春休みに天空島へ
リア・アルナスはまた天空島にやってきている。
ルーンと殺し合い(遊び)、そしてギルドマスターの元によることもなく、リアはただ目的を叶えるための努力をするために此処にいる。
当然の話なのだが、リアよりも高みにいる存在――ルーンの仲間であるドラゴンが神と呼ばれる存在がいるという天空島よりも上層部を攻略することはまだまだ難しい。劇的に強くなることも、攻略する手立てをすぐに手にすることも出来ない。何事も、一歩ずつである。
(……やっぱりこの前、落とされた所が駄目か。天空の空気抵抗には慣れてはきているけれど、この天空島よりも上の魔物は、私の存在に気づいてしまうし。謎の威圧感に関しては、そういう存在がこの先にいるっていうことを指しているのか。私自身のレベルをもっと上げていく必要があるか。これ、エルフの女王様とかなら上にいけるのかな? 検証してみたい気もするけれど、そういうもののために違う大陸まで為政者を連れてくるのは難しいしなぁ)
レベルの問題なのか、はたまたリア自身に纏わる別の問題なのか――もっと上へ向かうために何をしたらいいのかというのがリアには現状分かっていない。もっと検証が出来れば別かもしれないが、そもそもこんな場所まで来れる存在というのはほぼいない。リアはぼっちであるがゆえに、共に空を目指す、同等のレベルの存在がいないのであった。
(ソラトなら私が来いっていったら来るだろうけれど、私のレベルで難しいならまだ《超越者》に至っていないソラトはより一層難しいはず。第一ソラトは私のユニークスキルと違って、戦闘系のユニークスキルだから、この辺りの魔物に私以上に一斉に襲い掛かられるわけだし。やっぱり若干無理ゲー感があるよね。こういうのだからこそ、ルーンの仲間でもかえって来なかった人がいたのだろうしなぁ……。ここよりずっと上にいるという神に認められれば上に行けるとか条件的な奴なのかな?)
現状、地上では《超越者》として名が知られるリアでもこの天空島を真っ当に攻略していくことが難しいというのは、二回天空島にやってきたことで確信に変わる。足りないものは沢山あるが、一番足りないのは自身の実力であろう。
かなりの攻略難易度のため、リアは前世のゲームの世界のように何か条件を満たしたら上に簡単にいけたりするのだろうか、などと思考していた。
(……もしかしたら人が住んでいる天空島を調べれば、何かそういう条件的なものは見つかるかもしれない。でもそれが分かったとしてもそれはなんかやだなぁ。悔しいし。ちゃんと真正面から天空島を攻略する手立てを手に入れた方がきっと面白い。ただそうなると、此処よりずっと上に向かうことはもっとずっと先のことになるだろうな。ルーンの仲間が神というぐらいの存在だから仕方がないことだけど、中々の長期戦になりそう)
リアは結構な負けず嫌いのため、どうせ上に向かうのならば真正面から堂々と向かいたいなどと考えていた。
そしてそのためには、自分の実力が足りないことも理解している。
一度、思考を纏めるためにリアは人が住んでいる天空島へと向かう。
そして人気のない所で、のんびりと一息を吐く。
(最近魔法具作成始めたソラトには、私が天空島の上を目指すために必要な魔法具は作ってもらうか。ついでに私も魔法具作成を挑戦してみよう。何でも自分で出来た方がいいし。どちらにせよ、威圧感を突破出来たとしても、もっと上に魔物はこの分だと生息していそうだし、レベル上げは必須だけど。こう考えるとやっぱり魔物の繁殖期が迫っていることは私にとって吉報かも。そこで魔物を狩って、狩って、狩りまくれば、私の上がりにくいレベルも少しはあがるかもだし、上がらなくても経験値はたまるわけだから)
常にリアは先だけを見つめている。
そして相変わらず基本的には臆病なのに、変な所では前向きである。
(よし、ひとまず一回帰ろう)
やることを決めたリアは、またすぐに天空島を後にすることにしたらしい。今回リアが天空島に滞在した時間は短い。それでもリアは得るものがあったと思っているので、納得している。
何より、天空島へ来る頻度が減れば折角また少しずつ慣れてきた空への耐性をまた一からつける必要がありそうなのでリアは出来るだけ天空島には時間がある時に顔を出すつもりである。何事も継続していかなければ、成せるものも成せない。
そういうわけでリアはそのまま一旦、帰宅した。
家に帰宅した場にソラトがいたので、ついでにソラトに話しかける。
ソラトはリアが姿を現わしてくれることが嬉しかったのか、嬉しそうに笑っていた。
「ソラト、私の天空島攻略手伝う」
「いいよ!! 幾らでも手伝う!!」
……まぁ、そして当然のようにソラトはリアが何をしてほしいと言う前に、リアの言葉に頷くのであった。
多分、ソラトの場合、リアの望みならばどんなに大変なことになったとしても喜ぶことであろう。
それが見て取れる様子に、夕食の準備をしていたネアラは呆れたような表情を浮かべるのだった。




