第28章 剣と鍋、二つの成長
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数日間の支援を続けるうちに、美月たちは兵士たちからすっかり信頼されるようになっていた。
朝は大鍋の粥にハーブと干し肉を加え、昼は栄養豊富な豆のスープ、夜には焼いた肉と根菜のグリル。
飽きが来ないよう献立を工夫するたびに、兵士たちの顔は明るさを取り戻していく。
「嬢ちゃんが来てから、飯が楽しみで仕方ねえ!」
「もう乾パンだけの生活には戻りたくないな」
兵士たちの笑顔に、美月の心も満たされていった。
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しかし――戦場は戦場だ。
ある夜、砦の見張りが慌ただしく駆け込んできた。
「魔物の群れが森の方から接近中! 戦闘準備!」
兵士たちが次々と武器を手に取る。
美月も胸がざわめく。
(私……料理を作るだけのはずなのに……でも! この人たちのために何かできるなら!)
彼女は即座に鍋を火にかけた。
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美月が用意したのは――「体力回復用の温かいスープ」。
乾燥したハーブと滋養のある干し肉を煮込み、スタミナを補う即席料理だ。
「戦いに出る前に、これを飲んでください! 冷えた体を温めて、力を出せます!」
兵士たちは驚きながらもスープを飲み干し、力強く頷いた。
「体が軽くなった……! 本当に魔法みたいだ!」
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戦闘は苛烈だった。
森から現れたのは牙を持つ巨大な猪型魔物。
兵士たちが押し返すが、数が多い。
その中で、カイが剣を振るいながら叫んだ。
「美月! 後ろに回り込んだ奴がいる、逃げろ!」
美月はとっさに杖代わりの木棒を握り、焚き火の火を掴んで投げつけた。
火に怯んだ魔物が一瞬ひるみ、その隙にカイの剣が閃く。
「……助かった、美月!」
「私も、仲間なんだから!」
短い言葉の中に確かな信頼が宿る。
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夜明け――戦闘は終わり、砦には疲労と同時に安堵の空気が漂っていた。
「嬢ちゃん……いや、美月殿。料理だけじゃなく、勇気までくれたな」
「剣と鍋、どっちでも俺たちを救ってくれた」
そう言って笑う兵士たちの輪の中で、美月は小さく息をついた。
(私、料理人としてだけじゃなく……冒険者としても成長してるんだ)
リナがにっこりと微笑む。
「お姉ちゃん、やっぱりすごい!」
その言葉に、美月も自然と笑みを返す。
戦場の空気はまだ厳しい。けれど、彼女たちの心は確かに一歩強くなっていた。




