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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第112話:闇夜に紛れる翼

『獅子の盾』の主将は唖然としていた。


 学園長が言っていた開始直後の広範囲殲滅魔法に万が一備えて、全力で防御魔法を盾に付与し全員で守るという作戦をとったが、結果はほぼ全滅であり、その圧倒的な魔法の威力に言葉を失っていた。


 そして学園長の言葉を改めて思い出す。


 開始直後に広範囲殲滅魔法を撃たれて勝負がつくぞ、という言葉だ。


 これが実際の戦争であれば、もうすべてが終わっている。


『獅子の盾』に入り将来は騎士職を目指していたが、この状況を目の当たりにし、将来の戦争の在り方が根本的に変わるのではと思い始めていた。


 だが今は目の前のことに集中しようと生き残っている者を鼓舞し、襲撃に備えて陣形を組み直すよう指示を出す。




 一方、『白光の杖』の主将も開始直後、同じく防御魔法や結界魔法をふんだんに繰り出し、自身も結界魔法の出力を最大限に上げて防御に徹していた。


 しかし『獅子の盾』と同様に生き残った者はほぼおらず、攻勢に転じることもできない状況だった。


 彼も同じく襲撃に備えて陣形を組み直し、結界魔法を張り直す。


 そして、ほかの中堅修練会や連合は生き残ることができず、行動可能な人間は誰一人として拠点に残っていなかった。





 ベアトリクスたちは近くの敵修練会の拠点を片っ端から襲撃し、フラグを奪っていった。


 マルクたちは少し離れた場所にある敵修練会のフラグを次々と奪っていた。


 そして三時間が過ぎた頃、マルクたちはフラグ回収中のセルフィリアとクローディアの二人に遭遇する。


 お互いが他所の修練会のフラグを集めていることに気づき、このままでは取り合いになるため、セルフィリアはここで相手を行動不能にすれば今日の脅威がなくなると判断して対峙した。


 セルフィリアは数こそ不利だが、負けるつもりは微塵もなかった。


 対するマルクたちは、セルフィリアに関しては黒龍もいるため、三人でも実力的に相当の覚悟でなければ負ける可能性もあり、魔力適性が正常になったクローディアは貴族子女らしく高いステータスを持つ。


 最悪全滅する恐れがあると判断し撤退を選択する。


 セルフィリアは逃げるマルクたちを追いかけようとするが、クローディアが制止した。


「待ってください! 他のメンバーが見当たりませんし、罠の可能性もあります」


「確かにそうね。そのまま追いかけて罠だった場合のリスクが高いわ。ここは無理せず見逃しましょう」


「……生意気言ってすみません」


 クローディアが謝罪するが、セルフィリアは優しく微笑んだ。


「大丈夫よ。私たちが卒業すれば、あなたがこの修練会を引っ張っていくのよ。今のうちに大局的な物の見方を鍛えておきなさい」


 その言葉に、クローディアは深く感動していた。


 セルフィリアたちから逃げていたマルクたちは、相手が追いかけてこないことを確認した後、三人で相談して念のため一度拠点に戻ることに決めた。




 その頃、ベアトリクスたちもほぼ全滅状態の各修練会を蹂躙して回っていた。


 生き残っていた者たちも防御魔法に全力を込めていたため魔力が回復しておらず、ベアトリクスたちの攻撃をまともに食らって次々と戦闘不能に陥っていく。


 そして森を進んでいくうちに、彼女たちはルヴィリスたちの拠点を発見した。


 ベアトリクスは、あれほどの魔法を撃った後だから、相手も疲弊しているとは思いつつも、あの強力なリンク・ウェポンは健在であり、万が一魔法を撃っていないと思われるセルフィリアやクローディアが残っていた場合、三人では厳しい戦いになると判断する。


 そのため、ここは一旦無視して通り過ぎ、他の修練会を襲うことにした。




 そして修練会対抗戦の一日目が終わり、グランの拠点に戻ったメンバーたちは互いに状況と成果を報告し合う。


 マルクたちはセルフィリアとクローディアに遭遇したが、戦闘には入らずそのまま逃げてきたと報告した。


 ベアトリクスが告げる。


「王女様たちの拠点を見つけたけど、無理に攻める意味もないから無視したよ。でも位置は把握できたから、これから作戦は立てやすいね」


 グランは各々が持ち帰ったフラグの数の多さを素直に褒めた。


「去年と違い、今年は敵の戦闘不能からの復帰時間が短いから気を抜くな。ただ、今日に関しては夜に復帰は間に合わないから、俺たちが警戒すべきなのはルヴィリスたちのチームだけだ」


 グランはそう言って夜の警戒の番を決め、各々を休ませることにした。




 ルヴィリスたちも帰還したセルフィリアとクローディアから報告を受けていた。


 各修練会の拠点を回ったものの、一足遅くフラグが回収されていたため思ったより数が集まらなかったこと、そしてマルクたちに遭遇したが罠を警戒して深追いはしなかったことが伝えられる。


 ルヴィリスはその報告を聞き、推測した。


「恐らく、私たちが開始直後に広範囲殲滅魔法を撃つことを読んで防御に徹し、魔法が終わったと同時に敵修練会の拠点を襲ったのね」


「私たちもすぐに動けばよかったのか?」


 ディアドラが尋ねるが、ルヴィリスは首を横に振る。


「これだけの大規模魔法を放った直後で、魔力はかなり消費していたし疲労もあったわ。何よりグランと鉢合わせた場合、私たちが万全の状態でなければ絶対に勝てないわ」


「確かにそうだな」


「さすがグラン様……存在するだけでこれほど戦局に影響を及ぼすとは」


 ディアドラはそう納得すると、ソフィアもそう呟き、うっとりとした表情を浮かべる。


 エルスメリアはため息をついた。


「本当ね……味方ならこれほど頼りになる人はいないけれど、敵に回すとこれほど厄介なのね」


 オリヴィアも言う。


「私たちはあくまで、彼に挑むチャレンジャーだという気持ちを忘れてはいけないわね」


 全員が各自意識を切り替えて気合を入れ直す。


 そして彼女たちも夜の番を決め、明日に備えて各自休憩に入った。


 一日目は特に夜襲もなく、『蒼白銀の翼』の二つのチームは十分な休息をとり、英気を養った。




 そして二日目の午後、各修練会は復帰者が整い、遠征地の各地で小競り合いなどが発生していた。


 フラグが無事だった修練会は防御に徹し、逆にフラグを奪われた修練会は脇目も振らずにフラグが無事な修練会へと攻め込んでいた。


 ただ、『蒼白銀の翼』に攻め込むのには皆が二の足を踏んでおり、特にルヴィリスたちがいる高位貴族組の拠点は、発見しても決して近づこうとはしなかった。


 逆にグランたち平民組の拠点には、貴族主義の強い修練会や、まだ実力差を把握できていない血気盛んな修練会が次々と襲撃を仕掛けてくる。


 しかし、二日目は全員が拠点の防御に専念すると決めていたため、それらの襲撃も難なく対処していた。


 そしてそのまま二日目も終わり、三日目の昼に差し掛かる。


 すると、グランは各メンバーに尋ねた。


「今日は俺一人で出たいのだがいいか?」


 ベアトリクスが問う。


「一応、理由を聞いていいかな?」


「ルヴィリスたちに挨拶しに行く」


 マルクが呆れて言う。


「お前、一人で攻める気かよ」


「今からじゃなく夜に行く」


「夜襲か」


 グランがそう付け足すと、カロンが納得する。


 ベアトリクスも賛同した。


「グラン一人なら逃げるときも簡単に逃げられそうだね」


「夜の守りは私たちに任せて」


 レキシとニーナはそう言って守備を請け負い、トレースが続ける。


「先輩、気をつけてください」


「ありがとう、みんな」


 グランはそう言って、決行の夜を待った。




 一方、ルヴィリスは二日目に敵が一人も来なかったことから推測していた。


「自分たちは初日の広範囲殲滅魔法のおかげで必要以上に恐れられている、おそらく攻撃の対象になっていない。その分、グランたちのほうに敵が集中しているわ。」


 現状をそう分析したルヴィリスは言葉を続ける。


「この隙に、今日の夜に大規模修練会の『獅子の盾』と『白光の杖』に攻め込もうと思うのだけど」


 ルヴィリスが提案すると、皆は賛成し意気込む。


「ついでに中規模連合のフラグも回収しよう」


 満場一致で決まった作戦に備えるため、彼女たちはそれぞれ体を休めるのだった。




 そして三日目の夜、ルヴィリスたち『蒼白銀の翼』の高位貴族組は行動に出る。


 大胆にもエルスメリアのみを拠点の防衛として配置し、残りのメンバー全員で襲撃を仕掛け始めた。


 出発前、ルヴィリスが尋ねる。


「エル、一人だけど大丈夫?」


 彼女は力強く頷いた。


「昼間はぐっすり眠りましたから、全く問題ありませんわ。皆様の吉報をお待ちしております」




 一方、グランも夜の行動に備えて昼間にしっかりと休息をとっており、体調は万全だった。


「気をつけてね」


「お前がうちの要なんだから無理すんなよ」


 ベアトリクスとマルクがそうも声をかけグランを見送る。


「夜の拠点は任せとけ」


 カロンはそう言って胸を叩いた。


 グランは皆に念を押す。


「万が一ルヴィリスたちが攻めてきたら、絶対に抵抗せず大人しく逃げることに徹してくれ」


「わかったわ」


 レキシとニーナは頷き、そしてトレースが尋ねる。


「向こうの拠点に着いたら何をするんですか?」


「相手の人数次第だな。もしかしたら攻めに出ていて手薄かもしれないから、フラグが奪えるようなら奪うつもりだ。ただ、絶対に無理はしない」


 グランはそう告げると、夜の闇に紛れて単独で出発した。




 その頃、『獅子の盾』の拠点では、主将が焦りを感じていた。


 復帰者が戻ってきたことで他の修練会を襲撃し、何本かフラグを回収していたものの、優勝するには到底足りない数だった。


 やはり『蒼白銀の翼』の拠点に攻め込むしかないと主将が考えていたその時、慌てた様子で扉が開き、伝令が飛び込んでくる。


「何事だ!」


「『蒼白銀の翼』が攻めてきました!」


「どっちだ!?」


 主将が問いただすと、伝令は沈痛な声で伝えた。


「……王女様たちのチームです」


『獅子の盾』のメンバーたちは絶望に包まれるが、主将は自らを鼓舞する。


「まだ負けたわけではない!全勢力をもって防衛しろ!」


 彼はそう指示を出し、自らも拠点から出て防衛戦に加わった。


 さすがに数の差では圧倒していたものの、規格外の彼女たちを前に徐々にメンバーは倒されていく。


 ついには拠点の防衛線が崩壊して全滅してしまい、フラグを奪われてしまった。


『獅子の盾』は壊滅し、彼らの復帰は四日目の夜になることが決定してしまった。


 そしてルヴィリスたちはそのまま破竹の勢いで、各中規模連合の修練会を次々と襲撃する。


 彼女たちは瞬く間に敵を殲滅してフラグを奪い取り、ついには『白光の杖』の拠点近くまで到達した。


 ルヴィリスは遠視と透視の魔眼を駆使し、拠点の中の様子を詳細に確認する。


 そしてフラグのある部屋を特定すると、囮を使って敵を引きつける作戦を立てた。


 ルヴィリス、ソフィア、ディアドラ、クローディアの四人が囮となり、派手に攻撃魔法を放って敵の結界魔法を破壊する。


 そして敵の注意がそちらに向いた隙に、オリヴィアとセルフィリアが中に入り込んでフラグを奪うという完璧な連携を見せた。


 フラグを奪われたことに気づいた白光の杖のメンバーはルヴィリスたちを追いかけるが、みな次々と返り討ちにあってしまう。


 その結果『獅子の盾』の時と同様であり、『白光の杖』もまた完全に壊滅してしまう。


 彼らの復帰も四日目の夜になることが決まったのだった。

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