7.リスク
「聖女騎士になりたいです!!」
思ってもみなかった言葉だったのだろう。ジェラルドは豆鉄砲をくらったような顔をする。フローラも視界の端でぽかんとしているのが分かった。
「せ、聖女騎士?」
「えぇ、そうです!あぁ、けれど魔法も使えるようになりたいわ…、あ!そうだわ!魔法も使う部隊とかあるのかしら?」
「…ちょ、ちょっと待て、待つんだ。」
シャーロットが夢を膨らませていると、途中ジェラルドに遮られる。何かあったのだろうかとそちらに目をやると、なんとか理解しようと頭を抱える二人がいた。
「まず、聖女騎士とは聖女と騎士どっちも、ってことか?」
「はいっ!」
「…シャーロット、それは難しいと思うぞ?聖女になれば、聖女は教会に管理される。そこまで今の規制は厳しくなかったはずだが、騎士をやるとなるとさすがに許可はでないだろう。」
ジェラルドはシャーロットに分かりやすいよう、ほぼ常識の辺りから説明してくれた。しかし、その上でシャーロットには考えがあった。
「ご説明ありがとうございます。…ですが、お兄様。お兄様はそれを可能にする術をお持ちのはずですよ?」
にんまりして、とある案を仄めかす。
「……?」
その時、フローラは気付いたようで、納得したように頷いた。
「…あぁ、なるほど。主、お嬢様が示唆しているのは、主が3年前の今頃に手に入れたものですよ」
そこで、ジェラルドも気付いたようで、まさかという顔でシャーロットを凝視してくる。
「お、お前もしかして…」
「ふふふ、多分想像の通りです!偽名を使うんですよ!」
───そう、偽名である。ジェラルドは三年前の騎士団への入団のため、知人に依頼して偽名を作ってもらっていた。
ただ偽名という訳ではもちろんなく、今までの経歴等まである子爵家を作り出していた。さすがにこれを聞いた時は驚き”違法じゃないのか”と尋ねたことがあったが法の隙間を突くような方法で一応合法とのことだ。
こんなに都合の良い手段があって使わない手はない。ということで今回利用させてもらうことにしたのだ。
「うーん、だけどなぁ…。一応、あっち(偽名)も妹がいる設定ではあるからそれでもいいけど。あいつらにバレた時のリスクがなぁ…」
“あいつら”とはライト夫妻、つまりシャーロット達の親のことである。
なぜリスクが高いのか。結論から言ってしまえば、ライト夫妻はかなり世間体を気にするからだ。合法で罪には問われなくても、である。
それともう一つ。
─────シャーロットは望まれない子だったからだ。




