6.将来の夢
「まぁ、一応聖属性持ちとも確定な訳ではないし、魔法を使うにも証明書があった方が何かと便利だ。どっちみち検査を受ける必要がありそうだな。…ところでシャーロット。今度は何をしている?」
真面目な口調から一転してジェラルドは呆れたような声になった。
そんな兄に対しシャーロットは自慢げに説明を始める。
「何って、魔法を使おうとしてるんですよ!」
「割りばしを振ることと魔法を使うことになんの関係があるんだ?」
先程までベッドに腰掛け、静かに話を聞いていたシャーロットだったが、検査の話のあたりから急にその辺にあった割りばしを前につきだし始めたのだ。
「もちろんこの割りばしをは杖代わりです!私、杖で魔法を使ってる物語を読んだことがあって、杖みたいなのがあれば魔法も発動するかと考えまして。検査って確か2週間後でしょう?ならすぐに練習しないと…!それに、魔法が使えるようにずっとなりたかったんです。早く使いたくて!」
「…シャーロット。まず、魔法を使うのに杖はいらない。この世界の魔法は道具も呪文も必要ない。様々な魔法を組み合わせてうまく使うんだ。」
「えぇっ!」
聖魔法はそうだと知っていたが、それ以外の魔法もそうだとは。
まさかの新事実にショックを受けていたところ、ジェラルドは慎重に口を開いた。
「それで…。シャーロット。お前はこれからどうしたい?」
「へ?」
急な話の展開に戸惑ってしまう。
「お前はこれから検査を受けるとはいえ、もう状況的にほぼ聖力持ちは確定だと思う。そして、魔力の方も。気づいていなさそうだが、先ほどからお前の体が少し発光している。…多分、まだお前が魔法の使用に慣れていないから制御できずに、無意識に光魔法を使っているんだろう。今はほんの少ししか魔力を使っていないから見えにくいが、瞳に紋が出ているんじゃないか?」
「…これが、魔法…。」
確かに、先ほどからシャーロットは体の中を血が巡るような感覚には自覚があった。だが、回復魔法をかけられたこともなければ、ましてやかけたこともない。
そのため、回復魔法をかけたことによる影響だと思い込んでいたのだった。
「お前は、元々騎士になることが夢だった。だからこそ、俺が時々お前の剣を見ていた。だが、今は以前と状況が大きく変わっている。お前に聖女としてや魔術師として生きる道も開かれたんだ。もう剣に拘る必要はなくなった。これを踏まえて考えたとき、お前は何になりたい?」
ジェラルドは改めてシャーロットに問うた。きっと、ジェラルドは10歳のシャーロットがしっかりと将来の道を考えられるよう、一言一言ゆっくりと言い聞かせるように話したのだろう。
しかし、シャーロットの心は既に決まっていた。
真っ直ぐ顔を上げ、背筋を正す。そして、大きく息を吸って宣言した。
「私は…」




