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第十八話

夕星、島に降りる

海が静かに割れ、老いの神を迎える寿老人が海の試練を越えたとき、海は深い息を吐くように静まり返った。


潮の流れが整い、

波が柔らかく揺れ、

白鹿の足元に“潮の道”が開いた。海の声が響く。


――老いの神よ。

 お前の歩みは静かだが、深い。

 島へ行け。


 寿老人は杖をつき、

白鹿とともに潮の道を歩き出した。


 福禄寿が待つ浜辺淡路島の岩屋の浜。

そこにはすでに五柱が揃っていた。

海の恵比寿

大地の大黒天

雷の毘沙門天

水と音の弁財天

星の理の福禄寿


 遠くから近づく“夕星の光”を見つめていた。

弁財天が呟く。

「……あれは、老いの神の光。」

恵比寿は潮の匂いで確信した。「六柱目が来る。」

福禄寿は静かに頷いた。

「私の“対”が、ついに。」


 浜に降り立つ潮の道が浜に触れた瞬間、寿老人は白鹿とともに姿を現した。

夕星の光を背に桜の花びらのような衣をまとい長寿の杖を静かに握りその瞳は“終わりの優しさ”を宿している。


 恵比寿は思わず息を呑んだ。

「……優しい光だ。」

大黒天は深く頭を下げた。

「老いの神よ。あなたの歩みは、世界を静かに整える。」

毘沙門天は寿老人を見つめ、

静かに言った。

「戦いの終わりを知る者……

 それがお前か。」

寿老人は微笑んだ。

「戦いにも、老いは訪れる。

 終わりは恐怖ではない。

 静かな完成だ。」

弁財天は胸に手を当てた。

「あなたの音……とても静かで、深い。」

寿老人は頷いた。

「老いとは、音が消えるのではなく、音が“澄む”ことだ。」


福禄寿と寿老人

――星と夕星の対話福禄寿が一歩前に出た。

「寿老人……あなたは私の“終わり”を司る者。」


 寿老人は静かに答えた。

「そしてあなたは、私の“始まり”を司る者。」


二柱の間に、星と夕星の光が交差した。

恵比寿はその光に圧倒される。「……星が、二つに増えたみたいだ。」

大黒天は呟く。

「これで六柱。

 世界の理が整い始める。」


共鳴の六柱が揃った瞬間、島の空に“六芒星”の光が浮かび上がった。

海が静まり大地が息を整え雷が優しく鳴り水が歌い星が巡り老いが優しく満ちる弁財天は震える声で言った。

「……これが六柱の力。」

毘沙門天は宝塔を握りしめた。「だが、まだ足りぬ。」

福禄寿は空を見上げた。

「七柱目が揃わねば、

 無福王の影は止まらない。」

寿老人は杖をつき、

静かに言った。

「七柱目は……もう近い。」

白鹿が鳴き、夕星が島の空に光を落とした。


国生みの丘へ寿老人は五柱に向かって言った。

「行こう。

 七柱が揃う場所へ。」

恵比寿は海の光を背負い、

大黒天は豊穣の袋を担ぎ、

毘沙門天は雷の鎧を纏い、

弁財天は潮の琵琶を抱え、

福禄寿は星の杖を握り、

寿老人は白鹿とともに歩き出した。

向かう先は――

国生みの丘。

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