23.城下町探索4
「あー、楽しかった!」
「ね。私もすごく楽しかったわ。友達と買い物するのってこんなに楽しいものだったのね」
リリーが友達と来たことがないことを少し意外に思いながら馬車に揺られる。
「城下町って本当に素敵ね!食べ物はどれも美味しいし、服は可愛いし!それに市場も楽しかったわ!」
「そうね、私も市場すごく好きよ。色々なものが売ってて便利だし見てて楽しいもの」
「うんうん、それに置いてある品物で今の国の経済状況、貿易状況とかが分かるものね!城下町に来ないときっと知ることなんてできなかったわ! 」
「え?」
「へ?」
どうしたのかとリリーを見ると、大変不思議そうな顔をしている。
「そ、そんな事まで分かるかしら?」
「う、うん。だって市場に売ってた真っ赤な布、あの色は北のメリエックスでしか採れない光紅石で染められた物だし、店主が異様なまでに推してきた書物はケラー文字で『五つの仮面』って書いてあったからノースカットから輸入した小説だと思うわ」
シャーロットはなぜそんなに頭が肩につくほどまでに首をかしげられているのか不思議で堪らなかった。
シャーロットからしたら本で読んだ情報から新たな情報が得れて嬉しかった、というあまり中身のない話をしようとしただけなのだ。
──しかし、リリーが戸惑うのも無理はなかった。むしろ、理解できる人間の方が圧倒的少数だろう。大量の知識がない限り到底なす事のできない技なのだ。
「…シャリア、それはシャリアにしかできないことだと思うわよ。あぁ、 今日だけでシャリアのとんでもなさと世間知らずが思い知らされた気がするわ…」
なぜだろう。失礼なことを言われていると分かっているが、疲れた顔をされているせいで何も言い返せない。
そうこうしていると、馬車がぴたりと停止した。
「お話し中失礼します、リリー様。到着致しました」
(うわぁ、大きなお屋敷…)
窓から覗く屋敷の大きいことといったら半端ではない。ライト家の何倍あるのだろうか。
「あら、ありがとう。このままシャリアも送り届けてね」
「御者さん、お願いします」
シャーロットの声で馬車は再び走り出した。
走り去る馬車に手を振りながらリリーは小声で隣に立つ従者に命じるのだった。
「────シャリアの素性を調べなさい」
既に秘密がバレかけているなど知る由もなく、シャーロットはその日を振り返りニマニマ一人で笑うのだった。
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