↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖獣と自宅、異世界に着地  作者: 冬実 なぎさ
第二章 異世界での新生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/84

66話 救出

 


 ポメラニアンサイズになったモカを抱っこしながら慎重に茂みに隠れる。モカならここからでも鑑定が使える。


『赤い敵は6人、奴隷商たちだ』

『奴隷……』


 日本にいたままなら、きっと一生縁のなかった話だ。どこか遠い世界や昔の話。でも、この世界に転移したころ、殿下から奴隷制度があるとは聞いていた。それがまさか目の前にいるなんて。


『黄色いのはまさかの子どもが2人……あれ?』

『どうしたの?』

『子ども2人が捕らえられているんだけど、1人がヴェリタス王国辺境伯家の子みたいなんだよね』

『待って、なんでそんな子が奴隷として売られようとしているの? 潜入調査で子ども使ったりしないでしょ?』

『潜入調査中とも出ていないからね。それに子どもがもう1人いるんだけど……』

『その子がどうかしたの?』


 茂みからこっそり顔を出し、モカが示すほうを確認する。すると、そこには顔ははっきりとは見えないけれど、グレーの髪をしたひょろりと細い男の子がいた。その子がもう一人の金髪の女の子を庇うように手を繋いで隠している。


『あの子は人間じゃなくて獣人だね。白銀狼族の子孫って出ている』

『白銀狼族? そういえば獣人は白に近いほど高貴なんだっけ。あの子もやんごとなき家系の子なの?』

『これは結構問題かも。でも、詳しいことはあとで確認しよう。いまは2人を助けるのが先だね』


 モカを静かに下ろすと、モカは奴隷商たちのほうへ、私は子どもたちのほうへと近づいた。


「何者だ!」

「うわあ! 魔物だ!」

「やっちま――っ!?」


 途切れた声のほうを見ると、モカが魔法を使って眠らせていた。モカにしては穏便なほうだ。きっと、怖がらせないようにと子どもたちのことを考えたのだろう。私はその子どもたちのほうを向いた。


「大丈夫!? いま助けるからね!」

「あ、あの、あなたたちは? あ、あの白い生き物は……」


 びくびくとしながらも少女が、全く話そうとしない男の子の代わりに懸命に話そうとする。近くで見ると、かなり汚れていて臭いもする。モカにクリーン魔法を頼もう。繋がれている腰紐をマジックバッグの中から出した万能ハサミで切っていく。


「あ、ありがとうございます!」


 お礼を言ったのは少女。ホッとしたように見えた。


「ママ」

「え、モカ、もう終わったの?」

「うん、眠らせてまとめてあるよ。ボクが指示しない限り起きないから大丈夫」

「そっか。ありがとうね、モカ!」


 奴隷商たちは束になって重ねられていた。漫画で見たことあるやつだな、あれ。


「こ、こちらの方が助けてくださったのでしょうか!」


 モカを怖がるというより敬意を示しているような態度の少女をちらりと見る。その子は少年にも耳打ちし、二人して地面に頭をこすりつけるように頭を下げてしまった。子どもにそんなことをされて平気なわけない。すぐさま、やめてもらった。モカにクリーン魔法を二人にかけてもらってから、目線が合うようにしゃがみこむ。


「助けたのはうちの子のモカ。私はトワよ。あなたたちはどこかに売られる途中だった、で間違いない?」

「は、はい!」

「それじゃ、まずはその首のものを外しましょうか」


 彼らの首には同じ黒い首輪のようなものが付けられていた。これがある限り、主の言うことを聞かないといけないとかそんな感じのものだろう。

 スキルで解除の付与をして首輪を外す。奴隷契約自体はモカに解除してもらった。女の子からは、涙を流しながら感謝されたが、グレーの子だけは髪で顔が隠れていて一切目が合わなかった。


「さてと、確認したいんだけど、それぞれ帰る場所はある?」


 なければ保護を考えないといけない。特にこの女の子に関しては帰る場所はあるだろうが、なぜこんな場所に。


 ぐぅ~……


 お腹をさっと隠したのはその子だった。


「もしかして、何も食べていない?」

「は、はい。ここ数日はろくなものを与えられず……」

「そっか、それは辛かったね。気付かなくってごめんね。ただ、食事の前に確認したいことがあるんだけど、もう少しだけ良いかな?」

「は、はい」


 その少女はびくっとしながらも、返事をした。


「あなたは本来ならここにいるべき子じゃないでしょう? 探している人がいる可能性は?」

「あ、ありますっ」

「やっぱり。それなら、下手に動くよりなにか目印を上げたほうが良いかもしれないわね。狼煙ってここにもあるのかな」

「ここへは来ることができないだろうからボクが魔法の狼煙で連絡するよ。ママは他のことを準備してあげて」

「わかった。ありがとう」


 家が見えるのであれば中へ入ってもらって構わないだろう。モカの魔法の狼煙が終わったら移動を開始しよう。その間も私は、一言も話さず目も合わないグレーの男の子のことが気になって仕方なかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。