25.贈り物1
お手数ですが、数話先の『24.望まぬ結果1』を先にお読みください!
『城下町探索』の後、『贈り物』の前の、その間のお話となっております。
いつも読んでくださりありがとうございます(*´∇`)
教会の奥にある執務室。いつもは粛然としているその部屋だが、今日はいつもと一風違った。
まず一つ。
「あまり好みではありませんか?」
「そんなんじゃ…!す、好きですけど!」
「なら良かった。嫌いと言われたらどうしようかと思いましたよ」
今日はそんな会話が部屋から漏れ出ていた。部屋にいるのはシャリアとフィンのはずだ。
廊下を警備していてその会話を聞いた騎士達は皆目を剥く。
一体部屋では何が起きているのか。
その声を聞いた者はそれぞれ想像を膨らませた。それぞれとは言っても、どれも似通った想像で、なかには小声で「これって……そうだよな?」「最近は大分シャリアがフィン様に恨みのこもった目で見ていないと思ったら...そういう関係だったのか」などとこそこそ話す者もいた。
ここで二つ目。
普段は花の少ない──謂わばムキムキ筋肉男達によるむさ苦しい環境で過ごし、恋愛話に飢えている騎士達だ。
こんな告白のような場面にわくわくしない訳がない。そして興味に抗えなかった彼らは扉の前にわらわらと───それはそれはバーゲンセールのおばちゃん達のように───集まり、会話を盗み聞こうとしていた。
そもそも、なぜシャーロットが執務室にいるかと言えば、少し時間を遡ることになる。
リリーと城下町を巡って半年が経ち、シャーロット達は給料の入った封筒を受け取っていた。
そして、初めての自分の手で稼いだお金にテンションが上がったシャーロットは封筒を宝物のようにぎゅっと抱いてくるくる舞っていると、封筒の形に違和感を覚えた。一部だけ硬く出っぱっている部分があるのだ。
「…?なにかしら、これ」
リリーの方にも出っぱりはあるらしく、二人で顔を見合わせる。
取り出してみると、そこには───件のバレッタが入っていた。
「!?なんでこれがここに…」
リリーの方にも兎の置物が入っていたようだ。
このラインナップに、一人の男の顔が頭に浮かぶ。
「いや、まさか、ね…」
その人物を頭から追いやっていると、以前バレッタ見ていなかったらしいリリーがシャーロットの手元を覗き込んだ。
「あら、可愛い。ガーベラののモチーフね。わ、フラワーストーンまで使われているわ」
「すらわーすとーん?」
このピンクから黄色に変わっている石の事だろうか。初めて聞く名前に首をかしげると、リリーがこの石について説明をしてくれる。
…途中までは色の変化の理由を考えながら聞くほどに余裕があった。しかし、そんな余裕もリリーの一言で弾け飛んでいくこととなる。
「───それで、その貴重さから「上流貴族の代名詞」って呼ばれるくらい高い値段がつけられているの」
一瞬、思考が完全に停止した。幾ばくかして言葉を理解すると、顔がさぁっと青ざめていく感覚がする。




