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状態異常使い、敵を溶かす。~状態異常ビルドのVRMMO~  作者: MeはCat
【第七章】夢の跡地【別視点】

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黒の餌食、突破口は何処へ

ヒーロー視点&??視点です

 幻想が崩れ去ったのか、息を吹き返したはずのビル群は再び廃ビルへと変わっていた。

 どうやら俺たちは、いつの間にか元の場所へと戻ってきたらしい。


 ――――いや、それよりもヴァル=ムービーの様子が明らかにおかしい。

 エンジェルの攻撃で身体が消えたかと思えば、黒い繊維が溢れ出ている。


「【飛来天斬】」


 俺は飛ぶ斬撃で繊維を切ろうとするも――――


「なっ……!」


 斬撃は消えた。

 まるで、元から何も無かったかのように。


「――――――――!!」


 既にヴァル=ムービーの正気は失われており、辛うじて聞き取れた英語すらもノイズ音に塗り潰されており、全く判別がつかない。


「何ぼっ立ちしてる!」


 ギィィィィンッッッ!!!


 身体に衝撃が走る。

 マヨ船長が庇ってくれたのか、後ろで轟音が鼓膜を劈く。


「ありがとう、マヨ船長」


 視界も悪く、音も聞き取り辛い。

 全ての攻撃が不意打ちに成り得るのか――――


「……マヨ船長?」


「おいおい、嘘だろ?!」


 悪寒が背筋を這い上がる。

 まだ【覚醒解放】を使って、まだギリギリ3分経過していなかったはずだ。


 その上から、あの耐久ごともぎ取った?!


「……違うわ、バフが()()()()()!」


 【覚醒解放】も他のスキルも自分にバフをかけ、ステータスを強化するスキルだ。

 もしそのスキルの効果を消された上で倒されたのだとしたら、マヨ船長が倒されたのにも納得が行く。


「……私も1度被弾しちゃった。たった1度だけね。それで、乙女パワーは消えちゃった」


「身体から生え並ぶ()の繊維――――当たらない方が良さそうですね」


「はっ! 視覚も聴覚もジャミングされた状態でか? 冗談キツイぜ……!」


 このままだと確実に全滅してしまう。

 使うしかないか――――


「【神霊顕現】」


 俺の背中から神霊が顕現する。

 6本の腕を生やし、6本の剣を構える。

 これ以上、誰も犠牲にさせない!


「――――――――!!」


 無数の黒の繊維が襲いかかる。

 神霊は全て叩き斬ろうと、目にも留まらぬ速さで剣を振り回す。


 ――――神霊が消えた。


「……は?」


 黒い繊維――――

 まさか、バフだけでなく()そのものを打ち消す性質があるのか?


「【亜空鏡】!」


 ノブレスは【亜空鏡】を生成し、即座にヒーローの前へと飛び出した。

 咄嗟に身体を押し当て、庇う。


 そして――――


「ノブレス!」


 ノブレスも黒の餌食となった。


「くっ……!」


 なんてザマだ。

 少しは強くなったと思っていたのに、誰も守れないのか。

 それ所か、仲間に庇われるなんて……これじゃ足手まといじゃないか。


「【地盤粘土】」


 雪だるまは地面を隆起させ、大岩を浮かび上がらせる。

 勢い良く射出させるが、黒の繊維に触れた瞬間――――


 大岩が止まった。


「こりゃ……詰みか?」


 巨大な岩石でさえ、超速の斬撃でさえ、多重のバフでさえ、光輝なる力でさえ、乙女パワーでさえ、黒の繊維で打ち消されてしまう。

 その上、常に視覚と聴覚がノイズで汚染される状況。


 余りにも敗戦濃厚の戦闘であり、倒されるのも時間の問題だった。


 ――――そのはずだった。


 ガンッ!


 ふとヴァル=ムービーの巨大なテレビに衝撃が走る。

 その瞬間、視覚と聴覚を覆っていたノイズが晴れ、周囲の状況を把握できるようになった。

 あれは何処か遠くから()()されたものだった。


 一体誰が――――


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ヒットしました」


 廃ビルの上、とあるプレイヤーが戦場を覗き込んでいた。

 その者は『静寂の長銃(スナイパーライフル)』の銃口を、ヴァル=ムービーに向けている。


「私はこのままバフ要因?」


「はい。このままお願いします」


「【聖戦賛美】」


 その後ろでプレイヤー“鬼巫女”が目蓋を閉じ、祈りを捧げるような姿勢を取る。

 するとプレイヤー“黒豆”の武器に、()のオーラが灯った。


 バンッッッッッッ!!!


 そして、もう一発放つ。

 ただ冷静に、黒豆はヴァル=ムービーの巨大なテレビに向かって狙撃し続ける。


 その一撃が、ヒーロー達の突破口となる事を祈って。


黒豆&鬼巫女参上!

第二章以来の再登場です()

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