↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖獣と自宅、異世界に着地  作者: 冬実 なぎさ
第二章 異世界での新生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/85

SS 出発 ーディルク視点ー

 


 トワが姿を消して間もない頃——


「っくしゅん」


 今日はここ最近にしては珍しく肌寒い日だ。馬車に荷物を載せ終え、空を見上げた。


「柄に似合わずずいぶんとかわいらしいくしゃみだな」


 振り返ると、いつもの白を基調とした綺羅びやかな衣装ではない殿下と大神官長様、クィンがそばにきた。


「ディルク、残念ながらお前の計画は中止だ」

「……は?」

「大神官長、あれを読んでやってくれ」


 大神官長様は、白い巻物を仰々しく広げ、読み始めた。

「……つまり、トワとモカ様が瘴気の土地にいる可能性が高いと?」


 瘴気の土地が立ち入り禁止となり、聖獣のものとなったと各国の神殿や教会にご神託がおりたらしい。そのうえで、そこは強力な結界が張られ、いまは誰も入れないのだとか。モカ様の結界ならまず誰も破ることはできないからそれはそうだろうとしか言えないが、まずいな。


「お前は隣国へ行こうとしていたのだろう?」

「彼女が行きたがっていたので、まずはそこからと」

「ところが、最も難しい土地にいた。さて、どうする?」

「そこへ変更すれば良いだけですが?」

「それならば、これを」


 殿下から渡された巻物を開くと、は?と自然と漏れた。


「……リオレス殿下付き外交専属護衛として雇う……」

「騎士団を退職し、家族とも縁を切ったただの平民には身に余る光栄だろう?」

「身に余る光栄だからこそ、お断り申し上げます」

「そんな照れて遠慮しなくていいんだぞ? それにこれは断る権利はないからな、命令だ」

「殿下、これは新手の嫌がらせですか?」

「私だってあの2人が心配だし、会いたいと思っているんだよ。それに私がいれば要所はすべてクリアできるぞ?」

「その心は?」

「自由に遊びたい」


 俺は殿下を無視して、もう一度馬車の荷物確認へ戻ろうとするが、大神官長様からも呼び止められた。


「ヴェリタス王国に近いほうにお2人がいればよいですが、アニマーリア王国に近い場合はあまり状況が良いとは言えません」

「どういうことでしょうか」

「あの国は一見強硬な国に見えますが、実際はそんなことはありません。教会もきな臭いのです。ですから、少しでも早くお2人の身の安全を確認したいのであれば、殿下と共に出られるのが一番かと」

「……殿下はその間、この国のことはどうされるんですか」

「いまはもう王と王妃がいるし、第二王子だっている。この機会に彼にも政務を学んでもらうよ」

「報酬はきっちりいただきますよ」

「国内最高の騎士を雇うんだ、最初からそのつもりだよ。ああ、あとそれから」

「まだなにか?」

「同時に退職した双子と、同じく先日退職したベーベル嬢も一緒だから」

「は!?」

「だって、トワ嬢を探しに行くって言ったらついていくって聞かないからさ。それなら護衛が多いほうがいいからまあいっかって」

「まあいいかって……」

「クィンだって行こうとしてたんだよ?」


 大神官長様の横に静かに立つ男に目線をやれば、笑顔で小さく手を振る仕草をする。


「さすがにクィンは私の所属ではないから許可できなかったのもあるけれど、大神官長を任せられる者もいまはいないしね」

「ハァ……わかりました。段取りし直しましょう。できれば双子とベーベル嬢をこちらへよこしていただけると助かるのですが」

「ああ、わかった。別宮で待機させているからすぐに来るよ」

「確信犯じゃないですか」

「ふ、私を誰だと思っているんだ?」


 なぜ俺は、こんな問題だらけの人と一緒にトワたちを探しに行くことになったのか……一人で身軽に行くために全てを捨ててきたのに、結局また重い荷物を持つこととなってしまった。


 だが、殿下がいることで、瘴気の土地へと近づきやすくなるのは事実だ。せいぜい利用させてもらうとする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。