21.城下町探索2
想像をしようとしたとき、フィンが1つの大きな髪飾りを手取り頭にかざした。
その瞬間、とあるフィンの姿が頭に浮かんだ。
「……。」
「あなた達は何か買いに来たんですか?…シャリア?どうしました?」
「ふ、なん、ふふふ、でも」
不審げな顔をされたが、言えるわけない。あなたの女装を想像して笑っています、だなんて。雪色の髪が長く綺麗なため、もしかしたら、と思ったが無理だった。ごつごつしている訳ではないが、顔だちが男なのだ。所謂ところの美丈夫である。
それ以前に、プレゼント用かなにか知らないが、なぜ自分の頭に当てて考えているのか。
「…そ、そうですか」
はいとかなんとか答えようとしたが、口を開いても漏れでるのは笑い声だけだったので首を縦にぶんぶん振っておく。
「……。えーと、シャリアが城下町初めてみたいなので今案内していたんです。それでここのお店、どれも造りが素晴らしいので紹介しに来たところでした。…本人はそれどころじゃ無さそうですが…」
未だに笑いが止まっていないシャリアをちらりと見る。申し訳ないとは思っている。
「まぁ、放っておいたらいつか落ち着くでしょう。気に入ったものは見つかりましたか?」
「はい、そこの兎の置物が・・・────」
そのままリリーとフィンがしばらく話し続けているうちにシャーロットは次第に笑いも収まってきたため、また先程の髪飾りを眺め始める。
(やっぱり綺麗だわ…。金属の細工は細かいし、花びらの部分は…もしかしてロードクロサイトかしら!?柱頭の部分はパール!?…と何の石かしらこれ…とにかく高価なのには変わりないけど)
そんなことを取り留めなく考えていると、また背後から話しかけられた。
「やっぱりシャリアはそれがお気に入りのようですね」
「ひゃあ!…フィン様、急に後ろから声をかけないでいただけますか」
「おや、それは失礼しました」
(この男、絶対分かっててやったわね…!)
口では謝っているが、そのきらきらの笑みを浮かべた顔に『おもしろい』と書いてある。目は口ほどに物を言うのを知っているのか。…いや、フィンのことだ。分かった上でやっているのだろう。
文句を言いたい気持ちを抑えながら、やっと先程の質問に答える。
「えぇ、色とデザインが美しくて見惚れていました。ただ、今日はこの後も行きたいお店は沢山ありますし…このバレッタ、なかなか高価でしょう?なので今日は買わないでおきます」
後半は自信の無さとお店の方に聞こえないようにする意図から、口を近づけて小声で話す。
宝石なんてほとんど見てこなかったため、使われている宝石の種類も予測でしかないのに、まだバレッタの値段を確認できていないのだ。
それに、高価であろうとなかろうとシャーロットが買える値段でないのは確かなのだ。
「あ、確かに荷物にもなるし…」
シャーロットはそんなリリーの呟きを拾うと、このお店を出るチャンスだと思い、そろそろ店を出るよう提案した。いい加減出なければ自分のお金の無さに空しくなってきそうだ。
そしてリリーが首を縦に振ると、先程の意趣返しも兼ねてシャーロットができる最大限に美しいお辞儀をフィンにしてみせると、リリーを連れてさっさと店を出る。
そして、数歩進んだとき、ふと気づいたのだった。
(私、貴族の礼しちゃった!!?)




