SS 日本側
「姉ちゃん、本当に車の中に現れんの?」
「そう手紙に書いてあったからそうなんでしょ。お母さんだって、娘だけでなく孫に会えるのが楽しみ過ぎるから早く来て欲しいのよ」
「お姉ちゃん、めちゃくちゃ可愛い子だって書いてたもんね」
「ハル姉はゴリマッチョ好きだけど、実は顔が整ってる人選んでたから見る目は確かなはずだけどな」
「お父さんは、モカにも会いたいなぁ」
「狼サイズのモカにも会いたかったけど、それが無理なのは残念だよな」
八人乗りのワンボックスカー内で、まだかまだかと待っているのは高城家一同。この日のために有休を死守した。なにせ異世界に行った長女が帰ってくるのだ。
突然、家ごと行方不明になり、そのうえ家族以外の記憶から永遠の存在自体がなくなっていて、しばらく誰も現実を受け入れられなかった。
それが、異世界に愛犬モカと行ったこと、年三回は帰れると手紙が来たときは、本物なのかと疑った。そう思われることを見越していたのか、写真付きだ。どう見ても冗談やコスプレで済む規模ではなかった。
それからは、永遠のことは家族の秘密として日々過ごしていた。それがようやく今日、帰ってくる。帰ってきたらまずは、養子縁組する息子と一緒に美容院に行きたいと書いてあったからそちらは予約済だ。
ピカッ
車内が目を開けられないほど、光に覆われた。
「ただいまっ!」




