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勝ち確ヒロインはなぜか今日も負けている  作者: にぃ


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第44話 無敵の男 広井サトル

 

「んひゃああああああ! ひ、ひひひ、広井君!?」


「いや、さっきからずっと目の前に居たけど。あっ、お邪魔しています」


「神出鬼没すぎるよ! どうして君はいつもいつも勝手に部屋に上がり込んでいるの!?」


「普通にお母さんが通してくれたが……」


「だとしても女の子の部屋に入ることを躊躇しよ!!?」


 わ、私、朝からずっとパジャマのまま! またパジャマ姿見られたぁ! これで2回目だよ。

 か、髪は大丈夫かな!? 寝ぐせない!? あったよちっきしょう!


「い、今身支度してくるからちょっと待ってて!」


「いや、そのままでいい。俺の話を聞いてくれ」


「私パジャマだから! 着替えさせて!」


「キミの能力。テレパシー能力……さ。俺について考えたことがあるんだ」


「身支度くらいさせて!?」


 広井君の背中を押して部屋から無理やり追い出した。

 慌てて髪を整え、着替えを済まし、部屋をちょっと片づける。

 あー、ドキドキした。よく考えたら好きな人が家にいるってヤバくない?

 広井君が控えめにドアをノックする。


「あの……別に部屋を片付けたりとかしなくても俺は構わないのだが……」


「私が構うの!! いいからそこで静かに待ってなさい!!」


「は、はい……」


 初めて広井君に激昂した。

 彼はしょんぼりとした口調で部屋の前でおとなしくしてくれる。

 怒っていいよね!? これは私、怒っていいよね!?

 私を包んでいた倦怠感は一瞬で霧散し、私の脳は高速で活性化されていた。







「(ミキティ、本当に着替えてる。俺の為……だよな。俺の前でちゃんとした格好で居たかったんだよな?)」


「そうだよ!!」


「普通に心の声に返答してくれた……」


 怒りと羞恥で私の頭はかなりおかしくなっている。

 頬を膨らませて眼光を尖らせながら彼を睨みつける。


「(ミキティ。その私服マジで可愛いよ)」


「氷室さん。その服、に、似合ってるな」


「心の声と外の声全く一緒だよ! でもありがと。その言葉は二重で嬉しいよ」


 なんか……普通に喋れているなぁ。

 広井君は私に心の声を聞かれて動揺しているはずなのに……

 それに私はついさっき電話で『大好き』と気持ちを伝えたばかりなのに……

 なぜか不思議と気まずさは薄れていた。


「ねえ。広井君。私と居て嫌じゃないの? 心の声に返事する女なんて普通じゃないと思うよ?」


「氷室さんは他にも普通じゃない所いっぱいあるしなぁ」


「私普段からそんなに変人っぽかったかなぁ!?」


「まぁ割と」


「割とそうだったんだ!?」


 私のテンションも変だけど広井君も変じゃない?

 こんなにズバズバと本音を言ってくる人だったっけ?


「俺の態度を不思議がっている感じだな。いや、どうせ心に思っていることは伝わっちゃうんだろ? だったらもう変に飾らずにありのままを披露してしまえばいいんじゃないかと思ったんだ。心の声がダダ洩れでも俺は絶対にキミを傷つけたりしない自信があるからな」


 なるほど。いつもとテンションが違うのはそういうことだったんだ。


「そ、そんなのすぐにボロが出るよ。内心の醜い部分はそう簡単には隠せない」


 どんなに相手を気遣っても心の声というのは無意識に罵倒してくるものだ。

 私だってそう。

 自分の醜い心に蓋をして、広井君と話をしているのだから。


「——氷室さんは俺を舐めているな?」


「えっ?」


「じゃあ勝負をしよう」


 彼から私に勝負事を持ちかけてくるなんて珍しい。

 いや初めてではないだろうか。

 その瞳には自信で溢れているように見えた。


「しょ、勝負って……?」


「今から俺はキミへの想いを心に思い浮かべ続ける。もし俺の心の声が一度でもキミを傷つけたら俺の負けでいい。負けたらすぐにここから退室することを約束しよう」


「も、もしキミが勝ったら……?」


 そう尋ねると、彼は口元で小さく不敵な笑みを浮かべた。


「もちろん、明日から学校に来てもらう。もう逃げることなく卒業までずーっと俺と一緒にいてもらうからな」


「ふぇ!?」


「丁度良い。俺がキミをどれだけ想っているかを伝えるいい機会だ。どんなに恥ずかしくてもちゃんと最後まで聞き届けてくれよ? ミキティ」


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