25.望まぬ結果2
「ふわぁぁぁ…!」
(な、なにこれ…!ふっかふかじゃない!これが巷で有名な『ソファー』…!)
シャーロットは生まれてこの方、いや前世を含めてもソファーに座ったことなどない。
自室にあるのは、ジェラルドがアラスター達にばれぬように自らの小遣いや食費を削って買ってくれた、シャーロット愛用のベッドと棚、椅子のみだ。
もちろん、村にいた頃もソファーなどなかった。
急に感動の声───奇声ともとれる声を上げたシャーロットに、何事かとフィンが手を止めてこちらを見てくるが、マイワールドに入り込んでしまったシャーロットは一切気づかず、そのまま思考を巡らせる。
(フィン様って、こんなにふかふかな物を普段から使っているのかしら!なんて羨ましい...!聖女部屋にもあったらいいのに...。はっ、そうだわ!自分で作ればいいのよね!シャリア's DIYの始まり始まりよ!」
「...それなら聖女部屋に置くソファー、用意しておきましょうか?」
「...え!?」
急に話し掛けられたと思えば、耳を疑う提案をされ、目を丸くする。
(何でその話を知っているの!?それに、ソファー置いてくれるの!?)
ぎょっとした顔で彼を見つめると、呆れたような視線が返ってきた。
「そんな顔されましても、途中から全部声に出ていましたよ」
「嘘」
「本当です」
なんということだろう。まさか口から考えが漏れ出ていっているとは。
これ以上、考えをさらけ出してしまわないよう、両手で頬っぺたをぺたりと押さえる。
そしてそのまま頬をふにふに触っていると、フィンがクスクスと笑っているのを目の端で捉えた。
手を止めて彼を仰ぎ見ると、こちらの視線に気付いたようで、笑いながら口を開く。
「ふふ、失礼しました。何を考えているかが分かり易いのは貴女の良いところだと思いまして」
「それ、褒めてます?」
「えぇ、もちろん。話していてここまで相手を安心させるのは才能だと思いますよ。会話している間に不安になる種は大抵、相手が何を考えているかわからないことですからね。」
(…どうしよう、ほんとに褒めてるのか貶してるのか分からないわ...話し方とかの調子はいつも通りだけど笑顔がいつもの変なのじゃないし、もしかして褒めてるのかしら…)
「うーん…?一応誉め言葉として受け取っておきますね。ありがとうございます」
礼を告げ、あの件も忘れ去られぬよう、にこりと笑うと即座に言葉を付け足した。
「ソファーの方もよろしくお願いしますね!」
もともとソファーが欲しいなど、只の願望で口に出す気もさらさらなかったが、『置きましょうか』なんて提案されたらそれはもう乗っかるしかない。
だから決して我が儘ではない、などと心の中で独りで弁解しながら、本題に戻そうと質問するのだった。
「そ、そういえばもともとの用件ってなんだったんですか?まさかソファーに座らせてくれるためではないでしょ?」
「逆にそれが選択肢に上がるのが、さすがシャリアという感じですね」
「あれ、馬鹿にしてます?」
「まさかまさか」
はははと軽く笑って躱される。
本当に良い性格をしているとじとりと睨むが、よくよく考えたら出会い頭からこういう態度だった。もはやこういう性質なのかもしれない。
「──それで、用事はですね...まぁ、『用事』というのも変な感じなのですが、聖女見習いが来たら毎回行う、定例の面接のようなものをしようとお呼びしたのですよ」
その言葉を聞いて成る程と納得する。
そういえば確かに聖女見習いとして(半強制的に)来てから、リリー以外の聖女や聖女見習いの先輩と上司との対面も、面接も無かった。
それを仕事を実際やって、ある程度知ってきた今日にやるのだろう。合理的である。
(それにしても───ソファの話、真面目に検討されるだなんて…この表情のせいで分かりづらいけど、意外と実直だったりするのかしら?)
プライベートの忙しい時期終わったので、また執筆再開しました!投稿に間隔空いてすみません…!




