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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第97話:それぞれの願い

 準決勝の第1試合は平民女組チーム対ヴァスティール侯爵家チーム、第2試合はヴァーミリオン侯爵家チーム対王女・皇女チームの組み合わせだ。


 まずは第1試合から始まる。


 1回戦でまさかのジャイアントキリングを果たした平民女組チームは、完全に勢いに乗っていた。


 対するヴァスティール侯爵家チームも、夫人のトリッキーなサーブ、ディアドラの圧倒的なレシーブ能力、そして侯爵の正確無比で強烈なスパイクが持ち味だ。


 前評判の予想では、ヴァスティール侯爵家チームが優勢と見られていた。


 サーブ権はベアトリクスからで、彼女は高く飛び上がり、相手の隙間を縫うような強烈なジャンプサーブを放った。


 しかし、やはりディアドラの人間離れした反応速度で綺麗にレシーブされ、夫人のふわりとしたトスが上がる。


 そして、ヴァスティール侯爵の強烈なスパイクが平民女組のコートへと炸裂した。


 だが、その凄まじい一撃をレキシが見事に拾い上げ、続くニーナがまさかのツーアタックで相手コートの空きスペースにボールを打ち込んだ。


 完全に虚を突かれた侯爵家チームは、ディアドラが何とか拾い上げようと飛び込むがわずかに間に合わず、平民組の得点となる。


 平民の女たちは喜び合ってハイタッチを交わし、ディアドラも「なかなかやるな」と素直に感心した。


 再びベアトリクスのサーブとなり、今度はネットの手前に落ちるように角度を絞った絶妙なサーブを放つ。


 そこはヴァスティール侯爵の目の前だったため侯爵がレシーブし、ディアドラがトスを上げた。


 しかし、スパイクを打つべき侯爵夫人は強烈なスパイクを打たず、そのまま相手コートへふんわりとボールを打ち返した。


(なるほど、一番攻撃力のある侯爵にレシーブをさせて、極力スパイクを打たせないための作戦か)


 平民女組のしたたかな戦術に気づいたグランは、素直に「すごいな」と感心して戦況を見守った。


 その後も一進一退の白熱した攻防が続いたが、なんとまたしても平民女組が侯爵家チームを破ってしまった。


 ヴァスティール侯爵は頭を抱えてひどく悔しがり、侯爵夫人は「あらあら、負けちゃったわね」と優雅に微笑んでいる。


「魔力がない状態だと、純粋な力だけでは勝てないものだな。素晴らしい作戦だったぞ」


 ディアドラも潔く負けを認め、ベアトリクスたちの見事な連携と戦術を心から褒め称えた。


(これはひょっとしたら、本当に下克上が起きるんじゃないか……?)


 グランは平民女組の快進撃に驚きと期待を寄せながら、第2試合のチームに準備を促すのだった。



 第2試合は、ヴァーミリオン侯爵家チーム対王女・皇女チームの対決だ。


 先ほどは予期せぬ事故により不戦勝となったヴァーミリオン侯爵家に対し、王女チームはシードだったためこれが本日の初戦となる。


 他のチームの試合をじっくりと観察できたため、彼女たちなりに色々と対策を練っているようだった。


 サーブ権はセルフィリア皇女から始まった。


 剣士としても一流である彼女は、魔力が封印されている状態にもかかわらず抜群の運動神経を誇っている。


 彼女が高く飛び上がり、ベアトリクス以上の強烈なジャンプサーブを放った。


 しかしそれをヴァーミリオン侯爵夫人が難なく拾い上げ、ヴァーミリオン侯爵が的確なトスを上げる。


 そして、エルスメリアの超強烈なスパイクが王女チームのコートへと容赦なく突き刺さった。


「あんなの、顔に当たったら絶対に死んでしまいます……!」


 その圧倒的なパワーに王女たちは冷や汗を流し、クローディアに至っては涙目になって怯えていた。


 サーブ権がヴァーミリオン侯爵に移り、侯爵は華麗なフォームでジャンプサーブを放つ。


(イケメンは何をやってもイケメンだな……)


 グランはそんな場違いな感想を抱きながら試合を見守っていたが、王女チームも決して引くことはなかった。


 オリヴィア王女とセルフィリア皇女はレシーブした後も抜群の運動量とコンビネーションを見せ、どちらがスパイクを打つのか分からないような連携で相手を翻弄する。


 しかも、その高度な戦術を可能にしているのはクローディアの正確なトスだった。


 彼女は先ほどの緊張をすっかり忘れ、極めて落ち着いた様子でトスを上げ続けている。


 そのトスに合わせて王女と皇女が同時にジャンプし、ギリギリまでどちらが打つのかを隠して相手の反応を遅らせる見事な作戦だ。


 しかしヴァーミリオン家も黙っておらず、エルスメリアの超強力なスパイクが何度も決まるなど、試合は一進一退の激しい攻防となった。


 そして最後は、オリヴィア王女が華麗なスパイクを決め、見事に王女・皇女チームが勝利を収めた。


「素晴らしい連携だった。実にいい勝負だったよ」


「ええ。こんなに熱くなったのは本当に久しぶりね」


 侯爵夫妻は爽やかな笑顔で健闘を称え合ったが、エルスメリアだけは砂浜に崩れ落ちていた。


「あああ……グラン君との既成事実がぁぁぁっ!」


(王女様たち、勝ってくれて本当にありがとう……!)


 激しく悔しがるエルスメリアを見ながら、グランは心底安堵して王女たちに感謝するのだった。




 そしていよいよ決勝戦、強敵を次々と打ち破ってきた平民女組と、シード枠の王女・皇女チームが激突する。


「絶対に勝つぞー!」


 平民女組は円陣を組んで気合を入れている。


 対する王女チームも、「私たちが必ず勝って、グランに願い事を叶えてもらいますわよ」と恐ろしいことを言い出していた。


(おいおい、俺に何をさせる気なんだよ……)


 グランが冷や汗をかく中、試合に負けたメンバーたちもどちらが勝つかで賭けをしており、会場は最高潮に盛り上がっていた。


 侯爵夫妻たちに至っては、完全に酒宴を再開してご機嫌で観戦している。


 そして、決勝戦の試合が開始された。


 最初のサーブはベアトリクスだ。


 何度も打って慣れた様子でサーブの準備に入るが、ボールを高く上げる際に凄まじい回転をかけていた。


 そして、そのボールを力強く打ち抜く。


 強烈な回転がかけられたボールはドライブサーブとなり、急激に落下して相手コートに鋭く突き刺さった。


 見事にサービスエースを決めたベアトリクスは、レキシとニーナに満面の笑みでハイタッチをする。


 オリヴィア王女とセルフィリア皇女は、その見事な技ありサーブを見てさらに闘志を燃やした。


 再度ベアトリクスのサーブとなり、今度はボールの中心を外して叩き、空中で曲がる変化球サーブを披露する。


 しかしこれはセルフィリアが抜群の運動神経で拾い上げ、クローディアのトスからオリヴィアが強烈なスパイクを放った。


 レキシは果敢にボールに飛び込んだがレシーブしきれず、王女チームの得点となる。


 王女たちが得点に喜ぶ中、平民女組は「大丈夫! これからこれから!」とベアトリクスを中心に気分を立て直す。


 その後も、決勝戦に相応しい見どころのある素晴らしい試合が繰り広げられた。


 そして試合終盤、再びベアトリクスにサーブ権が渡る。


 これを決めれば、平民女組の優勝が決定するマッチポイントだ。


 しかし、プレッシャーからかベアトリクスは少し緊張しており、動きが目に見えて硬くなっていた。


 それに気づいたレキシが、すかさずタイムを要求する。


「タイム!」


 グランの宣言でその場が一旦止まり、王女チームが水分を補給して相手の出方を待つ中、平民女組はコート内で集まった。


「ベアトリクスさん。ここまでみんなで頑張ってきたんですから、自分一人で背負い込まないでください」


「そうだよ。ここまで来れたのはベアトリクスさんの力が大きいけど、でもみんなでやってきたんだから。そんなに一人で背負わないで」


 レキシとニーナの優しい言葉に、ベアトリクスはハッと息を呑んだ。


「……うん、そうだね。私一人の力じゃここまで来れなかった。私、少し勘違いしていたみたい」


 ベアトリクスが憑き物が落ちたように笑うと、三人は「頑張ろう!」と元気よく声を合わせた。


(あの顔……完全に緊張が解けたな。これはベアトリクスたちの勝ちだ)


 それを見たグランは、平民女組の勝利を確信した。


 再びコートに立ったベアトリクスはかなり落ち着いており、先ほどとは比べ物にならないほどの迫力を放っていた。


 王女や皇女も彼女の雰囲気が変わったことに気づき、最大限の警戒態勢をとる。


 そして放たれたベアトリクスのジャンプサーブは、完璧な無回転サーブだった。


 空気抵抗を受けて予期せぬ軌道を描いたボールはクローディアの正面に向かったが、手元で急激に変化し、レシーブが大きく弾かれて後方へ流れる。


 それをセルフィリアが持ち前の運動神経でなんとか拾うが、オリヴィア王女は体勢を崩し、相手コートへボールを返すことしかできなかった。


 万全の攻撃態勢に入っていた平民女組は、レキシがそれを丁寧に拾い上げ、ニーナが完璧なトスを上げる。


 その直後、ネット際に飛び込んだベアトリクスのクイックスパイクが、王女チームのコートに重く沈み込んだ。


 この瞬間、平民女組チームの優勝が決定した。


 並み居る強豪たちを正面から打倒して優勝を果たした平民女組の三人は、涙を流しながら抱き合って喜んだ。


 侯爵たちも感動的な試合に惜しみない拍手を送り、夫人たちに至ってはその光景に少し涙ぐんですらいた。


「とてもいい戦いでしたわ」


「こんなに熱くなった戦いは久しぶりだよ!」


 オリヴィアとセルフィリアが相手をリスペクトして称え、クローディアも「さすが先輩たちです!」と尊敬の眼差しを向ける。


 マルクやカロンは、優勝した自分の彼女たちを心の底から誇らしく感じていた。


 四聖華たちも『魔力がなければここまで実力が拮抗する』という事実を思い知り、魔法がなくても戦えるように体を鍛え直そうと新たに決心していた。


「みんな、本当におめでとう。いい試合だったよ」


 グランが全員に労いの言葉を送り、そのまましれっと解散しようとしたその時、ベアトリクスに両肩をガシッと掴まれた。


「グラン! 優勝したから、何でも願いを叶えてくれるんだよね?」


 レキシもニーナも、期待に満ちたキラキラとした瞳でグランを見つめている。


 侯爵夫妻たちも「一体何をお願いするのかしら」と興味津々で見守っており、グランは自分が全方位から囲まれていることに気づき、仕方なく三人の願いを聞くことにした。


「一応言っておくが、俺は神様じゃないんだから出来ることは限られるぞ?」


「四聖華様のチョーカーみたいに、マルクとお揃いのアクセサリーが欲しいです!」


「私も、カロンとお揃いのアクセサリーが欲しいです!」


 レキシとニーナは、以前グランが作った四聖華たちのチョーカーを見て、ひそかにうらやましく思っていたようで、この際ダメもとでお願いしてみようと思っていたらしい。


 予想外の可愛いらしいお願いに、グランは一つ確認を入れた。


「それは、聖域産の素材でアクセサリーを作ってほしいってことなのか?」


「えっ? どういうこと?」


 二人が予想外の返答に戸惑っていると、会話を聞きつけた侯爵夫人たちが猛烈な勢いで食いついてきた。


「ちょっと待って! 聖域の素材でアクセサリーを作れるの!?」


「まあ、聖域の素材で俺が鍛冶錬金すれば、一応作れますけど……「リンク・ウェポン」のチョーカーもそうですし……」


「私たちにも作ってちょうだい!!」


 侯爵夫人たちに懇願され、それを聞いた侯爵たちも『これで新作アクセサリーの高い支払いを誤魔化せる!』と閃き、グランに「ぜひ作ってくれないか!」と迫ってきた。


「レキシとニーナは優勝の景品だからいいですけど……夫人たちのご要望となると、さすがに」


 グランが難色を示すと、夫人たちは「お金なら旦那が払うわ! いいわよね?」と、初日の競争の賭けをここで持ち出して圧をかけた。


「侯爵様方。ちなみに、奥様方が欲しがっている新作アクセサリーって、おいくらぐらいするんですか?」


「す、すごく高い……それに、領地の税収から私用目的で支払うわけにはいかん。我々個人での自腹だ……」


「では、その3分の1の価格でいいのでお支払いいただければ作りますよ」


「ありがたい! 恩に着るぞグラン君!」


 侯爵たちは深く感謝し、アクセサリーの代金は2学期が始まった頃に払うと約束した。


 そして最後に、ベアトリクスが少し真剣な表情でグランに話しかけた。


「グラン。実は今までいう必要ないと思ってたから言ってなかったんだけど、私のお母様がずっと体調を崩してて、お医者様にも診てもらっているんだけど……原因不明でなかなか治らないの。さっき侯爵の目を治したあの薬でどうにかならないかな?」


(アンサートーカー、俺が作ったエリクサーを渡すのはどうだ?)


『マスターが聖域限定用じゃなく、外界でも効果を発揮する調合でエリクサーを作れば、大抵の病は治りますよ』


「……分かった。なんとかしよう」


 グランがはっきりと約束すると、ベアトリクスは感激のあまり「ありがとう!」と叫んでグランに力強く抱きついた。


(そういえば、こいつら全員『豊乳剣』を使ったままだった……!)


 力強いベアトリクスの抱擁により、水着越しの凄まじい胸の感触がダイレクトに伝わり、グランは心の中で大きく狼狽えた。




 そして日が暮れる頃、皆はリゾートホテルに戻り、風呂に入ってから豪華な夕食を楽しんだ。


 グランはホテルのビュッフェ形式で多種多様な料理を用意し、皆はそれを心ゆくまで堪能した。


「明日は皆、海で自由に遊んだり部屋でのんびり休んだりして過ごしてくれ」


 侯爵たちがそう告げると、各々が解散して自室へと戻っていった。


 夜になり、グランが自室のベッドで一人くつろいでいると、不意にドアをノックする音が聞こえた。


(誰だ?)と思いドアを開けると、そこには寝巻き姿のディアドラが立っていた。


「どうしたんだ、こんな時間に」


「決まっているだろう。聖域での競争の『景品』をもらいに来たのだ」


 ディアドラはそれだけ言うと、有無を言わさずグランの部屋へと強引に入り込んでくるのだった。


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