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勝ち確ヒロインはなぜか今日も負けている  作者: にぃ


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31/46

第31話 逆にキミは何ができないの!?

 

「広井君。今度のテスト点数で勝負しない? 私が勝ったら——」


「名前呼び……だろ?」


「さすが広井君。よくわかっているね」


「ちなみに俺が勝ったら……?」


「さー、テストがんばるぞー!」


 ふっふっふ。

 どうせ今回も私が負けてぐぬぬ落ちだと思っているな?

 でも! 今回は! 本当に負ける気がしない!

 なぜなら私は委員長! そして眼鏡キャラ! 

 中学時代、私はトップの成績を誇っていたのだ。

 つまり勉強は得意中の得意分野。

 高校に入ってからもしっかり復習しているからテストの傾向もなんとなく理解している。

 広井君がゲームでトップランカーになっている間、私は勉強にも注力していた。負ける要素が見当たらない。


「広井君。今の内から『未希』って呼ぶ練習しておいた方がいいよ?」


「お、おう」


 ようやく私は勝利を手にすることができる。

 わ、私も彼のことを『サトルくん』って呼ぶ練習しておかないとかな。


「(名前呼びの練習って言われても……心の中ではいつも呼んでいるんだけどな)」


 『ミキティ』は名前じゃなくてキミが勝手につけたあだ名だからね、サトル君。







「うぉ!? すっご!! 二人とも成績トップレベルじゃん!!」


 渡り廊下に張り出された試験結果のランキング表を見て席子ちゃんが嬉しそうに言葉を弾ませていた。


「ぐぬぬ……」


 対して私は歯ぎしりをしながら恨めしそうにランキング表を見つめる。

 その隣には少し困ったような顔をしている広井君が居た。


「そ、その、俺文系は得意でいつもいい点数を取れるんだ。理系はまだ難しい所まで授業が進んでいないからたまたま点数が良かったという感じで。たぶん次は順位落ちると思う」


「学年1位だから次は落ちるか維持しかないもんね!」


 1位:広井サトル

 2位:氷室未希

 3位:花宮鈴音


 我がクラスがトップ3を独占したことはとても喜ばしいことだ。

 でも! 全科目95点以上取った私を超えるってどういうことなの!?

 広井君、こんなに頭が良かったんだ。勉強が出来て、運動も出来て、ゲームも出来て……逆にこの人は何ができないのだろうか。

 また負けたぁ。悔しい! また負けちゃったぁぁ!


「また負け——」


「——わ、ワタクシが……負けた!?」


 いつものように敗北を悔しがる私の言葉に別の人の声が重なった。

 声がした方へ思わず視線を動かすと、そこには私以上に悔しがっている様子の花宮さんが居た。

 わわ! ハンカチ噛みながら悔しがっている!? お嬢様だ。お嬢様の悔しがり方だ!

 でもわかる。わかるよ花宮さん。トップ取れないのは悔しいよね。

 次こそは一緒に順位を上げて広井君を叩き落そう。

 そんな風に考えていると花宮さんはキッとこちら側をにらみつけてきた。


「次こそは負けませんわよ! 氷室さん!!」


「私ぃっ!?」


 なんで!? どうして!? 対抗心燃やすなら1位の広井君へじゃないの?

 とりあえず一つでも順位を上げたいという考えなのだろうか?

 花宮さんのことがわからずオロオロとしていると、彼女の心の声が私の中に流れ込んできた。


「(氷室さんよりいい点数を取りたかったのに。そうしたらあの方も氷室さんとじゃなくワタクシと勉強した方が良いと思ってくれたはずなのに! そう思われたくて死に物狂いで勉強したのに……!)」


 えっ?


「(花宮さん。もしかして広井君と一緒に勉強したいから……広井君に認めてもらいたいから……頑張っていたってことなの?)」


 それはもうまさしくアレじゃないか。

 恋をしている……女の子だ。

 なんて素敵な努力の理由。

 好きな人に認めてもらうためにここまで頑張るなんて中々できることじゃない。

 思わず応援したくなるような……そんな煌めきを花宮さんから感じられる。

 でも——


「(……負けたくない)」


 テストの点数では花宮さんに勝った。

 でも頑張りの理由で大きな差を付けられて大敗した気分だった。

 彼女の気持ちには同情できる。できることなら応援してあげたい。

 でも私はどうしても花宮さんを応援する気にはなれず、むしろ『絶対に負けるわけにはいかない』という対抗心が静かに膨れ上がっていたのだった。


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