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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第114話:成果の代償

 崩れ落ちたグランから光が放たれる。


 ライフゲージの魔道具が発動して戦闘不能判定となり、彼は待機所へと転送されていった。


 それを見届けた七人は、初めてグランに勝ったことに深い喜びと安堵を感じる。


 しかし、七人がかりで挑んでなお満身創痍まで追い詰められたことに、彼女たちは改めてグランに対して尊敬と畏怖、そして師としての底知れぬ愛を感じていた。


 ルヴィリスは皆の被害状況を確認し、このままベアトリクスたちがいる拠点に攻め込むかどうかを相談する。


 シールドバインダーを破壊され、少し傷を負ったエルスメリアが意見を述べる。


「グラン君と戦って確かに満身創痍だけど、魔力はまだ残っているわ。大規模殲滅魔法とまではいかないけれど、広範囲魔法なら1発だけど放てるわ。」


「では、拠点に向けて魔法を放ち、敵が出てきたところを倒す作戦にしましょう」


 ルヴィリスはそう提案し、皆でグランの拠点前まで近づいていく。


 ただ、妙に静かなことにルヴィリスは不思議に思い、皆に問いかけた。


「中で待ち伏せしているのかしら?」


「グラン様が打って出たということは、拠点の守りを彼女たちに任せたのでは?」


 ソフィアがそう返すが、ルヴィリスは妙な胸騒ぎを覚える。


 ルヴィリスたちは、魔眼を発動して中の様子を確認しようとしたが、グランとの戦いで魔力をかなり消費した今、魔眼に魔力をつぎ込むと、広範囲魔法が放てなくなる。


 両方使えるまで回復を待つにしても時間はかかる、その間、ベアトリクスたちが拠点から打って出てきた場合は乱戦になる恐れがある。


 満身創痍の自分たちが体力や魔力が万全のベアトリクスと戦った場合、負ける可能性があるとみんなは思っていた。


 さっさと拠点のフラグを回収し、自陣に戻って防衛をしなければならないと考えたルヴィリスは、最初の作戦通りに広範囲魔法を拠点に向けて一斉に放った。


 拠点とフラグは特殊加工されているため魔法で破壊される事はないが、拠点には耐久値が設定され一定以上の耐久値が減ると拠点が破壊判定となり、魔法は壁を貫通するようになるため、中にいる者にはそのままダメージが入る仕組みだった。


 そして魔法を撃ち終わった後、比較的軽傷だったセルフィリアを先頭にして拠点の中へと入り込む。


 すると、そこにはフラグが乱雑に置かれており、罠の可能性も考えたルヴィリスたちは拠点の各部屋を調べ、ベアトリクスたちの伏兵を確認する。


 誰もいないことを確認するが、念には念を入れ、少し回復した残り少ない魔力で四聖華たちは魔眼を発動し周囲も確認する。


 魔眼で確認し、どこにも異常はない。そしてベアトリクスたちは広範囲魔法で全滅したと判断、急いでフラグの回収にあたる。


「この際、グランたちのフラグも奪いましょう」


 オリヴィアがそう提案すると、皆で拠点内をくまなく探すが見つけられない。


「まさか、グランが持っていたのか?」


 ディアドラがそう呟くが、ルヴィリスは即座にそれを否定する。


「それはルール違反だから、拠点のどこかに絶対にあるはずよ」


 そしてルヴィリスはさらに残された魔力を使い、魔眼で拠点内を透視するが、あちこちにフラグが隠されているため、どれがグランたちの本陣のフラグかわからなかった。


 全てをあたろうにも拠点の時計を見るとすでに昼過ぎを回っており、皆の体力や魔力なども考慮し、ルヴィリスは判断を下す。


「そろそろ戻らないと自陣の防衛に間に合わないわ」


 彼女たちは本陣のフラグ探しを諦め、見つけやすく置かれていた大量のフラグを回収し、無事に半数以上を確保できたことに安堵して拠点へと戻っていった。





 一方、ベアトリクスたちは隠されていたルヴィリスたちの本陣のフラグを見つけ奪いとり、拠点に向けて戻っていた。


 途中、ルヴィリスたちと鉢合わせる危険を恐れ、あえて遠回りをして帰路につく。


 その道中で他の修練会の敵と何度か戦闘になったが、難なく対処して無事に拠点へと辿り着いた。


 そして拠点が激しく荒らされていることに気づき、バラバラに隠してあったフラグが大量になくなっていることを確認し、グランが敗北したことを悟る。


「さすがにグランでも七人相手は無理だったか」


「グランの犠牲を無駄にしないためにも、彼が戻るまでは防衛に徹するよ」


 マルクが呟くと、ベアトリクスは皆にそう告げる。


 しかしカロンが懸念を口にした。


「ルヴィリス様たちが拠点に戻ってフラグがないことに気づいたら、またここに来るのではないか?」


 ベアトリクスは首を振って答える。


「ううん、ここまで大胆に拠点が荒らされているということは、おそらく広範囲魔法を放って私たちごと全滅させたと思っているはずだよ。」


 そして、荒らされた部屋を見渡してうなずく。


「グランの策略は本当にすごいね。とりあえず、私たちはルヴィリス様たちの中では戦闘不能で離脱していることになっているから、極力見つからないようにしよう」


 そして、その日からグランが復帰する六日目までは、極力拠点に引きこもることを決意した。




 夕方、自陣に戻ったルヴィリスたちは念のためフラグをもう一度数え、半数以上を確保できていることを確認する。


 グランが持っていた鞄の中の本数も足し、エルスメリアの『鑑定の魔眼』でグランの持っていた鞄に細工などがないことを入念に調べ上げた。


 安全を確認した後、フラグを鞄の中にしまい、自拠点のフラグが隠されている部屋へと持って行く。


 ルヴィリスとクローディアがフラグの隠し部屋に鞄を置きに行った際、クローディアがふと、自分が置いた荷物が少しだけずれていることに気がついた。


 クローディアは少し慌てた様子で進言する。


「ルヴィリス様、私が置いた荷物の位置が、僅かですがずれています!フラグを確認したほうがいいと思います!」


 ルヴィリスはその言葉を聞いた途端、慌ててフラグの隠し場所を確認した。


 すると、そこにあるはずの自陣のフラグがなくなっていることに気づく。


 ルヴィリスは天を仰ぐ。


「完全に私の判断ミスだわ」


 そう悔やむと、至急皆を集めた。


 まずルヴィリスは、自分の判断で拠点の防衛を置かなかったせいで、フラグが奪われてしまったことを深く謝罪する。


 皆は驚いたが、エルスメリアは彼女を慰めた。


「いえ、あの時防衛で誰か一人でも残っていたら、私たちはみんなグラン君に戦闘不能にされていたわ。それに、たとえギリギリで勝てたとしても、その後のベアトリクスたちとの戦いで広範囲魔法を撃つほどの魔力は残っていなかったはずよ」


 ソフィアもディアドラもその意見に賛成し、オリヴィアとセルフィリアも前を向く。


「とりあえず、取られたものは取り返すまでよ」


 セルフィリアがそう言うと、今後の作戦として防衛を三人体制にし、残りはツーマンセルでフラグを探しに行こうと話し合った。


 グランたちが復帰するのはおそらく六日目であり、その間になんとしてでも見つけ出すと皆で決心する。


 その日はグランとの激闘の疲れを癒やすため、全員が早々に休みを取り明日に備えた。





 場所は離れ、グランはライフゲージの効果で待機所へと転送されていた。


 初めて来た場所にグランは少しソワソワするも、事前の説明ではここは学園が用意した遠征地用の宿泊施設であり、例年通り学園が待機所として使っている場所だった。


 ただし今回は学園のほぼ全校生徒が修練会対抗戦に参加しており、部屋の数が足りないため修練会同士の相部屋となっていた。


 さらに今回の『蒼白銀の翼』の活躍、もとい暴れっぷりのせいで、大部屋には所狭しと戦闘不能になった学生たちが詰め込まれている状態だ。


 グランは『蒼白銀の翼』専用の一室で、のんびりとベッドに横になりながらアンサートーカーと脳内で反省会をしていた。


『カッコつけてた割には、あまり時間稼ぎできませんでしたね』


 アンサートーカーの容赦ない言葉に、グランは内心で苦笑しながら返す。


(『オーバーエンド』を受け止めたのがまずかったな。できれば二、三人くらいは戦闘不能にしたかったのだが、駄目だったか)


『この修練会対抗戦用に、マスターのステータスをいつもよりほんの少し強めに調整しましたが、それでもあの七人の中から三人以上を同時に相手にするのは厳しい状態でした。結果的には成果はあまり上がりませんでしたが、七人相手に健闘したほうですね』


(そうだな。夏休みに四聖華と王女と皇女は、聖域の第二層をソロで突破できていたんだ。来年は俺のステータス値をもっと上げてみんなを指導しないとな)


『ええ。このペースなら来年はパーティーを組んで聖域の第五層まで踏破できそうですね』


(成長著しいな。来年が楽しみだ。……さて、六日目の昼まではここで待機だから、短いけど久しぶりの休暇だ。ゆっくり休ませてもらおう)


 そしてグランは日課である『魔力操作の極意』での鍛錬を済ませると、早いうちから眠りについた。





 四日目の夜、ルヴィリスたちに蹂躙された修練会たちは、戦闘不能から復帰しても、みな葬式のように静まり返っていた。


 圧倒的な実力差、何もできないまま蹂躙される虚しさから、修練会の中には「もう降参して早く学園に戻りたい」とまで言い出す人間も出始めた。




『獅子の盾』の主将は、去年の感覚なら負けるにしてもいいところまで行くと思っていた。


 だが蓋を開けてみれば惨敗であり、圧倒的な人数差があっても、彼女たちはまるで何事もなかったかのように仲間を次々と倒していった。


 もはや修練会対抗戦など無意味になったと思い嘆く。


 その時、ふと去年の『獅子の盾』の主将であった尊敬するガウルの言葉を思い出した。


 去年の修練会対抗戦で連合として戦うことになった際の会合で、『蒼白銀の翼』を軽視していた修練会の連中の目を覚まさせるため、ガウルは机を叩き割り、彼らの強さをいち早く見抜いて喝を入れていた。


 そして『獅子の盾』のプライドや矜持を捨ててでも『白光の杖』と連携を取り、結果として負けはしたものの、ここまであっけない勝負ではなかったと思い返す。


 主将は副主将に命じた。


「出かける準備をしろ」


「どこへ行くのですか?」


 副主将が尋ねると、彼は答える。


「『白光の杖』の拠点に行くぞ」


「敵の拠点に私たち二人だけで行くのですか!?無謀です!」


 副主将が止めるが、主将は告げた。


「戦いに行くわけではない。同盟を組みに行くんだ」


 副主将は食い下がる。


「『獅子の盾』と『白光の杖』はずっと犬猿の仲です。去年は連合として対抗戦が決定していたので仕方なく組みましたが、今回は違います。相手がどう出るかは未知数ですし、おそらく我々を見た瞬間に襲いかかってくるでしょう」


「そこは賭けだが、あいつらもこのまま黙って負けを認めるような奴らではない。行くだけ行って、だめなら違う手を考えよう」


 主将はそう言い切り決意を固め、『白光の杖』の拠点へと向かった。




 同じ頃、『白光の杖』の主将もまた、現状を打破するには『獅子の盾』を筆頭にすべての修練会が結束しないと確実に負けると判断していた。


 副主将を含む幹部にその考えを打ち明けるが、皆は『獅子の盾』とは長年ライバル関係にあったため難色を示す。


「去年は特殊事情で連合として戦いましたが、今回は違います。たとえ同盟を組もうと思っても、向こうは長年の歴史やプライドが邪魔をして断られる可能性のほうが高いですよ」


 だが主将は反論する。


「あの男はああ見えて、大局的な考え方もできると思う。現に修練会対抗戦の会議の時、代表者の数を全員参加にしたときは同じ考えになっていた。だから俺はその可能性に賭けたい」


 主将は副主将に声を上げる。


「出る準備をしろ。『獅子の盾』の拠点に向かうぞ」


「わかりました」


 副主将も頷き準備を進めていると、拠点のドアが勢いよく開いた。


「何事だ」


 主将が聞くと、見張りが報告する。


「『獅子の盾』の主将と副主将が訪ねてきています!」


 主将はまさかと思い、指示を出して二人を招き入れた。


「すぐに拠点の中に案内しろ!」




 拠点内で『獅子の盾』の主将と副主将、『白光の杖』の主将と副主将の一同が揃う。


 そして『獅子の盾』の主将が切り出す。


「来た理由は一つだ。共に同盟を組み、『蒼白銀の翼』に一泡吹かせないか」


『白光の杖』の主将はそれを聞き、ふっと笑みをこぼした。


「信用できないかもしれないが、俺たちは本気だ。代々巡ってきた因縁は今は水に流し、今回の修練会対抗戦では一緒に戦おうじゃないか」


『白光の杖』の主将は笑いを収めて告げる。


「すまない、馬鹿にして笑ったわけではないんだ。我々も全く同じ考えで、君たちの拠点を訪ねようとしていたところだ。こちらこそ協力してほしい」


 右手を差し出すと、『獅子の盾』の主将はその手を固く握り、ここに二大修練会の同盟が締結された。


『白光の杖』の主将は提案し、各幹部に使いを走らせるよう檄を飛ばす。


「どうせなら全修練会と同盟を組もう」


『獅子の盾』も同調し、作戦を伝える。


「我々も拠点に戻り次第、他の修練会に声をかけていこう。そして我々の最大の利点である復帰速度の速さを活かし、六日目の昼までは、去年先輩方がやった威力偵察程度ではなく、全力で拠点に永遠に攻撃をしていく。」


 それを聞いた『白光の杖』の主将がその作戦に同調し意見を述べる。


「だが、六日目の夜はあえて攻め込まない、復帰が間に合わなくなるからだ。相手もおそらくそれを読んで回復に専念しようとするだろう。だが積み重なった疲労は取れないはずだ。俺たちは六日目の昼以降はなるべく戦闘不能にならないように戦力を温存するんだ。決戦は七日目の最終日にしよう。」


 お互いの意見を交わして方針を決めた後、各修練会の拠点を訪ねて同盟に入るように説得して回った。


『獅子の盾』と『白光の杖』の二大トップが共同して説得に当たった結果、すべての修練会が同盟に加入することになる。


 そして決戦は七日目の最終日とし、合図とともに一斉に拠点に攻め込むという作戦が共有された。


「だから六日目の昼以降はなるべく戦力を温存するために戦うな」


 その指示が、各修練会に徹底されるのだった。


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