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状態異常使い、敵を溶かす。~状態異常ビルドのVRMMO~  作者: MEはCat
【第三章】人外共の頂上決戦

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【準々決勝】第四試合

「……合掌でもしとくか」


 ここまで奮闘した、あやとりに敬意を表す。

 あまりにもBANが倒されるビジョンが思い浮かばなかった。

 彼女も彼女で、俺相手であれば全然刺さっていた戦法だったろう。


 でも悲しいかな、相手はあの腹黒狸のBANだ。

 相性負けしてしまえば一気に勝負が付いてしまう。

 ……あいつ初見殺し性能が高すぎるんよな。


「そんで、第四試合は……」


 第四試合はヒーローと蛇者が戦うようだ。

 ここに至っては、俺視点未知数同士の戦いだ。

 蛇者のPSや素早さは目を見張る物があるが……どうなるんだろ。

 勝負がどうなるか全く予想が付かないな。


[第四試合 開始準備]


『トーナメント 牧歌高原』


 戦場は長閑な高原だった。

 芝生がそよ風に揺られ、太陽が大地を照らしている。

 まさしく平和的であり、牧歌的な光景だ。


「全く、僕達が準々決勝戦の大取りだなんてね」


 一方のプレイヤーはまるで騎士のような鎧に身を包む男性だった。

 彼は爽やかな表情で、感慨深そうに手を顎に当てる。

 プレイヤーネームは"ヒーロー"。


「緊張しているのかい?」


 もう一方のプレイヤーは目隠しをしており、非常に身軽そうなライダースーツを着こなしている。

 彼はヒーローを興味深そうに見やる。

 プレイヤーネームは"蛇者"。


「そうだね……「していない」と言えば噓になってしまうかな」


「うーん、俺は緊張をほぐす方法が分からないな」


「……気を遣ってくれてありがとう。でも、大丈夫だ」


 ヒーローは気持ちを落ち着かせ、改めて蛇者に身体を向けた。


[プレイヤー ヒーローは準備完了しました]


「対戦よろしく」


「……こちらこそ!」


[プレイヤー 蛇者は準備完了しました]


 もう、言葉を交わす必要なんて無い。

 お互いに敬意ある戦闘を望み、向き合った。


[第四試合 開始まで]

[3]


 お互い、武器遺物を構える。


[2]


 ヒーローは直剣を構える。

 それは、これまで見たどの武器遺物よりも()()である。

 正々堂々、正面の蛇者を捉える。


[1]


 対する蛇者は双剣を取り出した。

 それは刃先が曲がっている特徴的な短剣であり、身軽な体勢を取る。


[0]

[第四試合 開始]


 ガキンッ!


 次の瞬間、刃と刃が交わった。

 その剣筋、1つ1つが常人には追い付けぬ程に素早く互いを迫っている。


「……やるね!」


 たった数秒の猛攻だけで四十の攻撃を交わす。

 あまりの速さに、この光景を眺める観客でさえ息を吞んだ。


「【飛来天斬】」


 ヒーローは目にも留まらぬ速さで無数の()()()()を放つ。

 蛇者は最小限の動きで躱しつつ、連撃は止まらない。


「【已己巳己】」


 ふと、蛇者はニヤリと笑みを浮かべる。

 次の瞬間、蛇者が()()()


「分身か!」


 多くの蛇者はフィールド中を動き回り、無数の刃がヒーローに襲い掛かる。

 蛇者の防具遺物『深霧幻界の外装』に付属された【已己巳己】の分身には実体が無い。

 高速に動き回る霧の分身により、ヒーローの目を眩ませようとする。


 ガキンッ!


 だがヒーローはその分身の中から()()の刃を見抜き受け止めた。


「他の分身は幻のような物だろう?」


「……正解!」


 ヒーローは既に、この一瞬の攻防で蛇者の動きを読み取りつつある。

 それにより、多くの分身から違和感のある実体を引き当てる事に成功した。


 ここまでの攻防、第四試合が開始して僅か十秒と八つ。

 たったそれだけの時間で、自身を攻略しつつある事実に、蛇者は武者震いを起こした。


「【超速化】」


 蛇者は確信する。

 この者に時間を与えてはいけない。


 蛇者は音速を超えた速度で駆け回り、ヒーローへと喰らいつく。

 無数の斬撃による攻防により――――

 やっと1つの攻撃を穿つ事に成功するに至る。


「……っ!」


 それによって生れた刹那の()

 これを見逃すはずもなく、更なる追撃を加え――――


「――――気が付いたか」


 蛇者は追撃を加えず、咄嗟に離れる。

 これは確信だ。

 もしあそこで攻撃していたら、強烈な()()()()()が飛んできていた。


「【神霊顕現】」


 突如として、ヒーローの背後には幽霊――――

 いや、()()が憑りついていた。

 その神霊は本人を守護するように付いてまわっている。


「流石トーナメントだ。一筋縄ではいかない」


 ヒーローは再度直剣構える。

 それと同時に後ろに居る神霊も剣を構えていた。

 更に神霊の腕は複数本伸びており、その1本1本に剣が握られている。


 空気が揺れる。

 先程までは、ほんの()()調()()

 ここからが、ヒーローの本領発揮だった。


「本当はここで使うつもりは無かったんだ。だけど、認めるよ。お前は強い。だから、せめてもの敬意を表し――――全力で仕留める」


「ははっ……!」


 いつの間にか、蛇者は笑みが零れていた。

 これまで味わった事の無い、()の圧力。

 それが神々しくも、蛇者の身体を伝っていた。


「なら……俺も全力を出さないとね! 【轟雷化】ッ!」


 【轟雷化】――――

 それは現地点で出せる、蛇者の奥義である。

 装飾遺物『万雷の化身』は身体に雷の力宿し、自身の速度を疑似的な雷速とする。

 本来であれば雷速を制御出来ず、壁に衝突して即死する等の欠陥を抱えたスキルだった。

 だが、蛇者が深く集中し、己のPSを最大限のパフォーマンスを発揮出来れば、短期間の雷速攻撃を可能としていた。


「【超速化】」


 蛇者、ここで一世一代の賭けに出る。

 ただでさえ制御の難しい【轟雷化】。

 その上に更に【超速化】の速度を重ね掛けする。


「……っ!」


 雷速を超える無数の斬撃が、ヒーローへと向かう。

 ヒーローは全霊を持って、その斬撃全てに()()する。

 人間離れした反射神経をフル稼働し、捌く。


「【已己巳己】」


 それに加え、更に更にと、対応を妨害する為、分身を発生して翻弄をしようとする。

 ――――が、最早ヒーローには、そんな小細工など既に見破られていた。


 的確に実体のみを弾き飛ばす。


「【飛来天斬】ッ!」


 ヒーローの飛ぶ斬撃が、ただ1人の蛇者を捉えた。

 蛇者は思わず、弾き返そうとするが――――

 大きく仰け反ってしまった。


「良い戦いだった!」


 ――――蛇者、一刀両断される。


「がはっ……!」


[プレイヤーネーム ヒーローが第四試合に勝利しました]

[プレイヤーネーム ヒーローは準決勝に進出しました]

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