底を突いていたのか結界も張れず、そのまま直撃を受けて撃破され転送される。


 これで『蒼白銀の翼』の生き残りは、ベアトリクス、マルク、レキシ、ニーナの平民組と、エルスメリア、ソフィア、オリヴィアの王族・貴族組だけとなった。


 しかしベアトリクスのライフゲージはすでに半分を切り、マルク、レキシ、ニーナに至ってはもう残り二割もなかった。


 対するエルスメリア、ソフィア、オリヴィアのライフゲージにはまだ余裕があった。


 もう一度広範囲魔法が発動すれば自分たちは全滅すると、ベアトリクスは直感する。


 そしてベアトリクスはマルクに向けて叫んだ。


「私が特攻するから、あとは任せるよ!」


 ベアトリクスは残った魔力を極限まで練り込み、身体強化を発動させる。


 右手に凄まじい魔力を纏わせ、全属性魔法の使い手であるオリヴィアに向けて突撃した。


 オリヴィアもそれに気づき無詠唱で魔法を次々と放つが、ベアトリクスは構わず突撃を続ける。


 そしてついにオリヴィアへ拳が届くが、同時にオリヴィアの魔法がベアトリクスを貫いた。


 ベアトリクスのライフゲージはゼロになり、撃破され待機所へと転送される。


 オリヴィアは全力の障壁魔法でベアトリクスの一撃を防ぎ切ったが、もはや広範囲魔法を放つほどの魔力は残っていなかった。


 オリヴィアは悟り、仲間に告げる。


「……やられたわね。私はもう広範囲魔法を撃てません。なら、できるだけ皆を助けます」


 そう言って、魔力が尽きるまで修練会同盟軍とマルクたちに向けて魔法を撃ち続けた。


 しばらくの間は絶え間なく魔法を放ち続けていたが、ついに彼女の魔力が底を突く。


 それを見計らったように、生き残っていた修練会同盟軍の中から『獅子の盾』を中心に結成された近距離職の軍勢が、オリヴィアに向けて一斉に斬りかかった。


 オリヴィアは微笑みを浮かべて言い残す。


「後は頼みましたよ」


 そして彼女のライフゲージの魔道具が発動し、転送されていった。


『獅子の盾』と『白光の杖』の主将たち修練会同盟軍は、残り少なくなった『蒼白銀の翼』に対し、一斉に突撃することを決意する。


 彼らは味方を鼓舞する。


「いまだ! 全員死ぬ気でかかれ! 俺たちの意地を見せるんだ!」


 修練会同盟軍は雄叫びを上げながら拠点に流れ込む。


 生き残ったソフィアもエルスメリアも、マルクたちに向かって突撃する。


 日は高く昇り、対抗戦終了まで残りの時間はわずかだった。


 グランたちが拠点を守り切るか、ソフィアとエルスメリアがフラグを手に入れるか、それとも修練会同盟軍が『蒼白銀の翼』を全滅させてフラグを手に入れるか。


 まさにどこが優勝してもおかしくない状況だった。


 ソフィアはエルスメリアに告げる。


「エルが一番生存率が高い。エルがフラグをとって。私が道を開くから、後は頼んだわ」


 エルスメリアは頷く。


「わかったわ。あそこに見えているのがグラン君たちの拠点フラグね。突撃してフラグを奪い、そのまま離脱するわ」


 前回攻め込んだ時とは違い、そこには見つけやすいようにフラグが一本だけ置かれていた。


 ソフィアはすべての魔力を使い、そしてリンク・ウェポンの魔石の魔力も解放する。


 ソフィアを中心に広範囲魔法が繰り広げられる。


 エルスメリアは最大限に防御魔法と結界魔法を張り、その攻撃に耐える。


 修練会同盟軍とマルクたちは魔法をまともに受け、その場にいた全員のライフゲージがすべてゼロになり次々と転送されていく。


 ソフィアは魔力を使い切り、ハルバードを支えにして座り込んだ。


 しかし修練会同盟軍の生き残りがソフィアに肉薄し、剣と魔法で次々と攻撃を受けて彼女も転送される。


 エルスメリアはグランたちの拠点のフラグを手に取った。


 そして持てる魔力を使ってシールドバインダーに魔力を溜め込み、一気に解放する。


 まるで前世のロケットのブースターのように、戦場から一気に離脱した。


 その衝撃に修練会同盟軍は巻き込まれ、もうほとんど生き残りは存在しなくなった。


 エルスメリアはこのまま自陣の拠点に戻り、残り時間を過ごそうと考えて急ぐ。


 そして拠点に着き、自分たちが勝ったことを確信した。


 できるだけ体力と魔力を回復しようと、椅子に座り休もうと扉を開ける。


 すると横から、グランの蒼白銀の魔力を纏った手刀がエルスメリアを貫いた。


「がはっ!」


 エルスメリアは声を上げ、自分を貫いた手の先を見るとそれは自分が最も愛しい人の姿だった。


 エルスメリアは驚くと同時に微笑みを浮かべる。


「やっぱりグラン君には勝てないわね」


 エルスメリアはそう言い残し、待機所へと転送される。


 そしてグランが、エルスメリアの持っていた自分たちの拠点のフラグと敵のフラグを手に入れた。


 しばらくすると、終了を知らせる信号弾が上がる。


 今年の修練会対抗戦は、こうして無事幕を閉じた。





 待機所は人がごった返しになっていた。


 最後のソフィアの魔法が決定打となり、待機所はパンパンに人で溢れかえっている。


 しかし『蒼白銀の翼』は人数が少ないため各部屋に余裕があり、みんなは各自激闘の疲れを癒やしていた。


 そして終了の信号弾が上がったことにより、対抗戦は終了したことを知る。


 ベアトリクスたちはグランが戻っていないことに期待を寄せ、ルヴィリスたちは全員が戦闘不能になったことに気を落としていた。


 そして待機所にアナウンスが流れる。


「修練会対抗戦は終了した。これより集計を取り結果発表と表彰式を行う。しばし待機するように」


 溢れた人たちが待機所の外に出る。


 そして修練会同盟軍は各自、お互いの健闘を称え合った。


 結果的に『蒼白銀の翼』には負けたが、各々がメンバーの数人を自分たちの手で戦闘不能にできたことで意地を見せたと語り合う。


 待機所の部屋で休んでいたルヴィリスが口を開く。


「今回は完全に負けね。私たちは圧倒的に強くなったけど、やはり数の暴力には苦戦するわね。今だからこういう戦いも通じるけど、世界にはもっと強い人たちがたくさんいる。今回は自分たちが他の修練会に対して慢心していたこともあるわね。初心を忘れずにまた鍛錬に励みましょう」


 ディアドラが推測する。


「グラン殿が今回ステータスを少し強めにしたと言っていたが、まさか我々にこれを知ってもらうためにしたのか?」


 その言葉を聞き、彼女たちは改めて自分たちがグランの手のひらで転がされていたのだと実感した。


 エルスメリアが嘆く。


「結局優勝できなかったわね。願い事が叶えられないわ」


 それを聞いた四聖華と王女、皇女はひどく落胆していた。




 一方、ベアトリクスたちの部屋では、グランが待機所に戻ってきたことで歓喜に沸いていた。


「やっぱお前はやってくれたな!」


「本当、すげえよなお前は!」


 マルクが戻ってきたグランに声をかけ、カロンも褒めたたえる。


 ベアトリクスも喜ぶ。


「グラン! さすがだね!」


 グランは首を振って仲間たちを称賛する。


「今回は本当にみんなで手に入れた勝利だ。結構危ない橋も渡った。それが成功したのは、みんなが各々で死力を尽くしたからだ。俺一人でどうにかなるものではなかった。それにみんな、人数の差はあったにせよルヴィリスたちを撃破したのだろう? それだけ成長しているってことだ。引き続き鍛錬を怠らず頑張ろう」


 みんなはその言葉に元気よく返事をした。





 そしてしばらく経ち、再びアナウンスが流れる。


「結果発表と表彰式を行う。全校生徒は広場に出てくるように」


 待機所にいた学生たちが広場に出てくると、学園長と実行委員会が前に立っていた。


 学園長は微笑みながら感想と講評を述べる。


「今回は『蒼白銀の翼』が半分に分かれ、そこに各修練会が全員で挑んだ。そして最終的には全修練会が自分たちで同盟を組み、『蒼白銀の翼』という強大な敵に立ち向かった。結果は振るわなかったが、各々が考えて出した立派な結果だ。悲観することはない。強敵に挑むなら一時的に協力するのも戦争ではよくあることだ。各自この経験を胸に秘め、鍛錬に励むがよい。そして『蒼白銀の翼』たちよ、今回も見事だった。さて、それでは優勝者を発表する。優勝は『蒼白銀の翼』平民組、代表のグラン・グラニアス、前へ出てきてくれ」


 グランが前に出ようとするが、その途中でルヴィリスたち貴族組が恨めしそうな視線を送ってくる。


 グランは苦笑いをしながら前へ立ち、学園長から表彰を受けた。


 学園長はグランに言葉をかける。


「今回も見事だった。力で抑えるだけでなく、人の虚を突くような作戦も実に見事だった。これからも皆の目標として立ち塞がり、この学園の実力を底上げしてもらいたい」


 グランは答える。


「俺にできることなら」


 そしてベアトリクスたちの方を見ながら、与えられたトロフィーを高く掲げた。


 ベアトリクスたちは歓声を上げ、他の者たちも素直に拍手をして健闘を称えた。


 学園長が締めの挨拶をする。


「今回はこれだけの人数の参加だ。明日と明後日の学園は特別休暇とする。各々、修練会で対抗戦の反省会をするなり、鍛錬につぎ込むのもよし、体を休めるのもよし、有意義に使ってくれたまえ」


 そして解散となり、『蒼白銀の翼』のメンバーが一同に集まり、学園へ帰った。


「明日、反省会をしたいわ」


 ルヴィリスたちが提案すると、ベアトリクスたちも同じ意見だった。


「じゃあ明日は午前中に演習場に集まって反省会をしようか。午後からは各自で休むか?」


 グランがそう言うと、ベアトリクスたちは提案する。


「せっかくだから優勝のお祝いをしようよ」


 ルヴィリスたちも賛同する。


「そうね、グランたちが勝ったけど、私たちも『蒼白銀の翼』だもん、お祝いしましょう」


「じゃあ王都のどこかでやるか」


 グランがそう提案すると、皆は賛成し、帰路に就いた。




 そして翌日、演習場の会議室での反省会が始まった。


 四日目にグランが囮になってベアトリクスたちがフラグを奪った真相を知り、ルヴィリスたちはひどく悔しがる。


「じゃああの時、無理にでも魔眼を使って中を確認して、余計なことをせずにフラグ回収に専念していれば、グランたちのフラグも取れたかもしれないわね」


「それだと私たちはおそらくだけど、ルヴィリス様たちの拠点に、再度突撃していたと思うよ」


 ルヴィリスがそうこぼすと、ベアトリクスがその場合だと自分たちはこうすると返す。


「そうなればグランに与えられたダメージがまだ癒えていないから、どっちが勝っていたかわからないわね」


 オリヴィアがそう分析する。


 結局、グラン一人に完全に振り回されたと結論付けられ、四聖華や王女、皇女はグランをジト目で見た。


 グランは居心地が悪くなりながらも強がる。


「まだまだ、お前たちに負けるわけにはいかないからな」


 ルヴィリスたちが一斉にツッコミを入れる。


「七人がかりとはいえ、一回負けてるでしょ!」


「あれはノーカンだ」


 グランが言い訳をすると、その言葉を皮切りに皆でわいわいと騒ぎ始めた。


 その様子を見ながら、トレースはクローディアに声をかける。


「今回は負けましたが、次は負けません」


 クローディアも意気込みを返す。


「私も負けるつもりはありません。この素晴らしい先輩たちが卒業したら、私たちがこの『蒼白銀の翼』を導かなければならないのですから」


「……プレッシャーが凄まじいですね」


「本当ね……」


 トレースは苦笑いしながら返すと、クローディアも苦笑いして同意するのだった。

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