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異世界転生~女神に無理矢理転生させられたので、やりたい放題します!~  作者: GSZN
第2章 学園ファンタジー編

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第7話:目覚め

第2章スタートです。

引き続き頭空っぽにして生暖かい目で見守り下さい。

 深い眠りだった。


 300年前、俺は「聖域」の最深部で、前世で住んでいた部屋を再現し、そのベッドで眠りについたはずだった。

 だが、意識が浮上するにつれて感じたのは、慣れ親しんだマットレスの柔らかさではなく、無機質で、どこか鼻につくほど「高潔」な空気だった。


「……ん」


 ゆっくりと目を開ける。

 視界に入ってきたのは、見慣れた自宅の天井ではない。

 雲のように白く、どこまでも高い天井。

 そして、その中央に浮かぶ巨大なホログラムディスプレイ。


「……マスター、覚醒を確認。お目覚めですか?」


 脳内に響くアンサートーカーの声。

 だが、その声にはいつになく「遺憾」の意が混じっている。


「アンサートーカー……。ここは、聖域じゃないな?」


「肯定します。現在地は神界、女神アリスティアの神殿最深部。マスターの休眠状態を利用した強制転送が行われました。……付け加えるなら、現在マスターの脳内メモリから約90%のデータが外部端末へ不法にダンプされています」


「……あ?」


 俺はむくりと起き上がった。

 目の前には、巨大なキーボードを叩き、モニターを食い入るように見つめている女神アリスティアの背中があった。


「あ! 起きた? グラン、ちょっと待って。今、一番いいところなんだから。この『不遇職から始まる成り上がり』ってやつ、構成が神がかってるわね!」


「…………おい」


 俺の額に青筋が浮かぶ。

 モニターに映し出されていたのは、俺の記憶だ

 それも、この世界に来る前の……仕事から帰ってきて、部屋でジュースを片手に読み耽っていた、日本のWeb小説サイト『小説家になろう』の読書履歴だった。


「アリスティア……お前、人の記憶を勝手に読み込んで何してやがる」


「何って、お勉強よ! あなたがあんなに毎日毎日、ニヤニヤしながら読んでたこの『なろう系』ってやつ! これ凄いわね! 物語の黄金律が詰まってるじゃない! ハーレム、追放、無双、婚約破棄……これよ! これこそが、今のこの世界に足りない刺激なのよ!」


 女神は興奮気味に振り返った。

 その瞳は、新しいおもちゃを見つけた子供のように輝いている。

 俺はあまりの恥ずかしさに顔を覆った。

 前世を含め今まで生きてきた中で、これほど死にたいと思った瞬間はない。


「やめろ……消せ。今すぐそのバックアップを消去しろ。それは俺の、誰にも見られたくない聖域だったんだ……!」


「ダメよ! もう全部参考資料として神界ライブラリに登録しちゃったもん。特にこの『実力隠して学園生活』ってジャンル、これ最高! 300年前のあなたは最初からクライマックスすぎたのよ。次の物語は、このテンプレに従って、もっとこう……タメを作ってからドカン! といくわよ!!」


(マスター、女神は既に『学園編プロット:ver.1.02』を構築済みです。内容の大半が、マスターの既読リストにある人気作品の継ぎ接ぎで構成されています)


「パクリじゃねえか!!」


 俺はベッド(神界仕様の高級品)から飛び降り、アリスティアに詰め寄った。


「いいか、アリスティア。物語を絶対にパクるなよ? いろいろな人からすんごい怒られるからな! それと念を押しておくが、300年前みたいに運命を捻じ曲げてリスティアの人間を使ってテンプレを再現しようとするな。それは物語じゃなくて、ただのヤラセだ!」


「失礼ね! パクらないしヤラセもしないわよ、所謂リスペクトよ! オマージュよ! さあグラン、準備はいい? あなたの頭の中にあった『憧れのシチュエーション』、私が全部叶えてあげるから!」


「ふざけんな! 俺はそんなこと一つも望んで――」


「あ、そうだ。記憶を覗いて知ったんだけど、こういう時に『やれやれ』って言うのがお約束なんでしょ? はい、練習してみて! せーのっ!」


「『やれやれだぜ』って言ってオラオラしてやろうか!!」


 俺の怒号が、静かな神殿に虚しく響き渡った。

 アラフォーの記憶をネタに、女神が悪ノリを始める。

 300年ぶりの目覚めは、感動の再会でも、世界の危機でもなく――俺の「黒歴史」を燃料にした、最悪のパクリ劇の開幕だった。


「はいはい、元気があってよろしい! じゃあ、設定通りに若返ってもらって、とりあえず聖域の第3層に強制送還ね!」


「あ、おい、待て――」


 俺はアリスティアを止めるべく走り出したが、アリスティアが指を鳴らした瞬間、俺の視界が急速に低くなった。身体が縮み、服がぶかぶかになり足を取らて盛大にこける。顔をおさえ手を見ると、そこにはぷにぷにとした幼児のような小さな手があった。


「じゃあねグラン! 頃合いを見て学園への案内を送るから、ちゃんと入学するのよー!」


 抵抗する間もなく、俺の足元に転移魔法陣が展開される。

 次に目を開けたとき、俺は300年守り続けた「聖域」の、懐かしい草葉の上に転がっていた。


「……ふざけやがって、あのくそ女神」


 声まで高くなっている。

 見た目は6歳児。

 だが中身は、300年の時を経たアラフォー。


(マスター、生体数値を確認。肉体年齢約6歳として再構築されています。潜在能力に変更はありませんが、能力値は300年前と比べて著しく低下しています。おそらく、肉体の若返りによる器の限界値が能力に追いついていないようです)


「アンサートーカー。……女神は『学園に行け』と言ったな?」


(肯定します)


「無視だ。アラフォーのおっさんが、何が楽しくてガキどもと学生生活を送らないといけないんだ、何の罰ゲームだ」


 俺はぶかぶかの服を魔力で仕立て直し、短くなった手足を見つめた。


「こうなった以上、学園なんて面倒な場所に放り込まれる前に、この身体を仕上げてやる。アンサートーカー、俺の今の能力値でギリギリ戦える聖域内のエリアを特定しろ。レベルアップ、スキル習得、そしてこの小さな身体での戦闘経験の再構築だ。どうせアリスティアがイベントを起こして学園に入れようとするだろ、それまでは聖域(ここ)に引きこもるぞ」


(了解しました。……長期戦になりそうですね)


 こうして、300年ぶりに目覚めた最強の隠者は、外界へ出るどころか、さらなる修行という名の「引きこもり」を加速させるのだった。


第2章は話の通り学園ものです。

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