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8.生い立ち1

シャーロットは妾の子である。



シャーロットの父親であるアラスター・ライトは昔から女にだらしなかった。

性格も傍若無人でなかなかの所謂クズ男であるが、整った顔と伯爵という身分を持っていたため、女は一定数寄ってきた。それこそ世間体を気にするべきなのだが、本人は女遊びに関する苦言については妬みだと捉え、聞くことはなかった。


そして、寄ってきた女のうち、最も身分が伯爵令嬢と高かったガブリエラと結婚してジェラルドを産んでから、───いや、妊娠中も、こそこそと街に出掛けては女遊びを続けた。そうして町娘アネットとの間に産まれたのがシャーロットである。


アラスターはバレるのを恐れ、アネット一人にシャーロットを押し付けた。そして、シャーロットはそのまま町で育てられることとなった。

母は男を見る目はなかったが、美しく、優しかった。シャーロットは貧しいながらも、母親の愛情を注がれて幸せな生活を送っていた。



『元気な強い子に育ってね。愛してるわ、シャーロット』



母はよく、そんな言葉をかけながらシャーロットの頭を撫でてくれた。




───しかし、そんな幸せな日々はシャーロットが3歳の時、突如終わりを告げた。

ガブリエラがアラスターの浮気に気付いたのだ。ガブリエラは激怒して、男を雇いシャーロット達を捕らえると、伯爵家の屋敷まで引っ張ってきた。


そして母は……シャーロットの目の前で首を斬られた。


まだ幼いシャーロットにとって、人生の大半を占めていた存在である母親が殺されたという事実は、到底受け入れられるものではなかった。


ガブリエラに扇子で頬を叩かれ、男達から殴られても、既に息絶えている母にしがみつき、シャーロットは泣き叫んだ。


ガブリエラは泣き続けるシャーロットに痺れを切らしたのか、男達に命令すると、シャーロットに斬りかかろうとした。


───その時だった。シャーロットの背中のスレスレまで迫っていた剣は、どこからか飛んできた何かによって吹き飛ばされたのだ。


「「!?」」


その場にいた全員が驚き一瞬ぴたりと動きをと止める。

その隙に、誰かの手によってシャーロットは奴らから離されていた。


シャーロットは驚いてぱっとその人の顔を見る。

シャーロットより少し色味の暗いブロンドヘアに、アーモンド型の蜜柑色の瞳をもつ、まだ幼さが残る整った顔立ちの少年だった。


(誰…?)

 

ガブリエラは彼の姿を見留めると、大声で名を呼んだ。


「───ジェラルド!」

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