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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第98話:1日券

 ディアドラは寝間着姿のまま、強引にグランの部屋へと入り込んできた。


 そして部屋に入るなり、ガチャリと鍵を閉めてしまう。


「……なぜ鍵を閉めるんだ?」


 グランが尋ねると、ディアドラは少し頬を赤らめながら「誰にも邪魔されたくないからだ」と呟いた。


「と、とりあえず、そこのソファにでも座りな」


 促されたディアドラはソファに座り、少し緊張したような様子でグランを見つめてくる。


 豊乳剣の効果がまだ切れていないため、彼女の寝間着の胸元はぱっつんぱっつんに張っており、グランは目のやり場に困って必死に視線を外していた。


 しかし次の瞬間、ディアドラはすっと立ち上がり、あろうことかグランのベッドに腰を下ろした。


「いや、だからソファに座りなって」


「ここで構わないじゃないか」


 グランが再度ソファを勧めても、ディアドラは全く言うことを聞こうとしない。


(ディアって、こんなグイグイ来るキャラだったか……?)


 グランは内心で疑問に思いつつも、とりあえずそのことには知らんふりを決め込んだ。


「そもそも、聖域での競争の『景品』って何のことだよ?」


「聖域に一番最初に着いたら、『グラン殿と一日一緒にいられる券』がもらえると聞いたのだ」


「いや、俺はそんなの全然聞いてないぞ」


「あの時、私たちの言葉が聞こえていたのに断らなかったではないか。つまりそういうことだろう?」


 ディアドラは一歩も引かず、どこまでも強気な姿勢で迫ってくる。


(これ以上言い合っても無駄だな……)


 グランは早々に折れることを決め、仕方なしに確認を取った。


「分かったよ。じゃあ、今から明日のこの時間まで、一日ずっと一緒にいるってことでいいのか?」


「っ! ああ、そういうことだ!」


 ディアドラはパッと花が咲いたように表情を明るくすると、そのままスルリとグランのベッドの中へと潜り込んだ。


「……まさかとは思うけど、俺もそこで一緒に寝ないといけないのか?」


「何を今更。もう二回も一緒に寝ているではないか」


「いや、今はあれのせいで、その……胸がすごいことになってるだろ」


「私は全く気にしないぞ」


「俺が気にするんだよ!」


「そうか、グラン殿は私の胸が気になって仕方がないのだな」


 グランが顔を引きつらせると、ディアドラは嬉しそうにイタズラな笑みを浮かべた。


「グラン殿になら、春休みの時にすでに見られているし……なんなら、触ってもいいぞ?」


「それはまだ早い! そういうのは、ちゃんと学園を卒業してからだ!」


「本当か!? じゃあ、卒業したらぜひとも私の胸を触ってくれ!!」


「だからなんでそういう思考になるんだよ!」


 グランの適当な誤魔化しに対し、完全に思考がバグりだしたディアドラが興奮気味に身を乗り出してくるのだった。


 グランはどうにか気を紛らわそうと、強引に話題を逸らすことにした。


「そういえば、魔導大会のエキシビジョンで俺の『イージス』が初めて破られた時は、本当に焦ったよ。あれはまさに、ディアの『魔導無双剣』だったな」


 それを聞いたディアドラは、待っていましたとばかりに嬉しそうに語り始めた。


「ふふん。あれを成功させるために、魔力を極限まで魔石化した宝石につぎ込んだのだ。それに、ソードビットを自由自在に動かすためにずっと訓練を重ねてきたし、魔眼を使うタイミングを極力絞ることで暴走も抑え込めるようにしたのだぞ」


 自慢げに話すディアドラの言葉を横で聞きながら、グランは「頑張ったんだな」と優しく頭を撫でた。


 ディアドラは猫のように嬉しそうに目を細めたが、すぐに少しだけ唇を尖らせる。


「……だからこそ、聖域の競争は絶対に勝ちたかったのだ。エキシビションの時は、最後はルヴィに持っていかれてしまったからな」


「⋯⋯悪かったよ」


 苦笑しつつグランが彼女の髪を撫でると、ディアドラはとても気持ちよさそうにしている。


(……ダメだ、ディアの胸が気になりすぎて全然話に集中できない!)


「そ、それで、明日は一日一緒にいるわけだけど、何がしたいんだ?」


「せっかくの機会だ。普段できないことをしたいと思っている」


『ほう。ついにマスターも卒業ですか』


(バカ野郎! お前は黙ってろ!)


 脳内で煽り散らかしてくるアンサートーカーを怒鳴りつけ、グランは必死に平静を装った。


「ふ、普段できないことって、例えば何だ?」


「⋯⋯グラン殿に、直接触ることだ」


 そう言うが早いか、ディアドラはグランの服の中に両手をスルリと突っ込んできた。


「ひゃひぃっ!?」


 彼女の手が少し冷たかったこともあり、グランから情けない声が漏れる。


「ちょ、ディア、それはだめだ!」


 身の危険を感じて制止しようとするが、ディアドラは全く意に介さない。


「大丈夫だ、最後までしない」


 彼女は構わず、グランの背中やお腹、さらにはきわどいところまで執拗に撫で回し始めた。


「あっ、ひゃ、そこは……!」


 こそばゆさと緊張感から、グランはひたすら情けない声を上げ続ける羽目になった。


 しばらくの間グランの体を隅々まで堪能すると、ディアドラはようやく服から手を離した。


 解放されたグランは、精神的な大ダメージを負ってベッドの上にぐったりと力なく横たわる。


 ディアドラは満ち足りた表情でグランを見つめると、静かにすっと目を閉じた。


(……これは、キスしろってことだよな?)


 さすがにこのまま放っておくわけにもいかず、グランはゆっくりと顔を近づけてディアドラの唇にキスをした。


 すると、ディアドラの目から少しだけ涙が滲み出た。


「……春休みの時の占いの結果が、ずっと気になっていて……不安だったのだ。だが、やっぱり私は……あなたを斬ることなど絶対にできない」


「そうか、ずっと気にしてたんだな。俺も、そうならない未来を目指すよ。……そろそろ夜も遅いし、寝よう」


 グランが優しくそう言って腕を伸ばすと、ディアドラは嬉しそうにその腕に頭を乗せ、グランの体に強く抱きついて眠りについた。


『据え膳食わぬは男の恥、と言いますが』


(お前はもういい!!)


 グランは内心で激しくツッコミを入れながら、そのまま目を閉じて眠りにつくのだった。


 次の日の朝、少し早めに目覚めたグランがふと横を向くと、そこには寝巻きがはだけて豊満な胸が露わになったディアドラがいた。


「っ!」


 グランは慌ててすぐに目を逸らしたが、ちょうどそのタイミングでディアドラも目を覚ましてしまう。


 自分の服がはだけていることに気づいた彼女は、一瞬恥ずかしそうに身を隠したが、しばらくするとそのままグランにギュッと抱きついてきた。


「と、とりあえず服を整えてくれ!」


「ふふっ。今だけだぞ、こんなに大きいのは」


 ここまで積極的なディアドラに対し、グランは完全に敗北したような気持ちになった。


「……とりあえず今日の夜まではずっと一緒なんだから、まずはご飯でも食べに行こう」


 グランがそう提案し、二人は連れ立って部屋の外へと出た。


 すると、廊下でちょうどマルク、カロン、トレースの三人組と鉢合わせになってしまった。


 マルクたちは『お前、まじかよ……』と言わんばかりの、信じられないものを見るような顔でグランを見つめている。


「い、いや! 誤解だ、何もないぞ! なあ、ディアドラ!」


 グランは必死にディアドラへ援護を求めたが、彼女は満面の笑みで特大の爆弾を投下した。


「ああ。昨日の夜から明日の朝まで、ずっと一緒に居られるからな。楽しみだ。私は着替えるために一度部屋に戻るから、また後でな」


 ディアドラは上機嫌にそれだけ言い残し、一人で自分の部屋へと戻っていった。


(しれっと延びてるじゃねえか⋯⋯)


 あっけにとられて固まるグランに対し、マルクたちは心底同情するような溜息をついた。


「お前……これ侯爵様に見つかったら絶対に死ぬぞ」


「本当に何もしてないんだって! でもややこしくなるから、頼むから黙っててくれ!」


 グランは廊下に勢いよくスライディングし、親友たちに向かって全力の土下座をキメた。


 マルクたちも、さすがに侯爵の怒りに巻き込まれて命を落とすのは御免だったらしい。


「俺たちも見なかったことにするわ。……とりあえず、飯食おうぜ」


「恩に着る……」


 四人は気を取り直して、連れ立って朝食の待つ食堂へと向かうのだった。


 食堂でマルクたちと一緒に朝食を食べていると、ルヴィリスたち四聖華にオリヴィア王女、セルフィリア皇女が食堂に現れ、適当に食事を皿に乗せて空いている席に座った。


 ここからは聞こえないが、どうやら昨日グランの部屋であったことをディアドラが尋問されているようだった。


(なんでバレてんだ……?)


 どうやら、ディアドラが男部屋のほうから歩いてきたのを誰かに見られ、そのまま白状させられたらしい。


 時折、女子たちのテーブルから「キャーッ!」という小さな悲鳴が聞こえてきて、グランはとても居心地が悪くなった。


「そういえば、今日はみんなどうするんだ?」


 カロンが尋ねると、マルクが嬉しそうに答える。


「俺はレキシとまったり過ごすかな」


「僕はクローディア様と一緒に、魔力操作の鍛錬を一日中しようと思っています」


 トレースが真面目に答えると、カロンも頷いた。


「それじゃあ、俺もニーナと一緒に過ごすとするか」


「グランはディアドラ様と今日一日一緒なんだろう?」


 話を振られたグランは、深い溜息をついた。


「まあ、聖域の競争の景品に勝手にされたからな……」


「愛されてるなー」


 マルクたちに茶化されるが、グランからすれば侯爵の影がチラついて生きた心地がしない。


「お前らなぁ……俺の命がいくつあっても足りないんだぞ」



 朝食を食べ終わり、各自で片付けを済ませて部屋に戻って休憩していると、部屋のドアがノックされた。


 グランはディアドラが来たのだと思い、無防備にドアを開ける。


 しかし、そこに立っていたのはディアドラではなく、ヴァスティール侯爵夫人だった。


「ど、どうしました夫人?」


「昨日、ディアがあなたの部屋に来たでしょ?」


 グランは慌てて誤魔化そうとしたが、夫人はほわほわとした笑顔で言葉を遮る。


「大丈夫よ。あの人(侯爵)には内緒にしておくから。でも、ちゃんと避妊はするのよ?」


「いやいや! まだ早いですって!」


「ふふっ。まあ私は、そのまま孫ができちゃってもいいけどね」


 爆弾発言を残して去っていく侯爵夫人の背中を見送りながら、グランは深く頭を抱えた。


 別の意味でどっと疲れを感じ、部屋で一人でのんびりしていると、またしてもノックの音が鳴る。


 今度こそディアドラだろうと思いドアを開けると、水着の上に上着を羽織った彼女が立っていた。


「外に出て、浜辺を散歩しないか?」


「わかった。すぐ着替えるよ」


 グランも水着と上着に着替え、二人で連れ立ってホテルの外へと出る。


 すると、ディアドラが自然な動作でグランの腕に自分の腕を絡ませ、手を繋いできた。


 グランも優しくその手を握り返し、二人でゆっくりと浜辺を歩き出す。



 今日はみんな海には出ずホテル内でのんびり過ごしているようで、外には誰もいなかった。


「完全に貸し切り状態だな」


「うむ。なかなかいいものだ」


 誰もいない静かな波打ち際をしばらく歩いていると、ディアドラがふと呟いた。


「……この幸せが、ずっと続いてほしいものだ」


「……そうだな」


 グランが優しく答えると、ディアドラは立ち止まってグランを真っ直ぐに見つめた。


「もちろん、私を選んでほしいとは思っている。だが……たとえ選ばれなかったとしても、この素敵な思い出は残る。私は絶対に忘れないぞ」


「俺も、絶対に忘れることはないよ」


 グランの言葉にディアドラは嬉しそうに微笑み、二人はそのまま浜辺を歩き続けた。



 ふと、グランは自分がこの海に釣りができるスポットを作っていたことを思い出した。


「あっちに釣りができるスポットがあるんだけど、やってみないか?」


「釣りか? 私はやったことがないのだが」


「それなら俺が教えるよ」


 グランは釣りのスポットへ向かいながら、収納魔法から釣り竿を取り出した。


 前世で少し釣りを嗜んでいたグランはルアー派だったが、初心者のディアドラには餌釣りの方がいいだろうと仕掛けをセッティングする。


「こうやって投げるんだ」


 グランはディアドラの後ろに立ち、彼女の手を包み込むように掴みながらキャスティングの動作を教える。


 普段から剣を振り慣れているからか、ディアドラは一発で綺麗なフォームで仕掛けを投げることができた。


「いい感じだ。あのウキが沈んだら、魚が餌を食ったってことだから引き上げればいい」


「なるほど、わかったぞ!」


 ここのスポットはそれなりに釣れるように設定してあるため、すぐに当たりが来るだろう。


 グランは収納魔法から簡易な椅子を取り出し、そこに座りながら釣りに熱中するディアドラの様子をのんびりと見守るのだった。


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