雷鳴の覇者、赤き雷光、天を轟かせる咆哮
それは最早、ムカデと形容すべきではない怪物だった。
1本か、10本か、それとも100本か、空そのものが裂けたかのように無数の赤き雷が大地へと叩きつけられる。
黒き甲殻を脱ぎ捨てたその身は、今や全身が災光に染まり、脈動するように赤く明滅している。
節々の一つが雷を帯び、空間そのものを焦がしているかのようだった。
「おいおい……まさか、あそこまで行けって言うんじゃないだろうな」
ふと稲妻が俺達の真上に落ちる。
俺は直撃寸前で横へ飛んだ。
視界の端で地面が抉れ、遅れて衝撃が身体を叩く。
雷は止む事を知らず、むしろ密度を増して雨へと変わっている。
「そのまさかだろうね……赤月は気が付いているかい? 第二形態のログが出ていない事に」
そう、これは第二形態の扱いではない。
むしろ、第二形態へと移行する前の間奏だ。
「Ma――――」
ふと、妖精が現れる。
その妖精は天に向かって何かの歌を届けているようだった。
天へと捧げる詠唱を。
日照りを求む祈りを。
「「Ma――Ma――」」
2 体、3体と増えていく。
歌は重なり、輪唱のように広がり始める。
その瞬間――――
ゴゴゴ……。
周囲の瓦礫が、重力を忘れたように浮かび上がった。
ビリッ……!
空気が裂ける。
そうはさせまいと、雷が狙いを定める。
「させるか!」
俺は浮かんだ瓦礫を攻撃して吹き飛ばし――――
ドゴーンッ!
落雷が瓦へと直撃し、粉砕する。
「「「Ma――Ma――Ma――」」」
歌が強まり、浮かぶ瓦礫の数も増えていく。
ビリッ……!
ビリッ……!
「蛇者!」
「了解っ!」
俺の行動の意味を蛇者は瞬時に理解する。
蛇者の分身が同時に飛び出し、複数の瓦礫を切り裂く。
俺も時間差で撃ち抜き、雷を分散させる。
ドゴーンッ!
ドゴーンッ!
2つの雷はそれぞれの瓦礫に穿つが、妖精は無事だった。
「「「「「「「Ma――Ma――Ma――MaMa――MaMa――MaMa――MaMa――」」」」」」」
数が増える。
声が重なる。
音が、空間を満たす。
はっきりと歌が響き渡り、俺達の足元が徐々に浮かび上がっていく。
重力の束縛を離れ、ゆっくりと――――
だが確実に災害の元へと向かっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
瓦礫に乗せられて上空へ飛んでいくと、周囲には大勢の妖精達が歌っていた。
マグニ=パルスが激しい咆哮を放つも、浮かせた瓦礫の壁を構成し防ぐ。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
咆哮と共に、赤雷が薙ぎ払うように走る。
ガガガガガガッ!!
浮遊する瓦礫が自動的に組み上がり、壁となってそれを受け止めた。
砕け、散り、それでも次が補う。
まるで守護されているかのようだった。
「「「「「「「「「MA――」」」」」」」」」
妖精達が一斉に声を上げる。
その瞬間、瓦礫は再構築されて足場となった。
空中に連なるは無数の足場。
――――これは戦場だ。
空に浮かぶ、討伐の舞台。
災害を討つための、唯一の領域である。
赤雷を纏う巨躯が、こちらを見下ろしていた。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
[第二形態へ移行]
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
名前 赤月
階級 ランク18
所持金 8940HG
武器 蒼天機兵の蒼炎刀【蒼炎点火】
武器 血酸嘴砲【血腐食霧】
防具 血羽の屍外套【死肉伝播】
装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】
装飾 粉砕機兵の圧壊輪【大震撃】
装飾 蒼炎の炉心核【蒼炎燃焼】
ステータス
体力 80
魔力 80
攻撃力 60
防御力 20
自動魔力回復 1秒毎2
状態異常命中 +60%
状態異常耐性 +40%
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




