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第十四話

星が海に落ちる、島の空に、ひときわ長い流れ星が走った。


恵比寿は海辺でそれを見上げ、

大黒天は袋を背負い直し、

毘沙門天は宝塔を輝かせ、

弁財天は琵琶の弦をそっと押さえた。

弁財天が呟く。


「……星が、降りてくる。」

恵比寿は潮の匂いで確信した。「あれは……第五の柱だ。」


 海が老人を運ぶ流れ星は海へ落ちた。

しかし海はそれを拒まず、

むしろ優しく受け止めた。波が静かに割れ、

潮の道が開く。


 その中心に――

ひとりの老人が立っていた。長い頭白い髭星のように澄んだ瞳杖の先に潮の紋様が揺れる福禄寿。


 海は彼を運び、

島の浜へと導いた。

老人神を迎える。

福禄寿が浜に足をつけた瞬間、

潮風が止まり、

空気が澄んだ。


 恵比寿が一歩前に出る。

「あなたが……星の神。」

福禄寿は微笑んだ。

「海の子よ。お前の潮は、星の巡りとよく響く。」


恵比寿は照れたように笑う。

大黒天が深く頭を下げる。

「あなたの噂は聞いている。

 寿命を正し、運命を整える者。」

福禄寿は首を振った。

「私はただ……星の理を伝えるだけ。」

毘沙門天は老人を鋭く見つめた。「星の神よ。お前は何を守る?」福禄寿は静かに答えた。

「“生きる時間”を守る。

 それは戦いよりも難しい。」

毘沙門天はその言葉に、

初めて敬意を示すように頷いた。


弁財天は微笑んだ。

「あなたの音……とても静かね。」福禄寿は目を細めた。

「水の女神よ。静けさは、音の母だ。」

弁財天はその言葉に胸を打たれた。


共鳴の五柱が揃った瞬間、

淡路島の空に星が降り注いだ。

海が揺れ大地が震え雷が鳴り水が歌い星が瞬く五つの力が交わると、空に巨大な“星の輪”が現れた。

恵比寿は息を呑む。

「これが……五柱の力……」

大黒天は静かに言う。

「七柱のうち五つ。だが、まだ足りぬ。」

毘沙門天は宝棒を握りしめた。「影が動き始めている。」

弁財天は潮風を読み取る。

「無福王の気配……強くなってる。」

福禄寿は杖を突き、空を見上げた。

「残る二柱が揃わねば、この島は“影”に呑まれる。」


国生みの丘へ福禄寿は四柱に向かって言った。

「行こう。七柱が揃う場所へ。」恵比寿は海の光を背負い、

大黒天は豊穣の袋を担ぎ、

毘沙門天は雷の鎧を纏い、

弁財天は潮の琵琶を抱え、

福禄寿は星の杖をついた。

五柱は並んで歩き出す。

向かう先は――

国生みの丘。

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