二度目の三学期の終わり。
三学期が終わった。
学園ではティアルク・ルミアネスのことやカトラス・イルバネスのことで若干騒がしくなっていたものの、それだけである。リアが静粛せずに、闘技大会で組織が暗躍していたのならばもっと大変なことになっていたかもしれないが、それはギルドマスターとリアだけが知っている事実である。
リアは自分の学園生活が騒がしいのが嫌だという自分勝手な理由でしか動いていないため、そういう事があった事実を露見させる気は一切ない。
とはいえ、この二年で学園も大分騒がしくなっている。
ティアルクがいるからというのもあるが、それをなしにしても重要人物が揃い過ぎていると言えるだろう。特にティアルクの周りにそういう人物が揃っているのは、何かの導きなのだろうとリアは思う。
とりあえずリアは残りの一年を平穏に過ごしていきたいので、代わりにティアルクが目立つのは良い事だと思っている。
(もうすぐ春休みかー。ルーンの元には行くとして、精霊への対策をどうにかするのと、あとは師匠の所にもいって卒業後の快適な生活のために頑張ろうかな。それとやっぱり空だね。天空島はまだまだどうにもできないかもだけど、春休み中に天空島にも行けたらいきたいな。不測の事態が起きたらどうなるか分からないけど)
リアはそんなことを考えながら、春休みの日程を考えている。リアはやりたいことがやまほどあるので、時間を無駄にしたくないのである。
「春休みはどうしようか?」
「皆どうするんだ?」
ちなみにリアとカトラスは誰とも話していないが、周りはより一層盛り上がっている。やはり春休みというのは学生にとって特別なのだろう。
カトラスは前回の闘技大会の活躍から人に話しかけられることも増えたが、本人が会話を続ける気がなかったため、少しずつ話しかける人物も減っている。カトラスとしてみれば、周りから話しかけられようともどうでもいいようだ。
最もティアルクはちょくちょくカトラスに話しかけることもあるので、カトラスは学園が終われば即急に学園から去る事が多い。
(……ああ、そういえば春休みもイルバネスのことは鍛えた方がいいのかな。んー、まあ、鍛えるよりももっとやりたいことあるから、私が時間なかったらソラトに頼んどくか。イルバネスが残り一年目立てば目立つほど、私が目立たなくなるし。私のためにって言えばやるだろうから)
カトラスは当然憧れである《姿無き英雄》――リアに鍛えてもらいたいと思っているだろうが、リアはそういう気はないようである。闘技大会でひとまずカトラスを目立たせることが出来たのでよしと思っているのだろう。
「王女様も入学するんだよな」
「王女様もティアルク君と仲が良いよね」
「ルミアネスは本当にすごいよなぁ」
話題は王女様のことにうつっていた。
クラスメイトたちは、今度入学する王女殿下の事が気になって仕方がないらしい。王族が後輩になるとなれば、そういう風になるのも仕方はないだろう。
(王女かぁ。王女は私の事を色々言っていたから、王女にも悟られないようにしないと。それにしても《炎槍》といい、王女といい、私に会いたいとか思わないでほしいな。《炎槍》もこの前の闘技大会で私に会えなくてがっかりしてたってお義父さんが言っていたし。もっと気合を入れて私を探そうとしだすって話だし)
《姿無き英雄》に憧れるものは、本人であるリアの思っている以上に多い。リアという存在の正体を知りたいと思っている者や、リアに会いたいと思っている者は多いのだ。
王族がリアを本気で探せばどこかでバレる可能性もある。リアはそれを望んでいない。
(……王女も来るなら色々また騒がしくなりそうだな。ちゃんと護衛もつくだろうけど、後輩になるならなるべく死なないようにはみとこう。死んだら死んだだけど)
リアはずっと席に座ったまま、思考し続けていた。
そうしているうちに、教師がやってきて連絡事項が終わった。その連絡事項が終われば、リアはすたすたとその教室を後にするのであった。
(このままルーンの所に行こう。そしてルーンと遊ぶ!! 最近、ルーンの元へ行けてなかったし。ルーンと一緒に遊んで、そのまま天空島に行こうかな。それが終わったら師匠の所に行って、色々卒業後の生活のために話をつめて、それが終わったら精霊とのこと! まぁ、他に予定が入ったら別だけど、ひとまずそうしよう)
リアは人気のない所でユニークスキルを使うと、一気に霊榠山へと向かっていく。誰もリアという存在に気づくことはない。
――そしてリアはルーンの元へと、一気に駆けていく。
その後はいつも通りに殺し合い(遊び)を行い、リアは満足気にルーンの側で微笑むのであった。




