22.城下町探索3
青ざめるのを感じながら、必死にへたり込みそうなのを我慢する。
シャリア・プロウライトは少し裕福な平民なのだ。貴族の世界とは無縁のはずなのである。
(うわぁ…やっちゃったわ…誤魔化せる?いえ、無理よね…)
リリーの顔を見るのが怖い。リリーはきっと持ち物や言動から考えるに貴族だろう。当然シャリアが貴族のお辞儀をかましてしまったのは気づいているはずだ。
「…ねぇ、シャリア」
声をかけられて肩がびくりと跳ねる。
(終わった…)
そう思った時だった。
「すごいわね!誰かに教えてもらったの?それとも本かしら?いずれにせよすごいわ!」
「………へ?」
パニックを起こしかけていた頭がクエスチョンマークで埋まっていく。
そして数秒の沈黙のあと、一つの考えが頭をよぎる。
(まさか…気づいてない!?)
そんなことがあるだろうか。疑問は残るが、これはシャーロットにとって大変都合がよい。乗っかるしかないだろう。
「そそそ、そうなんだよねぇ~、本で読んだのよ!ほ、ほら貴族の世界って皆ドレスとかアクセサリーとかつけてて可愛いし、毎日の生活を心配しなくていいし…憧れてて」
後半は本音である。話していくにつれて声のトーンが下がってしまう。
今はシャーロットだって一応貴族ではあり、夫人と知り合えたのや狭いが壁の厚い部屋を使えたりするのは、身分があるからこそだ。だが、今まで貴族らしい余裕のある生活を送ったことがない。よっぽど街の商人の娘の方が良い生活を送っているだろう。
「……。そうね、貴族として生まれるだけでも本当に恵まれているのかもしれないわね」
まずい。誤魔化そうと咄嗟に口にしたせいで本音が出てしまったが、絶対貴族相手に話す内容ではなかった。たいへん空気が重い。
「ま、まぁ、貴族も大変だからね!夢見てるだけなんだけどね!この前なんて、夢で王子様がかぼちゃの馬車で迎えに来たのよ!いつか王子様が来てくれるなんて、べったべたの展開だけど女の子の夢だもの。そんなことより、私あのお店行ってみたいわ!えーと…や、焼き鳥屋さん?ってところ!」
結構シャーロットは現実主義なためそんな夢など見たことないが、空気を変えるため、パッと笑顔を作っておどけた口調で提案する。
リリーはシャーロットがやろうとしていることの意図に気づいたのかあっという表情をした。
「そ、そうね。じゃあ買いに行きましょうか」
そして二人は焼き鳥屋を初めとして、カフェ、洋服屋、市場、りんご飴屋etc…と沢山の店をまわっていった。
最初こそ少し気まずかったものの、三軒目位の時にはそんな空気は消え去って、その後は純粋に会話を楽しみながら過ごせたのだった。




